1か月の隔離ホテル生活で深まった絆

コロナ禍での海外渡航は、国によっていわゆる「水際作戦」が違っています。
ここ中国は、世界の中でも最も厳しい政策をとるところの1つ。
私が渡航した時期は、14日間の隔離に加え、省によって決められている健康観察期間は、外に出ることができませんでした。
夫が先に渡航して家で暮らしているため、夫の生活に影響が出ないよう、私と子どもたちはホテルで約1か月の隔離生活を送ることになりました。

小中学生の子どもと部屋から1歩も出られないホテル生活は、さぞ退屈で厳しいものだろうと思いきや・・・。
「この期間がなかったらできなかったことばかり。本当によかった〜!」と子どもが言っていたほど。
とても楽しかった時間でした。

学習や時間つぶしのことは別のnoteに書いたので、今回はその中でも、子どもたちが特に印象に残ったと言っていることについて。


それは、実は意外にも「学習にプラスアルファしたこと」。

中学生の上の子は、これから通う日本人学校の学習進捗状況がかなり早く、授業を受けないままとなる単元がいくつもあることがわかり真っ青に。
この部分を隔離期間に追いつきたいので、教えてほしいと言ってきました。
私自身、学生時代に学習塾でバイトをしていたので「私の出番だ〜」と意気揚々としていたのですが、教えている最中は、いろんな疑問がポコポコ湧いてきて脱線ばかり。スマホで調べながらワイワイ話していて、1単元進むのに時間がかかってかかって。

国語では、文節や単語の品詞をレクチャーしている時に、中国語や英語では何ていうのかな〜という話になり調べていたら、いつの間にか感覚的に文節や品詞を理解していたり。
数学では、立体の体積の計算をしている時に、ハーゲンダッツの円柱とサーティワンの球ではどっちが容積が多いかという話になったり、サーティワンのスモールとレギュラーではどちらがお得かという計算をしてみたり。ジャイアントコーンのようにコーンの下までアイスを詰めるならどのくらいのコーンの深さになるか考えたり。
社会では、世界地理の中で国際情勢や今から住む中国のことも話題に触れると、「世界や地球って際どいバランスの中で成り立っているんだね」との気づきがあったり。
理科の地学では、今リアルタイムで起きている地震や火山の噴火、軽石の漂流のニュースも併せて理解したり。

そして、理科の地学は、社会の地理や歴史、数学の計算とも関係があるし、英語のUnitに出てくる文章では、社会の地理や国語の品詞の理解が役に立つことがわかったり。

今やっている学習が、教科を超えて繋がっていたり、身近な物・事と無縁でなかったり、世界で起こっていることのベースにもなっていることが見えてきたことが、とても面白かったようです。
「学校や塾の授業だったら時間が限られているから、こんな話はできなかったよ!」と楽しそうに話していました。

また、小1の下の子は「生活科」の教科書やドリルを手持ちしていたおかげで、工作や実験がたくさんできました。

例えば、空き缶の口の近くにストローをテープで貼り付け、吹くと「ボー、ボー」と音が鳴る工作をしていて。
「缶に水を入れたい」と言い出したので、缶に入れる水の量で音の高さが変わるか試したり、「水を入れずに音を変える方法はない?」と聞かれたので、缶の口の大きさを変えてみて音の変化を調べたり。
予想した結果どおりの時は「わっ!」と嬉しくなり、違った結果だと「えっ!」と驚いて観察を深めたりして、時間を忘れて面白そうに取り組んでいました。

また、「たぬきの糸車」の音読の時には、冬の間にたぬきが糸を紡いでいたのは「恩返し」なのか「やってみたかっただけ」なのかを、上の子も混じって話し合ってみたり。
逆に、上の子が地理や地学を学んでいるときには、横入りして、疑問に思った現象を「なんでなの?」と聞いてきて、一緒に話をしたり。

ある時、上の子がボソッと、
「お母さんは普段仕事をしていたから、こんな時間ってあまりなかったよね」と。
そして、「帰国後は私も高校生になるし、お母さんも仕事があるし、こんな時間って多分ないかもね。」とも。

この言葉を自分の中で反芻しながら、この何年かの帯同期間中は、子どもたちと良い時間をたくさん作っていこうと思いました。

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