ファミマのATM前で泣き崩れた話(後編)

 前回(https://note.com/shakapachikawa/n/nb022bf116ccc)の続きになります。前回読むのがめんどくさいな、という方に向けてざっくりあらすじを紹介すると私が独身、恋人無しコミュ障カードゲーマーであることを自己紹介しただけですので全然読まなくてもOKです。

 前編を書き終えて「なんか具合悪いな…相当メンタルにくる内容を書いたもんな…」と思ったら普通にコロナでした。ふざけんな。
 ただ弱者男性のコロナは正直ノーダメージなんですよね。まず誰とも話さないので移すリスクが少ない。そして死んだとしても特に悲しまれない。
 高熱の中、学生時代のタイムラインをフイフイ眺めていたら"コロナちゅらい😭"と書いてるアカウントを発見。心配してツイート見に行ったら「旦那が看病してくれてる、ありがとう♡」と書いてあってコロナ以上のダメージを受けてしまいました。下がりかけてた熱も39度台まで急上昇。これで死んだら死因はコロナになるのか?それとも新婚夫婦の日常に触れたことによるものなのか?
謎は深まるばかりです。

 余計なことばっか書いてないでさっさと本編書きます。いやまぁ、ここまで弱者男性が泣き崩れる過程に興味を持つ読者もどうかとは思いますが、責任転嫁せずに最後まできっちり頑張ります。

 前回は弱者男性が出来上がる滑落要因3つを挙げましたが、残り2つ
④ 競争社会の中に放り込まれる
⑤ 成功者が身近にいる
についてまずは触れていこうと思います。
この2つはかなり密接に関わっているので一気に書いちゃいます。

 まず競争社会の中に放り込まれる、の項目ですが厳密に書くと弱者男性に限らずこの現代社会では誰しも競争社会の中に放り込まれます。
 近年では競争を避けよう!みんなでおてて繋いでゴールしよう!という文化が広がっていますが、手は繋いでいても見えないところでは蹴りを全盛期のミルコ・クロコップばりに入れあったりしてるので当てにはなりません。
 しかし、弱者男性は弱者なのにも関わらず特に厳しい競争社会になぜか放り込まれがちです。というより、厳しい競争社会に放り込まれ続けることで最弱層メンズが出来上がるんですね。運動神経が悪いことを突き付けられるだけのスイミングや体操、本来英語を学ぶはずがコミュニケーション能力不足を痛感させられる英会話教室、本当にやっていたのか?と大人になって思い返しても習っていた確信が持てない数年間に渡る幻のピアノ教室期間。まるでジャンプの最速打ち切り漫画のように記憶に残っていません。斬。
 そんな最弱層メンズ(※気に入ってる表現)は常に他人と比べられて敗北感を味わい、気が付いたら自分でも自分を人と比較してしまう習慣がおのずと身についてしまいます。まるで原料をぶち込んだら勝手に出来上がっている工場の冷凍食品です。負の工場。この負の工場は24時間365日間稼働し続け、弱者男性を日々ナーフしていきます。
 
 しかし!しかし!!ここまで前編と併せて約6200文字の間ひたすら蔑んでいた弱者男性にも唯一胸を張れるものがあるんです。そう、学力です。あらゆる負けを経験してきた弱者男性ですが、小さいころから競争社会に放り込まれたおかげで彼は中学校くらいまでは学力においては無双します。小さい頃から他の健全な男子は友人とのスマブラやデュエマに時間を費やしてきた中、ウサギである弱男は猛スパートを切っていたのです。そして見事成績が上位に入った男は初めて人の優位に立った快感でドーパミンが大量放出されます。そう、春が来たのです。
 が、しばらくしたら春は終わります。というか二度と春は来なくなります。優位に立ってふんぞり返っていたウサギのすぐ後ろに亀の集団がやってくるのです。
 他の遊び惚けていた男子たちも至極真っ当に人生のレールに乗り始め、勉強をし、お互いを高めるフェーズに入っていきます。互いを高めるという概念を知らない弱者男性には太刀打ち出来るわけもなく、ノコノコの集団にボコられます。沈。
 高校1年生くらいまではどうにかこうにか今まで築いてきた財産でそれなりの進学校に進むものの、いよいよノコノコからクッパに進化した亀たち。当然為すすべもなく吹き飛ばされます。
 皆さん。この時の最弱層メンズこと私の気持ちを考えてみてください。ただでさえ他人に遥かに劣る人生のすべてをかけた学力も粉々に砕け散ってしまい、残っているのは荒れ果てた砂漠のような心です。国破れて山河在りと言いますが、弱者が敗れた先には何も在りません。

 そして最後の項目、成功者が身近にいること。
もう書かなくても十分気持ちは分かっていただけたのではないでしょうか。
競争社会に放り込まれた最弱男子は飽きるほど成功者を見ています。敢えて多くは語りません。ただ一つ伝えたいのは成功者っていうのは優しいんです。あり得ないくらい優しいんです。
 優しさってのは時に残酷ですよね。3年間放置していた排水溝のようなこの心、いっそ汚えなと罵ってほしいのを「汚くなんかないよ!お前はこれから輝ける!」と寄り添っている風のトドメを刺してくるのです。ユバの水を掘っている爺さんに砂嵐をぶつけるどころか核ミサイルをも撃ち込んでくる心意気。もちろん彼らは悪くありません。悪いのは競争に勝てなかった者なのです。
 
 さて、前置きは十分でしょう。皆さん、コンビニでお金を下したことはありますか?
 手数料もかかりますし、あまりコンビニでお金を下すのは望ましい行為ではないかもしれませんが、急な用事でどうしてもという方も多いのではないでしょうか。私もたびたびやってしまいます。
 私の住んでいるエリアのファミマではお金を下す際、ATMの音声が方言になっているんですね。調べるとこれやってる地域はあまり多くないので地域バレしてしまいますが、流石にこの前提を書かないとこのnoteは成立しないので諦めて情報を開示しました。
 住所を特定された方、おめでとうございます。スパチャは直接ポストに投げ込んでいただけると幸いです。

  ここまで書いてきたように、私は自分の人生をポジティブに捉えたことはほとんどありませんでした。努力が足りない、自分は恵まれている、責任転嫁をするなと自分でも十分自覚しているのですが、メンテナンスを怠ってきた負の生産工場に生み出せるのは毎日空が灰色に見えるという特殊能力だけです。親にも何も話せない、友達はいても心のどこかで自分の劣等感を感じてしまい、本音で話はできない。人生の中で本当の意味で頼れていた姉弟も結婚し、幸せな家庭を築いて頼れなくなってしまいました。私に出来るのはSNSでピエロを演じて自分の小さい自尊心をちょっと満たすことだけです。
 30年近く生きてきて、気が付いたら私は人に甘えることも、甘えられることも、心の底から笑う方法も、人を笑わせられる方法も全て忘れてしまいました。
 人から嫌われるか認識されないことが自分にとって安心できる環境となってしまいました。
 人間という物体を意識しなくていい自宅と動物園、水族館が唯一心安らげる場所になりました。

  その日は特に何かあったわけではなく、言うなればただの一日でした。いつも通り誰とも会話せず、いつも通り視線をただひたすら地面に向けて自分が唯一心を許している三匹の熱帯魚の餌を買うために街に出ました。
 たどり着いたアクアリウムショップでは交通系ICカードの支払いは不可、クレジットカードの読み取り機は故障とのこと。仕方なくちょっと歩いて適当に目についたコンビニに入店。お金を下そうとカードを差し込むと、
「よう来たね。」と温かみのある音声が流れてきます。
今思うとお金を下しに来た奴に対して、よう来たね。はかなりサイコパス味のある挨拶だったなと思いますが、それはさておきその時私は、不思議とポロポロと泣いていました。これはいかんと思い、カードを急いで引き抜き、店外に出たのも束の間、私はそのまま号泣してしまいました。涙が出てきたことに対して本当のところ理由は分かっていました。誰にも心の中を打ち明けられず、他人の優しさや思いやりを拒否してきた自分が最終的に救われたのは人の心を持たない人工音声のプログラミングされた短い文章だったのです。そしてそんなものにしか救いを見いだせない自分のあまりの情けなさにさらに泣いてしまったのです。
 あの時のファミマの店員さん、店外でタバコを吸っていたイカツイお兄ちゃん、びっくりさせてしまい本当に申し訳ありませんでした。

私はこのnoteで特に何か伝えたかったわけではありません。
慰めて欲しいわけでもなく、叩いてほしいわけでもなく、ただ毎日出社する際、8階にある自分の部屋の外の通路を眺めながら「楽になってしまいたいな」という気持ちと「大して自分のことを知りもしない人間が分かった気になって悲しむ光景だけは避けたいな」というせめぎ合う気持ちを1グラムでも軽くしたくて書いたものです。

 ここまで読んでいただいた方が何人いるかは分かりませんが、ようやく終わわりが見えてきました。自分ほどネガティブな人間はそう多くないかもしれませんが、それでも生きているのが嫌になる瞬間は誰しもあると思います。そういった時に乗り越えるのも、逃げ出すのも、一旦耐えるのも、すべていいと思います。何なら自分の命を絶つのも最終的にはあなたの権利だと思うので止めません。
 ただ、人を幸せにするのも自分が幸せになるのも諦めてはいますが、消えてしまいたいと思う人間の思いを同じ立場の人間として0.1ミリグラムでも軽くすることなら出来るかもしれません。たかだか1000人フォロワー規模のアカウントですが、そういう思いも少し込めて日頃ツイートしています。
 消えてしまいたいと思っている人もどうか0.1ミリグラムでも気持ちが軽くなってくれることを祈って、このnoteを締めようと思います。

ありがとうございました。




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