【第1回】一段攻略への道:4300攻略

おそらく多くの方にとって津軽三味線を始めて最初に習う曲が一段ではないでしょうか。
津軽三味線の基礎が詰まった曲なんて言い方もよくされます。
そんなあたかもレベル1みたいな顔した曲なんですが、、、

正直めちゃくちゃ難しいですよね?

そんな一段を攻略する上でのポイントを紹介していく企画、題して「一段攻略への道」を今回からスタートしていきたいと思います。

さて、それでは早速今日のテーマに移りたいと思います。

4300攻略

まずはこちらの楽譜をご覧ください。

一段の冒頭部分になります。

1小節目「OK」、2小節目「OK」、3小節目「は?」となったのをよく覚えています。

そこで今回は一段を弾く上で最初にしておそらく最大の関門、通称「4300」の攻略法を紹介したいと思います。4300以外のフレーズにも応用可能な方法でもあるので4300が既に弾けるという方もぜひご覧ください。

こうした弾けないフレーズを攻略する際の練習方法としてはゆっくりから少しずつ速くしていくというものが一般的で、おそらくは誰もがやる練習かと思います。
そこで今回はあえて違うアプローチでの4300の攻略法を紹介したいと思います。
今回のコンセプトは「フレーズの簡略化」です。現時点で手の届かないフレーズがあるならフレーズの方をこっちに来させようという作戦ですね。

そこで今回はフレーズを4段階に分けてみました!

・第1段階

第1段階はこちらになります。

ハジキを取っ払いました!
かなりシンプルな印象を受けるかと思いますがまずはこれを正確に出来る様にしましょう。叩きと完全に同時に4を押さえてスクイと完全に同時に指を離すことをとにかく意識するといいです。また、右手の動きはこの第1段階で既に原曲と同じです。なのでこの先段階が進んで左手の動きが複雑化しても右手の動きがそれにつられることのないよう気を付けてください。
僕が弾いてみた音源がこちらです。

・第2段階

続いてはこちら!

ハジキを追加しました。少し難易度が上がります。
音源はこんな感じです。

これが弾けないときはまずこんな感じで、

ハジキだけ抜き出して練習してみましょう。
ハジキが鳴るようになったら、次は0のスクイをしっかり鳴らすことを心がけましょう。第1段階のハジキ無しのときと全く同じ音質で0が出るのが望ましいです。もし綺麗に鳴らない場合はおそらく指を離すタイミングがスクイと完全に同時になっていないか、指の動きに集中してしまってスクイが弱くなっているのが原因だと思います。第1段階のときと動きの質や音質は全く変えずにハジキだけが追加されるイメージでやってください。こんな風に、

第1段階のフレーズと交互に弾いてみて、フレーズによって右手の動きが変化していないか確かめるのも良いと思います。

そしてとても重要な注意点がもう一つあります。ハジキを行った後、スクイと同時に薬指を元の位置まで戻すことを心がけることです。
こちら参考までに画像です。

はじいて、(すみません!実際に弾かず写真だけで撮ったので3押さえるの忘れてました!画像はイメージです!)

スクイと同時に薬指を4の上まで戻す!

そうすることで次の4にスムーズに移ることが出来ます。

・第3段階

お次はこちら!

やっと4300かと思いきや次はスクイの後の人差し指ハジキを練習する段階になります。43ハジキがある状態だと人差し指ハジキだけに集中できないのでこの段階を挟むのがオススメです。
音源はこちら。

これも第2段階同様やってみて出来なければ、

こんな感じでハジキだけ抜き出して練習してみても良いと思います。便宜上一定のテンポで繰り返す楽譜になっていますが、一回一回止めながらやってもいいと思います。そしてこちらも第2段階同様こんな風に、

第1段階と交互にやってみて、ハジキが追加されている以外は音質や動きや弾いている感覚が全く変わらないような状態を目指すと良いかと思います。

また、この段階での重要なポイントは手首の動きでハジくのではなく指の動きでハジくのを心がけることです。手首の動きではじいてしまうと指が棹から遠ざかってしまい、次のフレーズに影響が出てしまうためです。
こちらが参考画像です。

手首の回転ではじいてしまうとハジキ終わりがこんな感じになり、薬指が棹から離れて次のフレーズに支障が出るので、

ハジキ終わりはこんな感じで!
ぜひ気をつけてみてください。

・第4段階

ついに4300になります。

音源はこちらです。

第2段階、第3段階が出来ているのであれば十分4300をクリアする能力は身についているはずです。ここまできたらあとはゆっくりから少しずつ速くしてみましょう。出来ないテンポになったらまた前の段階に戻って薬指ハジキ、スクイ、人差し指ハジキの動きを見直しましょう。前の3つの段階と交互に弾いてみるのもありだと思います。

・まとめ

以上4段階に分けて4300フレーズを解説させて頂きました。最初に少し触れましたがゆっくりから少しずつ速くする練習をこの各段階に行うとなお良いかと思います。さらに個人的にこの「フレーズの簡略化」について素晴らしい(自分で言い切る)と感じている点が二点あるので最後に紹介させていただきます。

①どの段階でも合奏に参加できる。
今回紹介した1〜4のどの段階でも合奏に参加出来ます。合奏には独奏にはない楽しさがありますし楽しければ練習のモチベーションにも繋がります。もし合奏する相手がいない場合は音源と一緒に練習するだけでも結構楽しかったりします。
試しに第1段階と第4段階で合奏してみた音源がこちらです。

特に違和感ないですよね。ぜひ、自分が弾ける段階でガンガン合奏を楽しんでみてください!

②モチベーションが下がりにくい
いきなり4300に立ち向かい始めると難しいのでなかなか出来なくて結構モチベーションが下がったりします。もちろんそこを気合いで乗り越えるのもある程度大事なのですがモチベーションを下げずに出来る方法があるならそっちの方がいいというのが僕の持論です。今回紹介したように段階を細かく分けると、ゲーム感覚で各段階をクリアしていく楽しさがあり、4300が出来るようになるまでに4回達成感を味わうタイミングがありますし、次の段階への距離も近いのでいきなり4300に挑戦するよりも手が届きそうな感じがして比較的モチベーションが下がりにくい気がしています。

以上になります!今回は4300を例に紹介しましたが、こうした「フレーズの簡略化」は4300以外の難しいフレーズでも有効だと思います。ぜひ今皆さんが練習中のフレーズの攻略にもフレーズの簡略化を試してみてください!最後まで読んで下さりありがとうございました!

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