見出し画像

積聚治療の”なぜ”(1)

積聚会副会長 加藤 稔

『積聚会通信』No.2 1997年9月号掲載

積聚治療には不思議なことがあると一人思っている。

どんな疾患・病名をもった患者でも治療パターンに大きな変化がないということである。というより治療パターンを替えなくても、治療効果を出していけるということなのであろうか?

おそらく答えは「Yes」と返ってくるようだ。

なぜだろう。

積聚治療はいくつかの施術ステップを踏む。ステップを次のごとく勝手に分けてみた。

1.患者の仰臥位にてのタオルによる腹部の軽擦
2.腹部接触鍼
3.脈の調整・確認
4.積の決定
5.背部兪穴への施術(タオルでの軽擦、接触鍼含む)
6.手足への施術
7.腹部残積の施術、症状への施術
8.座位の処置

勝手に分けてみても8段階もある。出来たらもっと少なければいいと思いつつ最初のステップについて”なぜ”の疑問が生まれてきた。

1の患者の仰臥位にてのタオルによる腹部への軽擦とは何を意味するのか?

腹部の皮膚の状態(乾燥、湿り気、汗等) を知り得るにはタオルを介しては不十分だろう。直接腹部に手を触れた段階で腹部の皮膚の状態を知り得る。これは直接手を使う、2の腹部接触鍼のところで知り得ることになる。施術のステップとしてはスムーズな変化に、今頃になって”なるほど”という感服の心境である。しかし1の軽擦にはそれ以外の目的はないのだろうか?勝手に考えてみた。

マッサージの軽擦の方法と関連があるのか?マッサージで行なう上下の方向(縦)、左右の方向(横)、ジグザグの方向、時計回りの方向または逆方向の場合等、いろいろな軽擦の仕方が浮かんでくる。これらの方法や別の方法を使い分けるよことによって、患者の治療回復への目的に一歩でも近づけられるならば、大きな意味を持つことになる。

タオルの軽擦は5~10秒で終る動作である。こんなところで”なぜ”と考えてしまった。

患者にとって効果のある軽擦とどんな方法が良いのか常々考えさせられるテーマである。