まぼろしの小さい犬~読書記録424~
まぼろしの小さい犬 フィリパ・ピアス 作 猪熊 葉子 訳
ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと。誕生日に、約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは、想像の犬を飼いはじめる。やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが、それは想像の犬とあまりにも違っていた……。少年の心の渇望と、葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作。
猪熊葉子(いのくまようこ) 児童文学者・翻訳家。聖心女子大学名誉教授。サトクリフ『太陽の戦士』『ともしびをかかげて』、ピアス『川べのちいさなモグラ紳士』、エイキン『しずくの首飾り』『おとなりさんは魔女』『子どもの本の書きかた』、トールキン『妖精物語について』など訳書多数。著書に『児童文学最終講義』『大人に贈る子どもの文学』など。
ちょっと主人公の我がままさにイライラする事もかなりあったが、最後には納得する作品だった。
少年の成長を丁寧に描いている。と同時に、大人が読んでも反省しきり。納得するものであった。
例えば、仔犬だったら可愛いから飼いたいけど、しばらく見ないうちに大きくなってしまって、イヤだ!名前を呼ばない。ただの犬という認識になってくる。
犬だって、そんな人間の心をよくわかっているから恐怖しか覚えない。
これは犬に限らず、猫にも言えることなんだろうなと思う。
最後に、主人公のベンが現実を認め、その犬を「ブラウン!」と呼んだ。そこがもう泣けるのであった。
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