遊戯王プレイヤーの知らないカードゲーム事務局の世界 とコスパの良いルールの覚え方【遊戯王Advent Calendar B 1日目】
遊戯王OCGは非常に奥深いコンテンツです。
カードの枚数はとうの昔に一万種を超え、毎日のようにデッキ紹介の記事が降り注ぎ、遊戯王を題材にした様々なコンテンツが日々乱立するだけでは留まりません。
公式HPのpdfやスターターブックに付属しているルールブックですら全94P、市販のルールブックは257P、DB掲載の裁定は14,000件を超えており、カードだけでなくルール面でも極めようと思えばどこまでも深淵に潜っていけるアビスコンテンツの様相を呈しています。
そこで今回は「遊戯王プレイヤーの知らないカードゲーム事務局の世界」と題して、ここ2年間くらいの遊戯王カードゲーム事務局(旧OCG事務局含む)の進化をご紹介、いつ公式に案件を頂いてもいいように運営様を褒め称えておく安心安全楽しく愉快なトイザらス記事をお送りしたいと思います。
以前の参加時はシンプルに笑える記事を投稿しましたが、今回は読み物としてクオリティの高いものをご用意いたしました。
遊戯王アドベントカレンダー
当記事はプリパラアイドルである刺身さん(@YPsashimi)企画「遊戯王Advent Calendar Bサイド」1日目の記事となります。
今年で4年目、遊戯王ブロガーがサンタさんとなり、クリスマスまで(ほぼ)毎日記事をお届けする企画です。
これまでの参加実績はこちら!
今年は昨年と異なり、
デッキ紹介やコラム、その他読んで楽しいをモットーにしたAグループ
構築論・価値観や啓発記事、もしくはセンシティブな場合のBグループ
の2グループに分かれ、それぞれのソリを牽いてクリスマスというゴールを目指していきます。
なお、Bグループ後半はまだまだ募集が始まったばかりでございます!
興味のある方、是非ブログという大雪原に飛び込みましょう!
※注:当記事では、文章のテンポを意識し、非公式用語である「裁定」を用いておりますが、正確には「Q&A」です。ご了承ください。
遊戯王カードゲーム事務局の進化
さて、最初に「進化」の定義を固定しておきましょう。
当記事における「カードゲーム事務局の進化」は「データベースの充実」を意味します。
遊戯王OCGのデータベース(Q&A)は大体2017年3月から更新がスタートしており、厳密に当初から追いかけているわけではありません。
好きなコンテンツを隅から隅までしゃぶりつくそうと、ある時期から週二回ほど目を通し始めました。
そしてざっくり2020年くらいから「あれ? 更新してる人変わった?」と思えるくらいには内容が充実してきます。
まず第一に、「回答以外の文章量」が増えました。
当時は興奮のままに書き散らしていましたが、厳密には以前の裁定にも理由はある程度書いてありました。なので、「回答以外の内容が増えた」が正しいです。
完全に当時の体感の話になりますが、太字の部分が書かれているのはそれはもう感動しました。
それまでは「この裁定はこうです」で終わっていたところが、細かい理由や裁定の根拠を書き始めたのです。
「この処理はこういう理由でこうなります」と記載したことで、他の同様のカードにも適用がしやすくなったのです。
となると次に皆さんは、こう考えるはずです。
「だったら同様のカード羅列すれば良くね?」
私も正直なところ、以前は「KONAMIはもっとルールの周知をすべき」は正しいが「『KONAMIはもっとルールの周知をすべき』という批判」は正当性が無いと考えていました。
上記記事、「Evil★Twin プレゼント」の裁定が掲載されたことで、類似のカードも裁定が変更されたのでは? と確認した内容になっています。
この時の視点では「『強制転移』等の変更したカードもしっかり掲載すべき」と考えてはいましたが、そこに対して「サイレント修正」と言うのは少し違うなとも思っていました(公式DBに掲載されているため)
公式HPやDBに掲載されてきた内容をTwitterで知り「公式がTwitterで告知していない! もっと広める努力をしろ!」という主張は尤もでもありお門違いでもあります。Twitterで流れてくる(目に入る)のを待つくらいであれば、最初から公式DBを定期的にチェックすればいいだけの話です。
とは言え、最初から類似カードも一緒に掲載しておけよという本音は間違いなくあったので、「KONAMIはもっとルールの周知をすべき」は正しいが「『KONAMIはもっとルールの周知をすべき』という批判」は正当性が無いと考えていました。
しかし、自分のブログのネタのために「このカードの裁定どうですか? これは? これは?」とメールを送ってくる厄介なユーザーに辟易したのでしょう。
事務局は「類似のカードの掲載」を始めました。
実のところこの裁定自体は公式ルールブックに掲載されており、本来であれば「裁定」ですらありません。
「増援の効果でカードを手札に加えたあと、プレイヤーはデッキをシャッフルする必要があります」とは書きませんよね。
未だに「カードが違えば裁定も違う」と宣うプレイヤーもいる以上、「クリスタルウィング ”は” こういう裁定なんだ」と勘違いする初心者が出てしまってもおかしくありません。
しかし、上記のように、「攻撃力・守備力を増減させるモンスター効果のうち自身にのみ適用可能な効果は」と詳細な解説を行った上で、類似のカードを掲載するようになったので、データベースを読めば「理由」と「実例」がわかるようになりました。
ルールブックを熟読し、データベースの裁定を丸暗記していた超上級者も大満足の更新です。
ということで、参考までに最新の裁定を見てみましょう!
~fin~
コスパの良いルールの覚え方
さて、ここまで書けば現在のデータベースがどれだけ充実しているかはおわかりいただけたかと思います。
ところで、この記事をお読み頂いている皆さんの半分くらいは遊戯王のルールがどのくらいまでもわかりませんね。
デッキ構築ではミュウツーである皆さんも、何故かルールの話になるとコラッタになってしまいます。スターターデッキの紙ペラに掲載されているはずの「ダメステ」の内容すら、プレイヤーの半分が言えないのが現実です。
サッカー数年やっていて「オフサイドわからない」と言う選手、なかなか珍しいですよね。遊戯王プレイヤー、います。
しかし今回は、カードゲーム事務局というなぞのばしょに足を踏み入れたので、せっかくなら「この記事を読んだ人が、遊ぶ分には困らない程度に詳しくなる」というダークライも達成したいと思います。
とは言え、遊戯王のルールというのは、詳しくなっても大きなリターンはありません。無自覚な部分を含めるとマイナスとさえ言えます。
例えば、ダメステの発動可否がわからないプレイヤーが、本来発動出来ないタイミングでカードを発動した場合、それはアドバンテージですよね?
つまり、ルールに詳しくならないことで、ルールミスでアドを得ることが出来る最高のゲームなのです。
しかし、「それでも俺はルールミスを減らすぞ!」というつよつよプレイヤーのみがこの先に進んでください。
逆に、ルールミスを減らしたくない方は、絶対にこの記事を読まないでください。あまりに理に適いすぎていて、絶対にあなたはルールミスを減らしてしまいます。
いい感じに区切るための宣伝
さて、ルールを覚えると言っても覚えることが多く、かつ一気に覚えても正直忘れると思います。
そもそもスターターデッキの紙ペラに書いてある内容(※ダメステ)すらわからないなら流石にルールブック読めよという話であるのですが、100ページ弱の内容を覚えよう! は流石にハードルが少し高いです。
そこで、ある程度継続的にでき、ルール理解の土壌を作り、かつ事務局の活動も深く理解出来る、大変コスパの良い習慣があります。
「遊戯王DBのQ&A(※更新分)を週一くらい目を通す」
こちらを更新日順にソートしてブックマークしておくと便利です。
理由としてはいくつかあり、
時間を含めたコストの消費が少ない
裁定に理由のあるものは理由が掲載されるようになった
カード個別ではなく、同様のカードも掲載するようになった
(共通ルールの明文化)新規収録に伴う裁定変更等があった場合もすぐに対応出来る
シンプルにコスト面として、一からルールブックを読むのと比べ一週間の更新分を読むのは圧倒的に量が少ないです(継続して頂く必要はありますが)
というか「わからないことがあったら公式DBを見てみる」という癖をつけるのが大事です。
これをプレイヤーの100000000割が行うので遊戯王勢を全てミュートしましたが、「このカードの〇〇教えてください」という質問があった際、当該ページに答えが書いてあることが非常に多いです。
先に述べたように、公式DBは物凄い速さで充実しており、当該カードのページで共通ルールの認識が改まることもあります。
シンプルに、この習慣を続けるだけで基本ルールの理解と(主に新しめのカードの)裁定理解が深まっていくことは間違いありません。故に、「遊戯王DBのQ&Aを週一くらい目を通す」という習慣が今現在最もコスパの良い覚え方かなと思います。
おまけ:遊戯王のルール理解を進めるために
さて、「遊戯王は難しそう」という先入観をなるべく取り除くために、そもそもの考え方(接し方)の部分に少し触れていきます。
(覚えることが多いのは事実なので難しいという点については否定しません)
まず単純な話、遊戯王のルールの多くは共通ルール(基本ルール)として定められています。
例えばダメージステップの発動可否についても、カード個別に「発動出来る」「出来ない」が決められているわけではなく、「カード発動制限」というルールがあり、それらが個々のカードに振り分けられているだけです。
裏を返すと、共通のルールとして認識すれば、個々のルールは覚えなくも済むのです。これで体感八割くらいはQ&Aを覚えなくて済みます。
実のところ、市販の方のルールブックを全て読めば裁定について自己解決出来る部分が相当数出てきます。
そして、これは結構大事な考え方ですが、「ルールに理由を求めすぎない」ということがあります。
悪王アフリマと闇黒の魔王ディアボロスの裁定を例に説明しましょう。
簡単に言えば「リリースした時点でディアボロスは手札に存在していないが、サーチ後にSS効果を発動出来る」という裁定です。
これについては「手札は非公開領域だから証明の必要が~」みたいな説明をたまに見ますが、そもそも「『手札で発動する効果は発動のタイミングで存在していれば発動できる』とルールで決まっている」と覚えた方が余程健全です。
非公開領域が~証明が~と理由をつけると、「では手札が公開されている場合は」「手札が0枚だった場合は」「他のカードが全て(サーチ等で)お互いに認識出来ている場合は」という分岐が起こり、それぞれを覚える羽目になってしまいます。
「そう決まっている」と割り切ってしまえば、全てのパターンにそれだけで対応出来ることになります。覚えることが多いことが苦になるのであれば、覚えることを少なくした方が間違いなく良いです。
そもそも、ゲームのルール自体が製作側が進行に都合の良いよう決めることもあり、そこに明確な理由が存在しないものも多くあります。
例えば「ドローフェイズでターンプレイヤーがドローする枚数が1枚なのは何故」と初心者の方にあなたが聞かれたらなんと答えるでしょうか。
ラッシュデュエルが手札が5枚になるようドローしている以上、1枚である必要は無いでしょう。しかし、「ルールでそう決まっているから」ターンプレイヤーはドローフェイズにカードを1枚ドローするのです。
印象に残っているツイートの極悪合法引用(文脈としては最悪だが引用のため合法の意)で申し訳ありませんが、事務局は理由の無いものについては返答を控えており、そこに不満を持つことも理解は出来ます。
しかし、間違いなく、明確な理由無く決まっているルールも存在します。例えば、千円札と一万円札の価値の違いは貨幣制度により決められたルールであり、両者の間に元々10倍の価値の差があるわけではありません。物々交換・物品交換では都合が悪くなった人々が、信用取引を前提とし「この紙は1000円の価値としよう」と決めたから千円札には千円の価値が与えられています。
遊戯王も同じで、円滑な進行やゲームとしてのわかりやすさを重視するために、特に理由なく決められているルールが存在するはずです。「裁定の理由を明かさない」のではなく、「無い」が正しい場合も間違いなくあります。
そこに理由を求めすぎてしまうと、「理由がわからない=わからない」「事務局は不親切」という状況に陥ってしまいます。
「製作側がそう決めたからそういうものとして覚えるしかない」、特にそのカードしか同様の効果を持つカードが無い場合には起こりがちです。
「灰流うらら」と「マジカルシルクハット」の裁定(撃てない)がそれに近いですね。
逆に、カードが増えれば共通のルールとして認識がアップデートされる場合もあります。「パラサイト・フュージョナー」はダメージステップに発動出来ず、これは当時特殊裁定と言われていましたが、現在で言えば「融合召喚を行う効果はダメージステップには発動できない」という共通認識で対応が可能です。
これは特殊裁定というより、「追加されたルールに対応するカードが当時は一枚しか無かった」という見方に変わったことになります。
さて、上記二点(ルールの多くは共通ルールとして定められている/ルールに理由を求めすぎない)という点を総合すると、
共通ルールとして定められているものは共通ルールを覚える
共通ルールでなく、かつ明確な理由もなさそうなものは、そう覚える
この二点が、遊戯王をある程度わかりやすくするための第一歩となります。
【おまけ】「テキストから読み取れない」について
ところで、「遊戯王難しい」の理由の一つに、「カードテキストの難解さ(というより読み取りにくさ)」があることは否定出来ません。
但し「書いていないこと」が悪いとは限りません。サーチやリクルートを行った後のシャッフルは、かなり昔にテキストから削除されています。しかし、「サーチ後にシャッフルするって書いてないじゃないか!」と文句を言う人はいません。共通ルールとして成立しているのであれば、むしろテキストから削除する方が自然です。書いていないことが「悪いこと」になるかどうかは、プレイヤーの知識量に依存します。
この場合の「カードテキストの難解さ」の起点となるのは、「物理的なテキスト欄のサイズ」でしょう。
つまり、「こういう効果を持ったカードを作ろう」とした時に、テキスト欄に入らなかった場合、やむなく表現をカットし解釈が分かれてしまうことがある(と考えています)
「席取-六双丸」を例に考えてみましょう。
「このX素材」は「この効果で重ねたX素材」と「このカードのX素材」の二種類の解釈が出来ます(出来るなよとは思います)。ちなみに発売前、私は前者だと思っていました。
結果としては「このカードのX素材」が正しい解釈となります。
テキスト表記に関しては「他のカードと同様の記述をするとテキスト欄に入らない」ということで発売当時に考察していました。悔しかったからね。
DCGだったら問題は無いのですが、現実のカードサイズによりやむなく難解なテキストになってしまう、まあそういうこともあります。
反面、再録時にテキストを整理することも増えています。やむなく難解なテキストのカードが一枚生み出される間に、テキストの整備が十枚進む以上、運営が怠慢であるとは言えないでしょう。他のTCGでも多少聞き覚えのある話ですので、これはそもそもTCGとしての宿命と言えます。
もっとおまけ
「かしこまメガトンパンチ」という遊戯王界屈指のルール解説ブログがあります。個人ブログでありながら、独特の視点での切り口、そして公式ソースを引用するという信頼のおける解説で遊戯王に関する知識が上がること間違いナシです。
もしかするとこの情報こそが、最高のクリスマスプレゼントなのかもしれませんね……
明日のサンタさん
さて、皆さんクリスマスはまだまだ始まったばかりでございます!
今日から毎日枕元にブログ記事が届く日々、わくわくしますね!
明日のサンタさんはあらいぐまさんです!
そして今年のおもちゃ売り場はこちら!
ここからクリスマスまでサンタさんからの記事が届く毎日、是非皆さんもくっせぇ靴下を枕元に備えておきましょう!
そしてなんと、Bグループはこの記事が投稿された後でも参加が可能と刺身さんに確認を取っております!
あなたの自慢の記事を握りしめ、アドカレというおもちゃ売り場にダッシュしましょう!
私達サンタさんは、あなたのプレゼントをお待ちしております!
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