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積聚治療の”なぜ”(6)

積聚会副会長 加藤 稔

『積聚会通信』No.7 1998年7月号 掲載
2022年11月 筆者加筆修正

積聚治療で、背部兪穴等の施術は、一本の鍼(時に灸、鍉鍼、三稜鍼)で行うことを基本としている。
 
その理由として、一点の刺激は必ず何らかの変化を身体の全体または一部分に与えていると考えている。身体に加えられる刺激とは、時に個体であったり、液体であったり、気体(熱風等・色体表の五気)であったり、気功師等の気であったりする。
 
ゆえに刺激となるものは森羅万象に亘るといえる。
 
それらのうちの一つとして銀鍼を使っている。
 
千変万化する患者の皮膚の硬軟に対して、しなやかにたわむ銀鍼を時に深く刺入するという技を要求される。さらに鍼の刺入は患者に痛みを感じさせないようにという条件付きである。患者は痛くない鍼を望み(痛いのが効くと思っている患者もいるが)、術者は痛くない鍼をすること努力をする。
 
患者と術者は「痛くない鍼」が希望であるが、なぜか痛みが発生する。患者には痛みが感じられずに術者に感じられればと思う。そのようにうまく事が運ばないのが現実である。両者のどちらかが痛みの発生の原因を作っているのではないかと考えなければならない。時に双方が原因の事もあるだろう。
 
しかし、なんといっても術者が痛みの原因を創っているのがほとんどだろう。ゆえに、術者は鍼を刺入する限り、痛みのない鍼をする技を常に維持向上し続けなければならないことになろう。技を常に維持向上することとは何を意味するのか?