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恋愛結婚は何をもたらしたか~読書記録123~

2004年、明治学院大学・加藤秀一教授の研究書。
加藤教授は昭和38年生まれ。
ジェンダー研究が専門のようだ。



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明治になり、キリスト教が伝わった事による、恋愛至上主義が人の心を魅了した。
著書が言うには、北村透谷が恋愛至上主義の最初の人だとか。
私は、北村透谷を初めとする、明治期のクリスチャンは、途中で絶望感から自殺のイメージがある。
そして、明治期に求められたのは、一夫一婦制。
だが、聖書が一夫一婦制を言っているかというと、旧約を読むと、明らかに一夫多妻制だ。
ヨーロッパのキリスト教国家の中で変化していったのだろう。
古代ギリシャ、ローマは一夫一妻制であったという。

又、明治期の民法では夫婦関係は実に不平等であった。

この書の副題には、「性道徳と優生思想の百年間」とある。
著者が言いたいのは、優性思想が果たして良いのか?なのだろう。

戦前から優生思想というものはあった。
精神病や障害は遺伝と考えられていたからだ。
生まれてきたのが不幸な子ども。
生んで貰っては国民全体が困る。
これは、戦後にも繋がる考えとなった。
いや、待てよ?戦前は、お国に役立つ為の「優性思想」、役に立つ人間を生むようにであったが、戦後は無意識のうちに、自分の為に子供を選択していないか?
恋愛と結婚は別。婚活などをみても。。。
DNA検査、出生前診断も進み、簡単に中絶も出来る世の中になった。
体外受精の技術も進んだ。
優生保護法とはいったい、なんなのか。
生まれてきたのが不幸な子供の定義は何なのか?
恋愛至上主義より、現代は、遺伝子至上主義になっているようだ。


ここで、私の雑談を述べたい。
一部における障害は遺伝という考えは、21世紀の今の方が戦前よりも強いような気がする。
昭和の時代には「ちょっと変わった子」と言われ、たまに仲間外れにされたり、虐めは受けるけれども、まあ、何とか学校にも行き、仕事もし、結婚も出来という人がかなりいる。
けれども、平成以降、「発達障害」という言葉を使う人が増えた。しかも、教育関係者が簡単に使う。
で、その子の親が「自分もアスペルガーかな」と「思い当たるな」となる。
確かに、そうなのかもしれないが、苦労しながらも、変わり者と言われながらも生きてきたんだから、そんなに悩む事はないのではないか。
今の社会が「皆同じ」を求めすぎているのだ。
戦前よりも、はみ出した子が生きにくい世の中だ。

人の欲と言うのは留まるところを知らない。
順天堂大学名誉教授の樋野興夫先生のように「衣食住足りていればいい」になる人は実は少ないような気もする。

より良いDNAを求め、体外受精で子供を得られたとしても、自分の満足する結果になるだろうか。

と言いつつ、私は日本人には恋愛至上主義とか、恋愛は向かないなと思うのだった。

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