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かけら
絶え間ない街の雑踏のさなかに
もう行くことのない教室の隅に
あるいは職場のロッカーの奥に
いつか訪れた異国の街角に
古い寺院の暗がりに
咲き散る花木のふところに
あなたの魂がひとかけら
台座に吊られて揺れている
振り子のように規則正しく
クォーツのように信号を送る
遠い過去から
魂の座がどこにあるのか
あなたの胸に尋ねるとよい
信号はいまもずっと届いている
宇宙背景放射みたいに
どこに置いてこられたのです、あなたの魂を?
預け先ごとなくされましたか、それはまたお気の毒……
どことも知れぬ写真の景色
読まれなかった手紙の余白
あるいはあの病床の窓辺
決意の朝
積み重なった時層のはざま
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