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地方消滅~読書記録262~

2014年、元建設省官僚で岩手県知事の増田寛也氏の著書だ。

このままでは896の自治体が消滅しかねない―。減少を続ける若年女性人口の予測から導き出された衝撃のデータである。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。豊富なデータをもとに日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望どおりに子どもを持てる社会へ変わるための戦略を考える。藻谷浩介氏、小泉進次郎氏らとの対談を収録。(出版社紹介文)


さて、増田寛也氏と言えば、もう忘れ去られているかもしれないが、2016年の都知事選で小池百合子に敗れた人だ。Wikipediaなどでには何故か載っていない。


私は、この著書で、氏が訴えたいのは「東京一極集中是非」であったろうと思っている。

東京は人口が確かに多い。会社も大きなショッピングモール、駅なども充実している。だから、当然、人は集まる。
けれども、元々の東京生まれというよりも、地方から出てきて住み着いた人が多いのだ。
現在の都知事だって関西の人間であるし、芸能人など地方から出て都内一等地に住んでいるケースが多い。

地方が衰退しても、都心部には関係ない。そう考えている人が多いかもしれない。
だが、地方の都市がなくなってしまったら、東京に出る人もいなくなる。

実際、私は田舎の事なんか知ったこっちゃない、の人間であった。
地方に住んでいる親せきや知り合いに対しても、
「車がないと生活できないから私にはムリ」
「歩かない人たち」
と、そんな風に観ていた。申し訳ない。

だが、見知らぬ街の地方都市部の事。これは他人事ではないのだ。

例えば、仙台に仕事があれば女川から通う事が出来る。そうすれば、東京流出を食い止める事が出来る。(本書の増田氏の言葉)

そうだ。地方には確かに仕事がない。
だが、女川から仙台に通うとして、車を所有していない事には通勤も出来ないのではないかと私は思ってしまうのだ。

私個人の考えなのだが、大正時代の関東大震災の時期は今よりも東京一極集中ではなかったように思う。
商売は大阪が中心でもあったし、大阪が本社の会社がかなりあった。
近年になって、東京本社が増えたのではないかと思っている。
現在のように、何もかも東京一極集中だと、何かあった時に日本が舵がとれないのではないかとも思うのだ。

多分、増田氏は地味な人であったから、派手なパフォーマンスが得意の華やかな小池百合子に負けたのだと思う。
知事として相応しいのは・・・とも考えてしまう未だ。


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