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ショック過ぎた日~読書記録91~

昨夜は、大好きな作家、森村桂さんのご主人の手記を読んでいた。

そこに書かれていたのは、かなりのショックな話であった。
そして、あまりのショックというか、キツイ内容に、キャスでの朗読(この本だ)も出来ず、友人へのラインの返信も出来ず。Twitterも開けられずにいた。

私にとっての森村桂さんと言うのは・・・


こんな感じなのだ。40代後半になっても、少女のような服装が似合い、今現在の日本ではなく、夢の中に猫数匹と住んでいるような。この世的でない?
つまり、社会生活に押し詰められてストレスだらけの読者にとって、癒しみたいな感じである。

森村桂さんが大好きで、20代前半のバブル期、有給休暇を取り、軽井沢に行き駅前で自転車を借りて(既に、この頃から自転車を愛する女であった)、桂さんのお店「アリスの丘」に行った。
「忘れんぼのバナナケーキ」は一番のお勧め。

この本の著者、三宅一郎さんは「アリスの丘」ティールームのオーナー。
日本ビクター音楽産業で正社員として勤めていたが、会社の上司夫人から勧められて森村桂さんと見合いをする。
既に、写真を見ただけで、「結婚する」と決めたそうなのだ。
当時、三宅さんは34歳。桂さんは、39歳で、11年間の結婚生活を離婚と言う形で終えており、離婚が彼女にとっての深い傷となっていたのだった。

再婚した頃は三宅さんの優しい人柄によって、桂さんは癒され、軽井沢で、ケーキ屋さんをオープンなど素敵な笑顔に。

私が軽井沢を訪れたのは、お2人の素敵な時代だったのだろう。
「そして、お姫様はいつまでもいつまでも王子さまと暮らしましたとさ」
で終わったと思っていた。
亡くなったと知った時も、よく調べもせず。
と言っても、桂さんが亡くなられた2004年はTwitterもまだできていないし、ガラケー時代でもあり、Wi-Fiやら携帯料金やら高くて、簡単にネットを出来る時代でもなかったのだ。
「癌か何かかな?」
と思っていた。

しかし・・・
今回のこの本は強烈過ぎた。
結婚されてから、何度もの自殺未遂。私が大好きだった桂さんのデビュー作や「天国に一番近い島」など、明るい桂さんは、躁鬱病の「そう状態」の時に書かれたのだろう。。。
亡くなる直前、お腹を血だらけにした桂さん。
「ナイフでお腹を刺したの。そしたら、血がたくさん吹き出してきた。ああ、これで死ねると思って、睡眠薬をたくさん飲んで寝たの。でも、死んでるはずの私が、朝、目が覚めたら生きていたの」(本書より)
そして、すぐに精神科の病棟に入院。病院のトイレで倒れていたところを発見されて人工的に心臓を動かしていた状態で、三宅さんが病院に到着後、装置を止めたと。

その死に至るまでの壮絶な精神の葛藤。読んでいるこちらが苦しくなったのだから、共に暮らした三宅さんの苦しみは計り知れない。

5歳も年下の三宅さんを「お父ちゃん」と呼び(一般的な妻がお父さん!と呼ぶような感じではなく亡くなった自分の父親の代わりとしての三宅さんがいる)、三宅さんは小さい子をあやすように「桂ちゃん」と呼ぶ。50代、60代で、自分を「桂」と呼ぶ幼さ。そこに魅力があるのだが、夫婦としての関係はなかったのだろう。

三宅さんは、長野県の精神科医に「桂さんを診る事は出来ない。治せないからだ。むしろ、三宅さん自身が桂さんから離れて入院してください。」
と言われる。
桂さんとの共依存関係において、うつ病になっていたのだ。

他の精神科医らも、桂さんと実母の関係から精神の崩れを指摘されていた。他人との共依存関係。
それは、三宅さんが結婚時に出会った桂さんの学友らを観るとわかるものでもあった。
年上からは見守るべきもの、として見られ、年下からは姉のように慕われる。

そして。
私は、ネットでかなり、森村桂さんについて調べた。
離婚した旦那さんは探検家。売れっ子作家の桂さんの稼ぎで趣味の探検をしていたこと。
探検というのは、相当なお金がかかるらしい。
実母は、結婚した娘を自分の想い通りにしようとしていた事。怖い母を気にしながらの執筆活動でもあったこと。亡くなった父の代わりに母を養わねば、という想いは桂さんにはあったようだ。
だが、私の母などもそうなのだが、戦前生まれの女性は夫に頼り、夫が亡くなると息子に頼り。だ。うちの母は、今は孫に頼っている。

こちらの本の中でも、自分の家が貧しかったと書いている。他の本にも貧しい事が書かれているが、他の方の書評では、
「戦前生まれの方が小学校から大学まで学習院て、貧しいとは言えないような。。。」と。
確かに。高校も行けない人が山ほどいる時代であったから。

ちなみに、同じ頃に学習院に通っていた方はというと。。。

麻生太郎(あそう たろう)
1940年9月20日生まれ。副総理、財務大臣、衆議院議員、元総理大臣、元外務大臣、元総務大臣。
学習院高等科を卒業→学習院大学政治経済学部を卒業

森村桂
1940年1月3日生まれ。エッセイスト
学習院女子高等科→学習院大学文学部国文学科

こちらの本は、一度、断捨離しすぎて、全ての料理本が自宅から消えたのちに、少し前にAmazonで購入した。

なんと!!「アリスの丘」と入れてあるサイン本だ。
こういうのを平気で売るんか!と怒るか、貴重なサイン本が安く手に入って嬉しいわ。(少女パレアナ風に)と感謝するかは、本人次第。


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