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SHADOWTIMES 2012/12/27 Vol.7

《shadowtimes》 Post.4
「暦のなかで」港千尋

2012の数字が入った手帳も、いよいよ最後の1ページになろうとしている。すでに来年のものに切り替えた人も多いだろう。なんだかはやかったなあ。ほんとうにいろいろなことがあった…ページを逆にめくりながら振り返りたい誘惑もあるが、そのための時間はあとにとっておこう。時間をとっておくことが、できればの話だけれど。

「Mt St Michel モン・サン=ミッシェル」

今年のカレンダーの最後の月は世界的に特別な月になった。周知のとおり、マヤ暦を解釈して12月の冬至のあたりを最後に新年は来ないとする、一種の終末論が流行したためである。
それが間違いでなければ、いまこうして原稿を書いていることもなかったわけだが、終末論というのは終わってから後に考えるためにあるようなものかもしれない。テレビを見ていたら、メキシコ政府にとっては大幅な観光収入につながったというから、むしろマヤ暦とその間違った解釈に感謝しなければならないところだろう。

「Mt St Michel モン・サン=ミッシェル」

またそのおかげでマヤの暦が一般の注目を集めることにもなった。閏年を精確に計算するような高度な天文観測の技術を持っていたこと、太陽暦だけでない複雑な暦を使用していたこと、火星や金星の軌道の計算も行っていたこと。こうしたことを知ると、特にキリスト教世界の人々は驚異の感覚を覚えて、それが終末論へと結びつくのかもしれない。

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