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第7世代ってなんで売れたの?


最初に書いておきますがタイトルに対する答えは用意してません。それを考えようという趣旨のnoteです。無粋な笑いの分析は避けて、バラエティーの構造からなるべくアプローチしたいと思います。(以下敬称略)

バラエティー番組を席巻している「お笑い第7世代」


基本的には霜降り明星EXIT宮下草薙ハナコ四千頭身を中心として若い世代を指す。
(せいやの頑張ってるみんなが第7世代発言も知っているが、最近の発言を見ると言葉が先走りすぎたことによる先輩への配慮だったことが伺える。)


第7世代」というヒットワードの誕生で、一昨年末から昨年にかけて番組で特集企画が組まれていった。バラエティーで売れすぎた芸人の耐用年数は1年以内というのが一般的なイメージだが、今年に入っても第7世代ブームは陰りを見せない。

先日も『笑神様は突然に…』の2時間SP内で第7世代企画が組まれていた。

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第7世代ヒットの要因として大きいのは、リーダーとも言える霜降り明星のバラエティー対応力の高さだろう。ひな壇でも面白いだけでなくMC、裏回しまでこなす姿は圧巻と言わざるをえない。番組側も霜降りがいれば安心して企画できるのが推測できる。

また第7世代でオファーが分散することで、全員が消費されるほどバラエティーで擦られすぎないこともヒットの要因としてあげられる。霜降りはもちろんEXITや宮下草薙はバラバラの世代であったとしても売れていたはずだ。しかし芸人が単発で世の中に出て行くと擦られすぎて消費されてしまう。それに対して、バラエティーでの"くくり"が存在し、複数の芸人にオファーが分散することで、それぞれが消費されにくさを得ているのではないだろうか。

過去の世代ではヒット番組が基準になることが多かった。ボキャブラ、めちゃイケ、はねトび、ピカル…、数々のヒット番組がスター世代を生み出していった。大きな"くくり"として「〜世代」は番組名で語られる。ボキャブラ世代、はねトび世代…、バラエティー界を盛り上げるスター世代の誕生は、ヒット番組の誕生と同義であったのだ。そして、彼らの芸歴は必ずしも同じではない。傑出した才能が同時期に出現したのではなく、"くくり"によって同時期に世に出て行くことができたのだ。また、このスタイルはヒット番組のメンバー同士は別番組からオファーがかかる際に被ることは避けられる傾向にあったため、前述した芸人消費対策も行えた。大抵深夜枠でスタートするこれらのヒット番組はスター街道を駆け上がる芸人と同じく、ゴールデン帯へと昇格する。しかしこれらの番組はゴールデン帯で一時代を築くも、レギュラーでやることの弊害として最終的には消費されることが避けられず、盛り上がった分だけ落ち込んでいき、ヒット番組は終わりを告げてスター世代の芸人だけがバラエティー界への置き土産として残っていく。この構造は鉄板の法則とさえ思えた。

しかし昨今こういったヒット番組がなかなか生まれず、バラエティー界を盛り上げる新たなスター世代が不在のまま単発で売れていく形になっていた。同時期にヒット芸人を排出するスター世代の誕生には大きな"くくり"が必要になるも、テレビ局は過去のように"くくり"として機能するヒット番組がそもそも作れなくなっていたのだ。
ここでせいやの「第7世代」発言が光るのである。新たな"くくり"の誕生によってスター世代が誕生しえたのだ。ヒット番組発ではない"くくり"が生まれたことによって、彼らはスター街道と消費されにくさ、そしてブッキングのしやすさの全てを得た。彼らは多くのゴールデン番組を「第7世代特集企画」として自分たちの番組に塗り替える。多くの人からの知名度を得て、スター世代としてバラエティー界を登っていく。しかし、出演しているゴールデン番組は第7世代としてのレギュラー番組ではないために消費されにくさの強度は上がっている。ヒット番組を持たないために第7世代を同時に複数ブッキングすることもできる。様々なメリットを持った新たな"くくり"の誕生は今までにない形でのスター世代の誕生へと繋がった。

また、単純に彼らが消費されることに抵抗を示していることも要素としてあげられる。粗品はM-1優勝後には特徴的なツッコミスタイルを控え、自らが消費されることを明確に拒んだ。EXITはネタだけでなく人間性の部分で新たな価値観をテレビに吹き込み、キャラ物としての消費を避けることができている。

ほぼ全組に共通して、ネタだけでないバラエティーへの対応力の高さと、構造による消費対策の2つを持ち合わせたことが合まって現在の第7世代ブームが巻きおこったのではないかと考えた。


第7世代は終わらない

第7世代の実力の高さは楽しくテレビを観れる現状から言うまでもなく、消費のされにくさは述べた通りである。
つまりこの「第7世代」は終わらないのだ。ブームは過ぎ去るかもしれないが、彼らは今後もバラエティーに出続けるだろう。
視聴者として私はこれからもただただ大いに笑わせていただく。

第7世代の誕生を心から喜び、これを締めさせていただく。

ではまた







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