言い切る大切さ

「YSKさんこの精度出せますか?」

 静岡県にあるM社にYSK担当のK主任と製造部長が訪ねた時、M社のO部長はそう言った。
その製品とは、1000分の3の公差の製品で狙いとしては10000分の1を狙って欲しいというかなり高精度の製品であるため、

「こんな精度うちは出せません」
「うちじゃできません」
「やってみるけど狙いになるしできるかわかりません」

と他社から言われた製品で、O部長は装置の精度を緩和することも視野に入れていた。そんなときにYSKのカタログを見て相談してきたのだ。

「YSKならできます」

 そう答えたのは弊社、製造部長だった。迷わず即答であった。
高精度の製品のため、断ったり嫌がる企業は少なくないであろう。筆者(元営業)も、実際にその製品の相談を受けたとしたら製造部に相談し後日回答したり、もしくはその場では難しいかもしれないと保険を張ってしまっていたかもしれない。

 しかし、製造部長は即答で「できる」と答えたのだ。その場でできると回答したことが功を奏し実際に見積もりをする運びとなった。

 そして見積もり依頼が届いてから1日後に見積もりを回答し、受注となった。
結果として、製品は公差内にきちんと入っており問題ないどころか普段組み立ての際にめったに褒めることのない方にも、なんてすごい製品だと言ってもらうことができた。そして、今までは簡単な加工の物の注文が数点しかなかったが、設計の方から相談される機会も増え、YSKへの安心感も芽生えたとのことだ。

 今回のケースでは、お客さんに安心感を与えてYSKのいいイメージを与えられたことがよかった。さらに、できると言い切ったことで今まで難しいと思っていた精度の加工にチャレンジでき、加工ができるとわかったことがYSKにとって一番のプラスではないだろうか。

 もちろん他社が嫌がっていた製品を即答でできると言い切ることは難しいことかもしれない。しかし、できると言い切ってしまうことで、お客さんに安心感を与えることができ、さらに会社としてレベルアップするための挑戦ができるきっかけになる。何でもかんでもできると言い切るのではなく、ここ一番やお客さんが困っている案件に対して言い切る。そして、それに応えることがお客さんに喜んでもらえるきっかけとなるのではないだろうか。

 製造部長のようにここ一番の場面では言い切れる人を目指していきたいと感じた。

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