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わが愛のルキーノ・ヴィスコンティ〜1982年の写真集「ヴィスコンティの遺香」撮影 篠山紀信

こんにちは!本日もおつかれさまです。

ベリーダンサーのShala(シャーラ)です。

皆さまお元気でしょうか。私にとって永遠の憧れであるルキーノ・ヴィスコンティ。宝物となっている写真集を紹介します。

美しく贅沢な物をとことん愛し、どのような人々とも寛大な心で接し、中世から続く貴族の家に生まれ育ったがゆえの美意識のすべてを、尽きせぬ情熱によって数々の映像作品に注ぎ込んだ偉大な映画監督、ルキーノ・ヴィスコンティの写真集です。1982年発行、絶版となっている貴重な一冊。

出自はミラノの大貴族の家系であり、生涯愛慕した美しい母、活発な子ども時代の兄弟や家族との写真、友人たちや撮影チームのメンバー、住まいとしたお屋敷やコモ湖畔の広大な館など、豊富に掲載されています。

特に、絶景の地に立ちナポリ湾を見下ろすイスキア島の別荘の様子は圧巻で、来客のあるテラスだけでなく、寝室や浴室などのプライベートスペースまでもが、生前そのままの姿で撮影されています。

アールデコの内装と調度品、アール・ヌーヴォーのオーナメント、花瓶や整然と並べられたペーパーナイフといった小物に至るまで非常に美しい本物ばかりで、毎回うっとりと眺めてしまいます。

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大判で見応えあり!

表紙に「華麗なる全生涯を完全追跡」とあるように、内容はヴィスコンティの生涯多岐に渡り、マリア・カラスやココ・シャネルとの写真など、豊かな交流関係を表す写真も豊富です。

社会問題を扱う映画も撮影したルキーノには、若かりし頃、第二次世界大戦中パルチザンとして捕まり、あやうく処刑されるところを逃亡し助かったという経験があります。熱き闘士であり、貴族としての生活範囲の中に優雅に収まっているだけというのではなかったようです。

素晴らしいエピソードがたくさんあるため、一つのエピソードのみ取り上げると偏ってしまうのですが、寛大さといえば、自身が病気で半身不随になった時、遠方から毎回バスを乗り継いでやってくる床屋さんに車を買いなさいと言って小切手を渡したとか、それも非常にスケールの大きな寛大さでした。そしてそのことを口外しないのが、彼という人物なんですね。

大学生の頃、ヴィスコンティの映画を次々と映画館で見てすっかり魅了されて以来、未だに美意識において、私にとって彼を超える存在はいないように思われます。

貴族の没落を描いた映画「山猫」撮影時の完璧主義ぶりなどは伝説的です。身内の本物の貴族たちをエキストラに駆り出し、衣装1つ、帽子1つに至るまでほんの少しの誤魔化しも見逃さなかったとあります。給仕やメイド、その身分によって着るものは全て違うのですから、数百名の出演となるとそれは大変です。エキストラから花屋まで、根こそぎと言っていいほど、はるばるローマからロケ地へ連れて行ったというのですから驚きます!

ある時など、衣装係が黒のシルクハットを忘れてしまい、こっそりグレーのハットを暗く塗って撮影しようとしたところ、それを見つけて激怒、ローマまで帽子を買いに行かせたそうです。(この時のロケ地はヴェネツィア、その間撮影は中止に。)完璧主義を貫ける情熱が凄いと思いました。

今回、この記事を書くために久しぶりに写真集を手に取ったのですが、やはり読み耽ってしまい、胸が熱くなります。

本日は、究極の美意識にまつわるお話、ヴィスコンティの人間性もスクリーンに反映されていると思うと感動してしまいますが、そういった優れた人物の生涯、貴重なプライベートを余すところなく写したレアな写真集についてでした。

それではまた、良き日々をお過ごしくださいますよう!!





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