三味線用の楽譜の読み方:基礎編

記念すべき第一回となりますが、まずは今後も頻繁に使用していくことになるため、三味線用の楽譜(文化譜)の読み方について解説したいと思います。
楽譜を使ったことがないという方、音源と楽譜を併用している方など様々いらっしゃるかと思いますが、譜面からその曲を正確に把握できるようになることには色々とメリットがあります。この記事が譜面へのご理解を深めるきっかけになれば幸いです!(※超長文注意)

それでは早速譜面を見てみましょう!

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上のような譜面が三味線用の譜面になります。
以下、詳しく解説いたします。

・調弦

二上り、三下り、本調子と主に三種類の調弦があります。基本的に楽譜のどこかしらに書いてあります。C-G-Cのように音程が書かれる場合は左から一の糸-二の糸-三の糸の順番になります。

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・進行方向

楽譜を読んでいく方向ですが、音楽の進行とともに、左から右、上から下へと読んでいきます。一つの段を左端から右端まで読んだ後、一つ下の段に移ります。これを繰り返して一番左上から一番右下まで読んでいき、そのページを終えたら右のページに移ります。

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・横の線

横の線ですが、これは三味線の糸を表しています。下から上へ、一の糸、二の糸、三の糸をそれぞれ表しています。一→二→三の順で音程が高くなるので、譜面における位置も高くなると覚えてしまえば間違えることはないかと思います。

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・数字

横の線上にある数字ですが、これは押さえる場所、いわゆるツボ(勘所)を表しています。数字は入門用の三味線などに貼ってある譜尺シールの数字と対応しています。また、0は弦を押さえずに弾くことを表しており、これを「開放弦」と言います。
例えば譜例の一つ目の数字の0は、一の糸を表す線の上に0が書いてあるので、一の糸の開放弦を弾くことを表しています。同様に、次の3は一の糸の3のツボを押さえて弾くことを表しています。

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・数字の下線

譜例における数字には下線が引かれているものがあります。これはその音の長さを表しています。下線が1本引かれる毎に音の長さが半分になります。
音楽用語を用いて言うと、何も下線がない数字を「4分音符」、下線が一本の数字を「8分音符」、下線が2本の数字を「16分音符」と呼びます。
また、こうした音の長さのことを「音価」と呼びます。

①4分音符
曲にもよるため一概には言えないのですが、多くの場合、曲に合わせて手拍子を打ったり、1,2,3,4とカウントするときの手拍子やカウントの長さが4分音符の長さになります。
じょんがら節を例に説明します。音合わせの前後撥をイメージしてみてください。一定のリズムで前、後、前、後と1音ずつ弾いているときの前撥と後撥、これがそれぞれ4分音符になります。楽譜で表現すると以下の通りです。(☆は手拍子の位置を表しています。)

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②8分音符
8分音符は4分音符の半分の長さの音になるため、手拍子から次の手拍子までにちょうど2音入る長さの音になります。
じょんがら節で具体例をあげますと、前撥の後にスクイを入れて、後撥で2回叩きを入れる前後撥のパターンがわかりやすいかと思います。前後撥のタイミングは変えないまま、それぞれ均等に2音ずつ音を出しているということは各音の長さは半分になっているということです。楽譜にすると以下のようになります。(後述しますが、スはスクイを表します。)

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手拍子を表す☆から次の☆まで2音ずつ音が入っているのがわかるかと思います。

③16分音符
16分音符は4分音符の半分の長さの8分音符のさらに半分の長さの音符になるため、手拍子から次の手拍子までにちょうど4音入る音の長さになります。
じょんがら節で具体例をあげますと、音量を段々大きくして盛り上げるとき16のツボでタタキハジキスクイハジキを繰り返すフレーズなどが16分音符にあたります。楽譜にすると以下のようになります。(後述しますが、ハはハジキを表します。)

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手拍子を表す☆から次の☆まで4音ずつ音が入っているのがわかるかと思います。

・休符

楽譜上の●は休符を表します。休符とは、音を出さないことを表しており、音を出さない時間の長さは下線で表現します。何も下線がない休符を「4分休符」、下線が一本の休符を「8分休符」、下線が2本の休符を「16分休符」と呼びます。それぞれ4分音符、8分音符、16分音符と同じ長さになります。
どの糸に書いてもいいのですが、僕は見た目が奇麗なため二の糸上に書くようにしています。

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・拍子

そもそも大多数の音楽は、基本的なリズムの繰り返しパターンが存在し、その上にメロディが乗ることで作られています。じょんがら節や、よされ節なども良い例で、音合わせの前後撥でつくる一定のリズムが基盤となりそこに左手でメロディを乗せることで曲が展開されていくのが分かるかと思います。
こうした一定のリズムの繰り返しパターンのことを「拍子」と言います。例えばじょんがら節であれば、前撥、後撥の繰り返しで作るリズムが基盤となっているため、4分音符2つの繰り返しを一定のリズムパターンとしていることがわかります。これを音楽用語では「4分の2拍子」と呼びます。4分音符4つの繰り返しであれば4分の4拍子、8分音符6つであれば8分の6拍子などというように呼び方が変わります。2/4、4/4、6/8など分数で表記することもあり、楽譜においては曲の最初に分数で表記します。(4/4拍子の場合はアルファベットの「C」で表記することもあります。)
拍子は基本的には曲の最初から最後まで変わりませんが、例外もあり、途中で拍子が変わる場合は拍子が変わる最初の小節にそれを表す記号が書かれます。

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・小節

拍子を元に楽譜に縦に線(小節線)を引いて区切ったものが「小節」です。例えば4分の2拍子であれば、4分音符2つ分の長さの音符(休符)が演奏される毎に縦の線が引かれています。

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拍子は最初から最後まで変更の指示がない限りは変わらないため、それぞれの小節の中に入る音符と休符の長さの合計は曲の始まりから終わりまで常に一定になります。
実際にそうなっているか試しに数えてみましょう。一番短い16分音符(休符)の長さを1とすると8分音符(休符)はその倍の2、4分音符(休符)はさらにその倍で4になります。楽譜上で各小節ごとに数えて足し合わせてみると、

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このようにどの小節も8、つまり4分音符2つ分の長さになっていることがわかります。もし8にならない小節があった場合は間違いということになりますので、自分で楽譜を書くときなどはこうしてチェックするとミスを減らせます。

・各種演奏記号

スクイやハジキなどの演奏記号は楽譜上では以下のように表記します。

スクイ→ス
ハジキ→ハ
スリ→スリ
ウチ→ウ
押し撥→「

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今回は以上になります!まだ説明していない音符や記号もあるのですが追って解説していきます!

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