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マチルダは小さな大天才~読書記録426~

マチルダは小さな大天才  作: ロアルド・ダール 絵: クェンティン・ブレイク 訳: 宮下嶺夫

才ちょっとで図書館の本を読破しちゃった、天才少女マチルダ。ところが両親ときたら、そんな娘を「かさぶた」あつかい。学校にあがると、凶暴な女校長がいて、生徒たちを痛めつけている。横暴で悪どい大人たちに頭脳で立ち向かうマチルダの、痛快な仕返し大作戦!

あらすじ
バッキンガムシャーの小さな村に住む幼い少女マチルダは、文学と数学に対する天才的な頭脳を持っていた。しかし両親はそんな彼女を馬鹿扱いし、特に父親はことあるごとに怒鳴り散らして辛く当たるばかりだった。マチルダは負けじと泣き寝入りすることなく、父の帽子に接着剤を塗って取れなくしたり、友達のオウムを煙突に隠して幽霊や泥棒の真似をさせて驚かしたり、内緒で父の髪を脱色するなどのいたずらを繰り返しながら、抑圧された日々の暮らしに耐え続けていた。
やがて6歳になったマチルダは、クランチェムホール小学校に遅れて入学する。しかし、そこは極端な子供嫌いで暴力を用いて子供たちを支配する鬼のような女校長ミス・トランチブルが居る地獄のような場所であった。
マチルダのクラスの受け持ちである女性教師ミス・ハニーは、マチルダの天才ぶりに驚愕し、強い関心を抱くようになる。そしてマチルダをより上級のクラスに進級させようとするが、トランチブル校長に拒否され、マチルダの両親に娘の才能を伝えようとするが、結局とりあってもらえない。そんな中でも2人は絆を深め、生徒と教師の立場を越えて急速に親しくなる。
校長が授業を担当する受け持ちの日、マチルダの友達のラベンダーが、トランチブル校長の水差しにいたずらでイモリを入れるが、マチルダが犯人と疑われてしまう。いわれのない冤罪に怒ったマチルダは、予期せず超能力を発揮してイモリの入ったグラスを倒して、校長に一泡吹かせる。

ロアルド・ダールという作家は、小さい子供向けに童話を書きながら、大人が読んでも納得できる、イヤ、大人になってから読むと又違った感覚になる作品を生む天才ではないだろうか。
そんな気がしてしまう作品であった。

マチルダの両親の様子は、今、日本で「毒親」だの何だの言われている典型であろう。マチルダは、自分の意志で「親ガチャ」に成功したと言えるかもしれない。
マチルダは自分の境遇に対して、決して文句を言わない。自分の才能に関しても自慢したりすることもない。
そのような子どもだからこそ、最後に親ガチャ成功したのだろう。

登場する校長先生の恐ろしさ、担任であり、マチルダの良き理解者、最後には保護者となったミス・ハニー。人物も魅力的であり、ますます、この作者が好きになった。


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