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アッホ夫婦~読書記録427~

アッホ夫婦 ロアルド・ダール 作 / クェンティン・ブレイク 絵 / 柳瀬尚紀 訳

アッホ氏は、汚い毛むくじゃらのヒゲ男。アッホ夫人は、アッと目をむくひどいブス。夫婦そろってすっご~く性悪!そして世にも恐ろしい結末が…?『いじわる夫婦が消えちゃった!』改題。
名人・柳瀬尚紀、快調の〈新訳〉。


不器量で不衛生で意地悪なアッホ氏とその夫人はともに意地悪な性格をしており、互いに意地悪をしあっていた。
夫妻はペットとして飼っている猿のボスノロ一家に毎日何時間も逆立ちをさせては、言うことを聞かないと暴力をふるうのであった。
ボスノロは夫妻が庭の木に接着剤を塗ってそこに止まった鳥を捕えてパイの具にしていることを知っており、庭の木に近づく鳥たちに警告するも、鳥たちは猿たちの話すアフリカの言葉が理解できず、毎回毎回犠牲になるのであった。
ある日、アフリカから一羽の鳥がやってきて、猿の一家の相談相手になった。
かくして、ボスノロ一家によるアッホ夫婦への復讐が始まるのであった。


いやはや、翻訳者によって、こうも面白くなるのかの一例である。
忠実に訳す、作者の意を想う。色々であろうが、柳瀬先生の訳はたまらない。

さて、ロアルド・ダール氏の作品は子ども向けではあるものの、大人が読むとかなりの皮肉に思えてならないのだ。
この夫妻。大変仲が悪く、常に相手への嫌がらせに燃えていた。奥様は若い頃は綺麗だったのに、心が顔に出てきて醜い女になってしまったのだ。
夫からは、「醜い女」と言われている。
うちだけにあらず、世の多くの夫妻はこのような関係になっていないだろうか。怖い、怖い。
そんな中でも、やはり面白おかしく。そこは作者と訳者の腕だなと感じるのであった。


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