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SHADOWTIMES 2013/01/10 Vol.8

《Days and Lights》Post.4
「車とヤボ」 勝又公仁彦

本号は新年が明けて初回になります。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。今回は前回の「attraction」で取り上げた遊園地のような祝祭空間の乗り物ではなく、もう少し身近な乗り物の話を。

憂鬱な時期がやってきた。 どんよりと曇った寒い冬、ではない。車検の期日、である。 以前までは当たり前のように車検を通していたが、ここ最近は毎回車検の期日が来る度に更新するかどうかで頭を悩ませる。 数カ月前からディーラーや業者から電話やDMがやってきて、うちでやってくれ、いやこちらでやったらお得だよ、とアピールしてくる。車検がメイン業務の会社も多々あるようだ。いわゆる規制業界というやつだろうか?

“Japanoscape” 「2000年7月18日 大阪府吹田市 n759」
「スポーツカーの滑らかなフォルムは機能と官能性とを併せ持ち、所有欲を刺激する。眺めるだけでも興奮するが、出来ればステアリングを握ってみたいものだ。」

今回も数ヶ月に渡る煩悶(はんもん)だ。仕事で使う、撮影で使う、公共交通機関の時間を気にしなくてよい。いざという時に逃げられる?移動の自由の幅が拡がる。身体感覚が拡張し自身の機能が向上した気分になる。スピードやドライブの快楽。変わりゆく車窓の風景と映像を眺め、新たなものを発見する愉しみ。単に運転が好き。などと、車を持ち続けるのに良い理由を挙げればきりがない。

今の車は2003年新車からの付き合いで走行距離は15万キロ。北は青森から南は九州。フェリーで佐渡や直島などにも渡った相棒だ。記憶と思い出がしみついている。時には長野の山中に巨岩を探しに行って脱輪したり、福島でホステス送迎の兄(あん)ちゃんがキャバ嬢とふざけていて追突してきたり、トラブルの記憶も今は懐かしい。

“Japanoscape”「2006年12月1日 福島県郡山市」
「撮影の仕事で郡山に入ってすぐに、本文中の状況にて追突された。病院と警察を往復し、翌朝は何とか駅前の撮影をすることができた。追突してきた男は、車はまだ名義変更をしていなく、保険も下りるかわからない、と泣きそうな顔をしていた。後日、親御さんから入浴剤と竹炭のセットがお歳暮として届いた。」

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