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酔いどれ弁護士~読書記録415~

酔いどれ弁護士 レナード・トンプソン

かつての名作を作家・北村薫が集めたアンソロジー。
その中の1つに、酔いどれ弁護士シリーズが収録されている。
かつて、アメリカにエラリー・クィーンズ・ミステリ・マガジンという雑誌があった。そこに応募し、掲載された作品である。


エラリー・クィーンズ・ミステリ・マガジンは、1941年、アメリカ有数の推理作家として知られていたエラリー・クイーンが、自ら編集長となって創刊したパルプ・マガジンが『EQMM』である。
「エラリー・クイーン」はフレデリック・ダネイとマンフレッド・リーの共同ペンネームだが編集長を務めたのはフレデリック・ダネイである。1982年のダネイの死後はエレノア・サリヴァンが編集長を引き継いだ。また、クレイトン・ロースンは1963年から死去した1971年までデスク(managing editor)を務めた。
『EQMM』はその編集水準の高さから、1950年代から1970年代の短編小説の減少期間を生き抜いた数少ない小説誌のひとつである。現存するミステリー小説誌のなかで最も長く続いている。
また、新人作家の育成に力を入れてきたことも特徴である。今日では主要な出版物は著作権代理人を通した投稿しか受け付けないが、『EQMM』の初作品部門はアマチュアからの郵送による投稿を受け付けており、初作品部門では数百人の新人作家を紹介してきた(その多くが常連投稿者になっている)。

1946年の雑誌に掲載された酔いどれ弁護士シリーズ。なんと!作者は執筆当時、16歳の少年だったのだ。
ミステリとしては密室トリック重視。ジョン・ディクスン・カーを目指しているのだろうと思う。キャラクターが実に面白い。早熟なゆえ?か。この作品以降、今は作者はどうしているのかわからない。

だが、最初からこんなに素晴らしいものでもなかったようだ。
編集責任者のエラリー・クィーンが何度もやり取りをし、直すべき点は直しとしたのだ。
その手紙もこの本には掲載されている。

ジェイムズ・ヤッフェもやはり、エラリー・クィーンの親切なアドバイスのやり取りをしている。

ミステリー作家の育成を責任もって引き受けたエラリー・クィーン。
存在自体が素晴らしい。

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