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2021/12 シンる

頼朝(内藤大希)
色々言いたいことはあるのだけど、そしてもちろんクライマックスの感情が激しく動くシーンも良いのは当たり前なのだけど、個人的にめちゃめちゃ良いと感じたのは序盤の北条家に初めて訪れたシーンだった。頼朝の強いところは、どんな状況になっても希望を持てる・立ち上がれることだと思う。時には立場さえ忘れて人々の未来はもちろん自分の未来にも希望が持てる。だからこそ、幼馴染たちの裏があるに違いないという言葉もそれなりに流して、「大事にして見せる」と言えた。
その後自分は利用されるだけなんだな~と気付いたら、しっかりそれに傷付いて落ち込む。今回のこともこれまでだって、傷付いてはいるはずなのに人前では笑って見せられるのがなんでだろうと思うのだけど、海辺で一人きりになったときの表情でそれがわかる。もう期待してそれに裏切られて、利用されて傷付くことにすっかり慣れてる。諦めることに慣れ切った笑い方をして歌うんだ。ここの表情が好きすぎる~~~~!!!
個人的に内藤さんは、(前述した通り、激しいシーンもバチクソに上手いということを前提にしたうえで)こういう静かなお芝居がとっても上手いな~~…と常々思う。なんなら台詞もないし、大きく動くわけでもないけれど、そういう『静』の魅せ方をすご~~くよく理解してて的確に見せられる人なんだなあ。歌声も、大きく張り上げればどこまでも大きく強く伸びる声も出せるけども、ああいう囁くような、ぽつりぽつりと心情を吐露するような歌声が、真骨頂だな~と思っています。
その次に、ラストの義時と別れて涙をこらえて空を仰いで、ふっと笑うシーンが好き。また台詞ないとこじゃんか!このシーンは初日から千秋楽にかけて、どんどん寂しそうな色が濃くなっていったのが印象的で、シンるが終わりに近付いてるのを感じたオタクは一緒にめちゃくちゃ寂しくなってしまった。
静なシーンばかり挙げたけど、初日マチネに最前席いただいてたのですがちょうど頼朝が自刃しようとして義時と軽く揉み合ってるところがマジの真前で、推しの迫真の自刃シーンを目の前で見せられたオタクはちょっと気をおかしくしちゃった……

シンるは本当に曲のジャンルのバリエーションが豊かで、歌を聞くだけでもとても聞きごたえのあるミュージカルだな~!と思った。オレノさんって天才なんだな~~。そして内藤大希ってどんなジャンルでも歌いこなせる歌うまヤバ男なんだな~~。「胸に火を灯せ~」の歌い方とかは本当に初めて聞いた感じだったので感動したし、めっちゃくちゃ良かった。内藤さん自身もいろんな歌い方を楽しんでるんだろうなというのが伝わってきた曲でもあったので、とっても好き。頼朝は歌の量えげつなかったけど喉潰さずやりきっててつよい。内藤さんはつよい!!
さなだんのオタクなので、GPSは非常に助かりました。YMくん踊ってる時の表情管理完璧でパーフェクトアイドルだった。推すっきゃない。あずまちゃんのときに「みなもとのよりとも」をちゃんと言える打率があまりにも低くてもう君は「よりもと」ってことでいいよ…となった。あずまちゃんみたいなぶりぶりの可愛いアイドルソングが大好き人間だからそれに合わせた歌唱とダンスをしてくれてハッピー。でもやっぱり一番好きなのはヨクナックだったな…。

義時(平野良)
ああいうプライド高い男が振り回されている様、みんな好きですよね。わたしも好きです。
義時くんは頼朝がもう死んじゃおうってしてるところで「俺を見ろ」って言えたのがミラクル偉い。信じられない。ド年末に颯爽と現れ、えらすぎオブザイヤーを搔っ攫っていった。
ちゃんと頼朝と自分にできること・できないことの違いを把握して相手を認められたのもえらいよな。シンるは義時くんが分業の大事さを学ぶ話だな(そうか?)
これは多分わたしが現代人だから理解できない案件なんですけど、なんぼなんでも義経に何か仕事任せようや…とは思った。だって鳩が警備できるんだぜ。鳩に警備任せられるのに義経に何もさせないことが絶対必要な理由が全然わからんからそこだけ納得が…いかず…ガチで忘れてただけだったらドンマイやけど…そうじゃないっぽいし…。あんなやる気だけはある奴、お前には仕事ないよ~んってしたら暴れるに決まってるじゃん、というのが義時にわからなかったわけないと思うんだけど。義経の性質を完全に理解していて、暴れられること見越してそれでも役目を与えなかったんだとしても、頼朝は運良く時房と政子様に助けてもらえたから生きてるだけで、普通に死んでるとこだったんですが…?という気持ち。悪手でしかないと思うんだけどなあ。適当にそれこそ市内警備的な役職拵えてやっときゃ丸く収まったんではないのか。まあそれってあの義経にとってはなりたい自分にもなれず暴れられる理由もなく、くすぶっていくだけルートへの突入だから全然良くないけど。も~~ここいくら考えてもわかんないから助けてくれ

親能(大山真志)
ほんんんとに今作は親能が一番好きかもしれん。めちゃくちゃ良かった。ああいうキャラが好きですよねわたしは。
親能はとにかく『待つ』人だなあ~と思った。頼朝がその力を示すまで、じっと様子を見ながら待っていた、という解釈が個人的にはしっくりきたので、いろんな演技のパターンを見せてくれたけど、登場シーンの「何も出来ないのか、そう報告しよう」の部分で怒ってるパターンが好きだったし、最後の後白河さんに捨て台詞吐いた後は大笑いしていたパターンが好きだった。頼朝を待っている立場としては、「何も出来ないのか(期待外れだ)」と顔を背けてから不機嫌そうにしているのも、ついに待っていた時が訪れたタイミングにはおおいに笑っているというのもしっくりくるので。一貫して裏表がすごくあるキャラクターだったけれど、最後もう裏表を見せなくてもいい段階になったから抑えきれず大笑いしてる感じが、よかったね~~という気持ちになる。
広元に対しても、溺愛はしているけれども決定的なアドバイスやら、ああしろこうしろということは決して言わず、ただ広元が変わるきっかけだけを与えて、親能は待っていただけだった。頭を下げる義時に対して戸惑い、みんなが押し黙っていたとき、広元はふと親能に目をやったけれど、親能は表情を変えず、ただほんの少し頷いただけだったシーンがめちゃくちゃ良かった。台詞はないけれど、「お前が思うようにやりなさい」という、親能にとってはそう特別でない感情で、けれど確実に広元の背中を押したあのほんの僅かな肯定が、すごくあの兄弟らしくて好きだ。
そしてやっぱりまさしの歌声が好きだ~~~大好きだ~~~。よく通るキレイな声だけどすごく力があって、思惑を含ませる深みもある。内藤さんは歌う曲で自分を染めていく感じだけれど、大山真志はどんな曲でも自分の歌にする力がある。パワータイプだ。めっちゃ似合う。やっぱプロレスラーなんじゃん…。複数人で歌うとまさしの声しか聞こえん問題が冒頭のあれでも勃発していた。初日はさすがにあそこに誰が居て誰が居ないのかわからないけど、まさしだけはわかった。ていうかまさししかわからなかった。デカすぎんだろ…(声が)
一部で一番好きなの親能だし、二部で一番好きなのはアイちゃんだからもう大山真志のオタクなのか?という状態の内藤オタクです。アイちゃんの末っ子わがまま娘感、本当にたまらん。大好きだ…わたしはわがままな女が大好きだから……わがままな女……?……まさしが………?いったい何を言ってるんだ…………

盛長(辻本祐樹)
今年も辻本祐樹に負けてしまいました…………(絶対勝てないから諦めなよ)
盛長くんの良かったところ挙げたらキリないんですけど……盛長くんも親能と心の奥底は一緒で、頼朝が力を発揮することがうれしいんだなあって思ったのが、頼朝がたくさんの兵を集めて先頭で突き進んでいる姿を見てめっちゃ嬉しそうに「上出来かも!」と言っていたとき。あのシーン、さりげないし政子様のツンに目がいきがちだけど盛長くんがあそこで「これならあいつを斬らなくてもいいかもしれないな」と頭によぎっていたら、たまらんよな~と思う。
あと政子様と頼朝が「あなたを愛せたら」と歌ってるところで二人を陰から見つめるその顔が6億点でした。その後頼朝に「皆が幸せになるまで」と言われたときの驚いた顔からのだんだんと泣きそうな笑顔に変わる表情も7兆点出てました。ありがとうございます。「俺に掴まって休んでいろ」と言える盛長くん優しくてかわいいね。
盛長くんはいつか直接自分が頼朝を斬らなきゃならない未来を覚悟していた分、親能よりも頼朝への期待度は低かったけど、でも「期待したい」って気持ちは誰よりも強かったよね。「いつかお前を斬る日が楽しみだ」は「そんな日は来ないんだろうな」としか聞こえんかった。良かったね。

広元(櫻井圭登)
めちゃくちゃダークホースだったーーーシンるは広元の成長をみていくのが楽し過ぎる…。
始めは自分をくだらない存在だと言って殻に閉じこもっていたのに、ちょっとした兄の思惑があったとは言え、なりゆき的に役目を与えられ、それに価値を見出してしっかりと貢献した。その役目を全うするために、その役目をくれた義時のために、そして何より初めて自分に価値を見出せた鎌倉という町のため、その自らが考えた町の機能を知らしめるために、誰より先に頭を下げる義時に対して助けの手を差し伸べる、あの瞬間がエモすぎてめちゃくちゃに泣けた…。あの人前で喋るのに死ぬほど吃って声を裏返してた広元が、あんなにも堂々と、一番最初に声をあげたことが、わたしはめちゃくちゃに嬉しくなってしまった。それを出来たのは、自信を持って人々を助けられる整備された町を自分が作ったからだ。誇らしいね。結果火の回りも最小限に留められて、人死には出なかった。広元にとってめちゃくちゃ自信になったよね。
一見とっつきにくそうなキャラクターだけど、わかりやすい成長ストーリーが用意されててとても綺麗なキャラクターだった。そして何よりかわいい。地雷メイクと金髪巻き髪にホワイトにピンクがめちゃくちゃ似合う〜!!マジでかわいい。一目見た瞬間にかわいい。
そしてこんなにかわいいのに意外なほどに二部で暴れてたのが印象的だった。るーちゃんは割とかわいい若手には甘いからそんな頑張らなくても大丈夫じゃない…!?って思ってたけど、楽しんでやってくれてたのなら良いな…(謎の心配)でも思い返せば塾の時点でおや…?って感じだったな…。

義経(佐奈宏紀)
これはわたしが武士の気持ちがわからない問題がまた勃発してるので本当に語るのが難しい〜。でも結局義経チンギスハーン説を代わりに頼朝がなぞる未来とかいうメチャクチャな義経ルートエンディングを歩んでる時点で超一人勝ちしてるよな〜。義経が見たかった景色を見る旅に出るんだもんな。もちろんあれは頼朝が望んだ道でもあるから、ようやくそこで二人の道が交わったんだと思うと、良かったなあと思う。なんやかんやそうなったのは義経の言葉や想いの末だから、強かった。
個人的にはもっと静ちゃんとのなんか良い感じのアレが欲しかったなあという気持ちと、弁慶からの熱い気持ちは客側も受け取れたけど、義経から弁慶への何か…もうちょっと…まだなんか食べ足りないんですけど…!?という感じで寂しい。リーディングに期待ですか?

弁慶(鯨井康介)
鯨井くん、死ぬほど楽しみにしてた……!!そしてその期待通りのものを間違いなくお出ししてくれるのが本当にありがたい…。欲を言えば一曲がっつり弁慶の曲あって歌ってくれたらハッピーだったけど、そこはしゃーなし…。めちゃくちゃかっこいい一人きりのシーンがあっただけでも嬉しい。鯨井くんが居るんだから客はこういうの見たいでしょ?というのをめっちゃ感じた。その通りだよ〜〜!!!これが欲しかったんだよ〜〜!!!!
鯨井くんとるひまの親和性めちゃくちゃあるだろと思ってたけど、一部の芝居をアツくするのと二部を盛り上げるのと、マジで両方できる人だから本当にそう。ねむねむとピーターパンしか出てないのになんでこんな印象強いんだ…大好きだ…。

範頼(前川優希)
範頼みたいな子、好きだな〜〜。わかりやすい野心家、破滅の匂いしかしない子。かわいいね。義経とは違う方向で、武士として成り上がることを名誉としていた人だけど、意義とか誇りとかでない、シンプルな権力の座を欲していたわけなので、わかりやすくて助かりますわ。
ただどうしてそういう極端な考えに至ったのかはあまり描かれていないところだし、前川くんだし、リーディング……ないですか!?範頼の独白リーディングありそうすぎて期待しちゃう……お待ちしております……

九条さん(原田優一)
まずビジュアルが美女すぎん?これまで見た原田さんの役のメイクで一番好きかもしれん 原田優一は美女なんだな。完全に理解したわ
お茶会してる段階で見え隠れする九条さんの思想とか、うまくやりつつも後白河さんに付き従ってる訳でもないあの感じがとっても好き。最後はすごいちゃっかりしてるし、お話そのものが九条さんの書いた日記、というのも好きだったなあ。るひまのキャスト発表時のキャッチコピーが本当にその通りで、ある種の伏線になってたすごい綺麗なパターンだ。こんなことあるのか。
一部も二部も原田さんが舞台上に居てくれることで得られる安心感がスゴい。大好きだ…一生一緒に居てくれ…
演出家としての原田さんって、正直これまで強く色が見える感じではないのか、わたしがそれをわかってないだけなのか、と考えてたのだけど、そして今回もさほど理解できた感もないのだけど、それぞれの俳優の色や脚本の持つお話自体の色を大事にしてくれるって感じなのかなあというのはじわじわと思えてきた。そうであるならば、原田さん自身の演出の色みたいなものが濃く見えないのは納得感がある。ひとつ感じたのは、舞台上ぜんぶを使って、綺麗な絵を作るのがめちゃくちゃ上手いんだなあ〜というのは感じた。わかりやすいのがる変のラスト近くの星空のシーンとか、今作のラストの風が吹く海のシーンで、まるでひとつの絵みたいな構図ですごく綺麗だ。今作は最後の三人の殺陣とその後ろで歌う義仲の構図なんかもとても綺麗だった。

時政(粟根まこと)
時政パパも素敵だった〜〜!粟根さんご自身は自分が歌なんて〜というようなことを仰っていたけど、る変のおっちゃんの紙芝居歌がわたしはとっても好きで、素敵だな〜粟根さんにしか出せない魅力たっぷりで良いな〜と思っていたので、今作でもお歌が聞けて嬉しかったです。義時くんのソロ曲でのダンスが、粟根さんも岳くんもキレッキレで驚いたー!!和服で体が隠れ気味なのが勿体無く思うほど。踊れる人のダンスは本当に見てて気持ちが良いよな。殺陣もすっごくて、すごいな、動けるとか動けないとかって年齢じゃないんだな、頑張って鍛えようってめちゃくちゃ思った(そこ)
生での空気感とか迫力がすごいのはもちろんなのだけど、大楽の配信だと、義時くんの前に立ちはだかった時政殿の抜き身の刀がすっごい良いタイミングで照明でぎらりと光って、ムチャクチャかっこよかった。アニメみたいな演出だ。偶然なのだろうけど、そういうのを引き起こせるのも力だよな…と感じてしまう。

語り部(おばたのお兄さん、小野田龍之介)
おばたのお兄さん、本当に歌声がクセがなく綺麗で、澄んでいて、気持ちよく響くのがめちゃくちゃ良かった〜〜!すごーく好みの歌声だった…。ずっと聴いていたくなっちゃう。そんな歌声と、チャーミングな印象の強いお芝居で、とっても好青年な語り部だった。
小野田のお兄さんはいつも通りのムチャクチャ安定してんなこの人……という感じ。歌がうめ〜〜〜んだわ。意図してるのかどうか微妙だけど、そしておばたのお兄さんの好青年語り部を見た後だからかもしれないけど、小野田語り部はなんか含みがある感じがして、「てか結局こいつは何者なわけ?」という勘繰りが生まれてしまった。そういう意味では小野田語り部が後半だったのは良かったのかなと思う。そこに思惑は特にないとは思うけど。
小野田先生がトンチキ二部ユニットでコントやらされてるの絶対見たいからるーちゃんは小野田龍之介を絶対に離さないでほしい。

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