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【News】中国オンライン専業保険会社の2020年度振返り(20210218)

【一言コメント】
中国はデジタル保険が進んでると思いきや、「衆安保険が初期に開発・展開した短期健康保険以来、オンライン保険会社から独創的な商品がしばらく誕生していない」という識者の見方が印象的です。
 
【以下記事内容】
2020年度を終え決算報告を控える中、オンライン専業の保険会社はそれぞれ悲喜こもごもの内容の報告を披露することが見込まれている。
中国のオンライン専業の保険会社は現在「衆安保険」、「泰康保険」、「易安保険」、「安心保険」の4社で、既存の公知情報より伺える各社の2020年度のパフォーマンスは以下の通り。

■衆安保険
2020年度は衆安保険にとって「いつになったら黒字化できるか?」という市場より常に晒されてきた問いかけにようやく応えることが出来る年となる見込みだ。
衆安保険は公式サイトにて「(未だ監査前ベースではあるが)2020年度は黒字化を達成できると予測されている」と最近発表している。
衆安保険は2020年度の第1-第3四半期で5.51億元の純利益を達成していることが確認されており、通年の保険料収入は前年比14.13%増の167.03億元となる見込みで、損保業界の平均成長率を上回っている。

■泰康保険
2020年度、泰康保険は前年比80%超増の93. 79億元の保険料収入を達成し、業界平均を大きく上回る成長率を記録する見込みとなっている。 一方、純利益(損失)は前年の▲4.84億元から▲6.5億元と約30%拡大している。
赤字拡大の原因は、持続的な技術投資費用、及び経営管理や自動車保険のチャネル拡大等に要する固定費の増加だと見られている。 一方でコスト面でのキー指標である総合原価率は、前年の121.56%から115.55%に低下し、効率が向上していると見受けられる。
泰康保険は創業以来急激に収入保険料を伸ばしており、2016年の6.7億元から現在では100億元近くまで引き上げているが、過去4年間のボトムラインはそれぞれ8,500万元、1.94億元、3.56億元、4.84億元の損失を出しており、赤字が拡大・継続している。

■易安保険
長年に亘る赤字体質に加え、経営陣の内部抗争、信用保険事業の支払率の悪化、劣悪な事業クオリティを原因として2020年7月より銀保監会の指導下に入っている。
この影響か、易安保険は2020年度の第1四半期(純利益▲0.86億元)以降業績発表が出来ていない状況にある。

■安心保険
易安保険と同じく信用保険販売に起因するSM比率・資金繰りの悪化に苦しんでおり、総合SM比率は第4四半期末▲175.83%まで落ち込み、規制要件を大きく割り込んでいる格好で、増資が急務となっている。

上記のようにオンライン専業の保険会社は四者四様の状況にあるが、業界に詳しい識者は中国におけるオンライン保険の歴史はまだ5年余りで未だ発展途上にあり、いずれの企業も「二つの課題」を今後克服していく必要があると語っている。
課題の一つは「希薄な差別化要素」であり、オンライン保険のビジネスモデルやチャネル・保険商品において、伝統的な保険会社と明確な差異がありオンライン保険の長所となる要素がさほど見当たらないことを挙げている。
課題の二つ目は「独創性の不足」であり、衆安保険が初期に開発・展開した短期健康保険以来、オンライン保険会社から独創的な商品がしばらく誕生していないことを挙げている。 具体的には、未だ計理・引受・保険金請求等の分野のイノベーションが限られており、「クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能」などの新技術の活用の領域も限定的で、収益モデルもあまり明確ではないとの見解を示している。
上記の課題への対応策につき、識者は「オンライン保険会社は、伝統的保険会社に比べて軽い資産で運営が可能で、ニーズにマッチする商品開発が効率的に出来るはずであり、商品ラインナップを充実させ、新しい魅力的な保険商品の開発に力を入れていくことで、優位性を確立することができる」と締めくくっている。

(金融界等の記事から筆者が要約・概訳)

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