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おはようおかえり~読書記録307~

2021年 近藤史恵による作品。
43年前に亡くなった曾祖母が乗り移るという、それだけきくと怖い話のような気もするのだが、大阪人のノリでか。実に楽しい話になっている気軽なミステリーである。


真面目な姉と自由奔放な妹。二人の姉妹に訪れる思いがけない出来事とは——北大阪で70年続く和菓子屋「凍滝」の二人姉妹、小梅とつぐみ。姉の小梅は家業を継ぐため進学せず、毎日店に出て和菓子作りに励む働き者。妹のつぐみは自由奔放。和菓子屋を「古臭い」と嫌い、大学で演劇にのめり込みながら、中東の国に留学したいと言って母とよく喧嘩をしている。そんなある日、43年前に亡くなった曾祖母の魂が、何故かつぐみの身体に乗り移ってしまう。「凍滝」の創業者だった曾祖母は、戸惑う小梅に「ある手紙をお父ちゃん(曾祖父)の浮気相手から取り戻してほしい」と頼んできた。手紙の行方を辿る中で、少しずつ明らかになる曾祖母の謎や、「凍滝」創業時の想い。姉妹は出会った人々に影響されながら、自分の将来や、家族と向き合っていく。「ビストロ・パ・マル」シリーズの近藤史恵が描く、少し不思議であたたかな傑作家族小説!


1975年にテレビはあったのか?とか書かれていたもんだから、著者は平成生まれ?かと調べてしまった。
昭和の生まれだった。
今の若い子なら、こうなんだろうな、というリアリティが非常に感じられた。
著者自身がどういう実体験をしたかはわからないが、主人公の父親は在日2世だ。そのことで、主人公の苦しみもある。
和菓子屋を継いでいいのか?韓国のお菓子でも作ったら?とか言う人たち。
確か、大阪は在日が多いのだと聴いた。そんな社会の中で当然の如く出来た設定なのだろう。

しかし、それにしても、甘い物、和菓子が食べたくなる作品であった。
読んだ翌日には、私が横浜市で一番美味しいと思っている大福の店にと走ったのだった。


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