第30話 不毛なイラン戦争

 「アメリカは以前、イランの石油を支配していた。パーレビ国王の独裁政治を支援して。ところが、宗教指導者のホメイニ氏がイラン革命を起こして、パーレビ国王は亡命し、反米の国になったんだ。イランアメリカ大使館人質事件も起こった。その後、イラクのサダム・フセインへ武器を供与して、代理戦争であるイラン・イラク戦争をさせた。しかし、フセインは、アメリカに逆らったので、湾岸戦争とイラク戦争で叩き潰した。独裁政治で安定していたイラクを破壊したことで、旧フセイン派(スンナ派)がイスラム国を作って暴れまくって、中東は大変なことになった。アラブの春という民主化運動も、実はアメリカが反アメリカの政権を倒すために起こしたものだ。アメリカは常に中東の平和を破壊し続けてきた。中東紛争の黒幕はアメリカなんだよ。嫌われて当然だ。
 今までのアメリカの戦略は、属国と敵国を戦わせて武器を売りつける商法だったんだが、今の相手はテロ組織なので、戦争しても損するだけになっている。米兵が死ぬと、遺族への補償金を含め約9000万円も払わなければならないんだ。だから、極力地上戦を避けて、無人爆撃機やドローン兵器で攻撃をしている。イランの革命防衛隊のスレイマニ司令官を暗殺したようにね。広義では戦争は始まっていたとも言える。
 ちなみに、イランは一般に考えられているほど「ならず者国家」なんかではない。イランの教育水準は高くまともな国なんだけど、たまたまアメリカに逆らっているから大変な状況にされているだけだ。
 イランはウクライナ航空をミスで撃墜したことも認めた。
 未だに日航ジャンボ機を誤爆したことを隠し続けている日本政府よりも、ある意味ではまともかもしれないよ。この真実を中から探ることも、俺が自衛隊に入隊した動機なんだ。
(青山秀子氏の本を読みさえすれば、真実がわかります。アマゾンの口コミにも、真実を知った国民の怒りが書かれています。一部工作員もいますが、馬鹿丸出しです。いつまで誤魔化し続けるのやら?未だに海底から航空機の部品を引き揚げないのは。嘘がバレるからです。こんな政府に「緊急事態宣言」を許すことには反対です。)
 いずれにしても、圧倒的な軍事力を持っている米国でも、地上戦なしでは攻撃の効果は薄い。だから、自衛隊を米兵の代わりに中東の地上戦で戦わせ、利権だけは確保しようとしているんだよ。」
西郷が聞く。
「アメリカは、なぜとっとと中東から手を引かないんだ?たしか、世界の警察はやめるとアメリカは言っていたぞ?」
「アメリカも石油輸入国で、約20%は中東に依存しているからだよ。それと、同盟国であるイスラエルやサウジアラビアが攻撃されないように、敵対しているイランなどを叩き潰したいんだ。アラブの方が仲間割れするのは、イスラエルやサウジアラビアにとっては得だから、アメリカはあえて破壊活動ばかりしているんだ。世界の金融界を支配しているのは、ユダヤ系の世界金融資本だからね。9・11も、アメリカをイラク戦争に参戦させるために、イスラエルのモサドが行ったという説がある。」
「9・11も仕組まれたことなのか?」
「アメリカは戦争をするために、必ず口実を作る(創作する)んだが、あまりに矛盾だらけで不自然なんだ。アメリカ国内でも糾弾の声が上がった。だから、政府は愛国者法を作って、この真相を暴こうとする者を取り締まっているんだ。」
「怖い国だな?アメリカは。」
「ああ。あんな国に、我が自衛隊員の命を捧げるなんて、愚かだよ。何で、イランと友好関係を維持してきた日本が、戦わなきゃならないんだ?トランプのワガママだよ。」
 そして、駆逐艦はホルムズ海峡に到着した。
 その頃、日本では、イラン人による無差別テロが起きていた。
 渋谷のスクランブル交差点で、イラン人が運転する暴走車により、約50人が死傷した。
 秋葉原でも同様に、約20人が死傷した。
 日本各地で、不審火による火災が多発している。
 山の手線の陸橋が破壊されて、交通が麻痺したこともある。
 原子力発電所へのテロ攻撃が懸念され、全原発を自衛隊が24時間警戒にあたっている。
 再び新型のコロナウィルスが蔓延しているが、イラン人がウィルス散布しているとの噂もある。それを信じた日本人の自警団がイラン人を惨殺したりしているようだ。
 ともかく、日本経済に大きな打撃を与えているようだ。
 石油価格は3倍になり、中小企業がバタバタと倒産している。
 一刻も早く、イランを倒さねばならなくった。

 米軍の戦闘機による攻撃とミサイル攻撃で、イランの核関連施設は全て破壊された。制空権と制海権は米英軍が握っている。しかし、イラン戦争で懲りた米国は、最悪の事態を招くだけの首都テヘランへの侵攻はせず、経済封鎖を強化する兵糧攻め戦術をとった。イランでは、ずっと貧困層による反政府デモが続いているから、内部から瓦解するよう扇動している。イラン革命防衛隊も、イラン国民からは嫌われていたというのが実情だ。その不満を利用しようという作戦だった。
 イラン革命防衛隊やテロ組織は、様々な手段で外国軍へのテロ攻撃を繰り返している。
 自衛隊は、テロリストと住民の区別がつかず、24時間テロを警戒し、無実の市民を巻き添えにして殺してしまった。
 米国の無人攻撃機は、度々誤爆をして、イラン市民や自衛隊員を巻き添えにした。
 弾薬を積んだボートがこの艦に3度特攻攻撃した。
 坂本と同室の8人の内、3人が命を落とした。
 また、PTSDになって、心を病んだ自衛隊員も多かった。
 最新型のロボット型兵士(殺人ロボット)が誤作動して、自衛隊員と米兵が約20名が殺される痛ましい事件さえ起きた。その映像が世界中に報道された影響は甚大だった。
 結局、一年間不毛な戦闘が行われた後、米国では反戦運動が高まった。米国とイランとの間で、休戦協定が結ばれ、多国籍軍はイランから撤退した。本当に、戦争をする必要があったのだろうか?
 それでも、日本のタンカーへの攻撃は続いている。自衛隊は中東に駐留し続けることになり、テロ攻撃の標的になっている。世界中で活躍していた日本人のNPO関係者がテロの標的にされ殺されている。
 結局、イラン戦争への参戦は、日本経済にも、深刻な打撃を与えただけだった。幸い、坂本を載せた駆逐艦は、日本への帰国を許された。
 この戦争に関わった米英日イランの全ての国が深い傷を負い、得をしたのは、米国の盟友であるイスラエルだけだった。

 イギリスやアメリカが中東を破壊し続けてきたことは、オリエンタルラジオの中田敦彦氏がYoutubeで教えているので、観るとよくわかる。なんで、この尻ぬぐいを日本がせねばならないのだろうか?

【世界史】中東の戦争とテロ〜前編〜なぜ国際紛争が絶えないのか?黒幕は誰だ?

【世界史】中東問題を歴史から読み解く〜後編〜