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積聚治療の”なぜ”(8)

積聚会副会長 加藤 稔

『積聚会通信』No.9 1998年11月号 掲載
2022年11月 筆者加筆修正

背部兪穴への施術は、全施術の過程で重要な要素を含んでいると教わった。
 
腹部の積に応じた選穴、そして取穴を自分の押し手の感触( 感性、感受性、硬軟、時に視覚 )で施術していく。
 
積聚治療は、腹証や病症から理論的に必要な穴を割り出すことを選穴とし、選穴に基づいて身体に施術する位置を決めることで取穴としている。
 
この第1穴目の持つ治療効果の影響は如何程のものか?なかなか効果が表われない時もあれば、ほぼ100%に近い効果を時に経験する。
 
臨床上、治療をはじめてから10分も経っていないにもかかわらず、治療を始める前の症状がすべて消失しているときには、治療を終了したい時もある。
 
これ以上、施術を続けていくことは、ドーゼ・オーバーを危惧しなければならないと考え、患者との対話などで時間を取り繕う羽目になる。
 
このような経験をした患者さんに後日、症状について聞いてみると、身体の調子は良かった、との答えが返ってきた時には、ほっとする一瞬である。
 
なぜ、第1穴目の取穴がこんなにも治療効果をもたらすのか? こんな治療法が身に付けば「鬼に金棒」という心境になれるかもしれない。
 
技術はつねに向上していかなければならないものと巷の”匠”は口をそろえて言う。
 
ツボなのか?技術なのか?向上とは?なぜ匠は?