ぴかぴかクソデッキ vol.01 -DEATH NOTE-
人生は苦楽の連続である。カードゲームも例外ではない。
カードショップで「いいデッキだね、次は僕とやらない?」というありがたい申し出を頂戴したり(食い気味に断った)、初対面の相手に20分ソリティアされたりと、個性あふれるプレイヤーは次々と牙を剥いてくる。
襲いかかる火の粉を、時には甘受しなければならないこともある。まさかオフ会の直後に対戦相手を血走った目でブロックするなんてことがあるとは。現代遊戯王にはストレスコントロールが求められていると言っても過言ではない。
ゲーム自体が勝つことを目的としている以上、下手に勝てば「回らなかったのでもう一回」「勝つまでやる」と言われてもおかしくはない。かと言って、わざと負けるのもマナーがよろしくない。大人として、出来る限り相手に気持ちよくなってもらってさっさとお別れするのが正解なのだ。
となると、バレないように負けるしかない。南空ナオミのように、相手にも悟られぬよう速やかに死ぬことで誰にも迷惑をかけずストレスをコントロールするしかないのだ。
つまり、今回は「ギミック」の話でも「コンボ」の話でもなく、「バレずに負ける」というコンセプトの話だ。
妄想編
クソデッキ、安産。
「どう負けるか」という問題だが「ライフを失う」か「アドバンテージを失う」のどちらかが有力となる。
アドバンテージを失うのは簡単だ。アストラムをリリースしてモリンフェンを召喚すればいい。
しかしそれでは露骨が過ぎる。相手から見た時には「全力で戦っている」ように見えなくてはならない。「アストラムをリリースしてモリンフェンを出していた」などと暴露されたら流石に引退する。八百長にしても、せめてパンチを打つフリはしなくてはならない。相手のグローブに頭突きしてはせっかくの八百長が台無しである(?)
話を戻すと、コンセプトとして速やかな敗北は目指すが、そもそも手抜きは相手に失礼な行為だということは心に留めておきたい。つまり、敗北を目指していることは決して気付かれてはならない。相手から見れば攻め込まれているにも関わらず、こちらは坂を転げ落ちている。そのくらいのバランスが求められる。食事をしながら餓死するようなものだ。
となると「ライフ」か「アドバンテージ」のどちらかは稼がなければならない。しかし、ライフを稼ぎすぎると「減らす」手段が求められる上、アクセス出来なかった時に泥仕合になりかねない。であれば、今回はアドバンテージを稼ぐことにする。大量ドローからのデッキ切れが頭によぎったが、「速やかに」負けられなさそうなのでボツとする。
そう、速やかに負けるにあたって最も重要なのが「お互いのターンが短い」ことである。先行1ターン目(20分)で敗北しても速やかとは言えない。つまり、ソリティアに時間を奪われることは避けなくてはならないのだ。
都合よくいつもFGOがイベントを行っているとは限らない。「周回してますので終わったら声かけてください」は通用しない時もある。相手の展開に対し、適切にカウンターは行わなければならない。
であれば、稼いだアドバンテージは妨害に変換すればいい。とりあえず妨害を適切に行っていれば「それっぽい動き」に見えるはずだ。
ハリファイバーなんやかんやサベージドラゴンなどやっている暇はない。ドロー! 妨害! くらいのテンポ感が求められている。ついでに自分のライフもいい感じに減らしてくれれば文句などあるはずもない。
そう、
こいつだ。
展開・妨害を行う中でライフを減らし、相手の動きが止まったがこちらもいい感じに手が進まず、下級の素殴りで負ける――がベストだ。
極端な話、神の宣告が5枚あれば、相手からすると「妨害が多い」にも関わらず、こちらは宣告5回使ってあとは適当に殴られればいい。
敗北した後に手を公開して、展開札が引けなかったと納得してもらえると尚良い。
コンセプトは決まった。本当に無益なコンセプトを積み上げた先に、我々の求める知識書、デスノートが誕生したのだ。
爆誕編
エクストラ相手に見えないからって手を抜いてんじゃねーぞ!!
そもそも通常の構築と違い、相手の妨害を意識したカードなど不要なのだ。
墓穴や抹殺など投入の必要は無い。真の目的が「ライフコスト」にある以上、発動さえ出来れば無効にされようが本来の目的は達成したことになる。
チキンレースから各種妨害を引き入れ、デストルドーや宣告でライフを削ったところをいい感じに殴られてフィニッシュだ。それっぽい動きに見えるようアドバンテージ担当の閃刀姫と妨害担当のトリックスターを採用、短い時間で動いてますアピールを行う。
ピンとこない方もいるだろうが、リンカーネーションをサーチするだけで相手は物凄く嫌そうな顔をする。一生懸命考えた40枚全部コンボ札の繊細なデッキに当てた日には、二度と自分に勝負を挑もうとは思わないだろう。
更にペンデュラムを上スケールしか採用しないことで「事故りにくいはずにも関わらずペンデュラムできない」の二律背反が成立。
対戦終わった後相手に手札訊かれて「下スケール引けなかったんですよねw」「なるほどーw」となれば完璧だ。ばかめ、そいつは罠だ。
そして皆さんお気づきだろうか。このデッキ、とある日本神話との符号が見られる。そう、
先程から何度か口にしている「DEATH NOTE」である。
まず新世界の神、夜神月(大意)
そしてこのデッキ、オシリスは殆ど場に降臨しない。
言い換えれば、神は動けない。
つまり、動けない神は夜神月なのである。
そしてオシリスは三幻神。三幻神……三(幻)神……三神……みかみ……
魅上?!!?!?!?!
そして言うまでもなく神の宣告他多数のコストは残りの寿命の半分なので、実質死神の目。
神の宣告はそう、「キラからのメッセージ」だ。
よく見ると後ろにミサミサと高田アナもいる。これは間違いなくキラからのメッセージと言って問題ないだろう(ある)
あとはこのデッキを回し、本当にいい感じに負けられることが確認出来れば完成だ。
このデッキで優しい人間だけの新しい世界を創り上げる!!
実践編
クソデッキ、全敗を目指す。
流石に友人にこのデッキを当てるのは心が痛むので、コンセプトを全て伝えた上で5戦お付き合い頂いた。
1戦目
神宣神宣チキンレースチキンレースのお手軽自殺ハンド。
相手の展開に神宣二回当てたら手が止まりまさかの勝ち。
2戦目
いい感じにライフを減らせたので相手ターン黒薔薇で「盤面空+ライフ僅か」の状況を演出したが思った以上に刺さったらしくそのままちまちま殴って勝ち。
3戦目
下スケール引けなくて負け。
そうそうこういうのでいいんだよ。
4戦目
ニビルのトークン処理出来なくてワンキル。
5戦目
(自分の)ライフガンガン削るも蛇神ゲーと妨害で勝ち。
反省編
クソデッキ、まさかの勝ち越し。
「負ける気ある?????」という台詞まで飛び出す始末。
ありました。今日はたまたま調子が良かっただけです。
スローゲームになったところで「やってる感」が事故(ちゃんと仕事をしてしまったの意)を起こしてしまった。
速やかに負けるため短い時間で展開できる札を選んだが、お互いのリソースが薄くなるなら少ない札で完結する方が強いに決まっているのだ。
「速やかに死ぬ」という目的は達成されなかった。つまり、このデッキはデスノートにはなりえなかった。
ゲームである以上、「勝つこと」を目的とするのは当たり前である。
しかし同時に「いかにして早く負けるか」というレシピをたまに見るのも事実。
是非皆さんも新世界の神を目指して、「相手にバレずに負けるデッキ」の構築を考えてみてほしい。そして願わくば、そんなデッキが表に出ない優しい世界でありますように。
~完~
元ネタ
https://article.hareruyamtg.com/article/article_952/
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