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お独り様の勧め

現在、休みとあらば、安く行ける手段を検索しまくり、歩いて、歩いて、全国を旅している私であるが、実は少し前までは出かけるのは大嫌いな引きこもり人間だった。家で本を読んでいた方がいい、と。
歴史は好きだが、本の中とテレビドラマで満足していたのだ。

その私が今では、テレビドラマに出てきた場所に実際に行きたがり、スマホの歩数計も進むほど歩く人間となった。
何故か?
幾つか理由はある。

1、五木寛之先生の本に感化され、足の動くうちに色々廻りたいと思った。
2、病気や老化などでも長生きしてしまう現代。なら、なるべく健康な状態を死ぬまでに保ちたいと思った。
3、1人で歩く、走るの楽しさを知った。

1と2は置いて、3であるが、そもそも私が出かけたくない、と思ったのは同級生やら息子やらのスピードについていけないからなのだ。
小学生の時に担任は、私の通知表に「スローモー」と書いた。のろまでいいのにね。で、それが母親が私をぶつ、蹴る、罵るの元になったのだが。
私自身、自分でもわかっている。本当にのろまなのだ。体育とか同級生と比べると恥ずかしかった。
遠足は歩くのが遅く、同級生から文句ばかり言われていた。
それは故郷を離れても変わらず。故郷を離れて仲良くなった人とも、一緒に行動するのは疲れた。私の足が遅いゆえに、相手をイライラさせているのがわかってしまうからだ。たまに走るのだが・・・

息子と歩いてもそうだった。駅から遠い所に歩いて行きたがる中学生の息子に付き合った時には
「バスじゃダメ?」「タクシーは?」
と聞いていた。

息子とは、東戸塚駅から歩いてここに行ったのだが、1.5kmの道が辛かった。当時は薬をかなり飲んでいたし、仕事も出来ないほどの体調だった事もある。

先日、この更に先のパン屋さんに行く為、この前を1人で通ったのだが、なんと楽なことよ。

それは、1人だと自分のペースで歩けるからかもしれない。
青信号であっても、もうすぐ赤になるなと思ったら渡らない。
友人や息子と一緒だとそうはいかないのだ。
他人に気を使うこともなく。ただ、交通事故にならなければいい。これだけだ。
そう考えだすと、歩く事、出かける事が楽しくてたまらなくなったのだ。

高校の授業の一環で、1日登山の日なぞあり。休みたかったのに、楽な、身体の弱い人コースということで、札所31番に行ったのだが、少人数であっても、本当に嫌だった。二度と歩きたくない、バス停から徒歩1時間。

なんと!今日の「鎌倉殿の13人」の解説によると、畠山重忠は秩父出身だったとか。で、私が行った札所31番が畠山重忠の駒場つきだたっとな。

もう行きたくない。など思えなくなる。当時は、高校の先生、他の生徒のスピードに合わせてで本当にイヤだったし。逃げたかっただけで楽しくもなかった。だが、今はうるさく言う人が1人もいない。だから楽しめる。

今日もマイペースで歩いた。
のろまだの、遅いだの言う人がいないし、他人に抜かれようが気にならない。
ただ、ずっと歩ける身体でいたい。それだけだ。

今、独りだからこそ、楽しめるんだろう。感謝だ。


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