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SHADOWTIMES 2013/06/20 Vol.31

《Day and Lights》Post.15
「陶酔を超えて歌え」 勝又公仁彦

私は演劇や身体表現についてはズブの素人だ。今年に入って観た公演も、一月のニューヨーク・メトロポリタン・オペラ、彩の国さいたま芸術劇場でのアクラム・カーン、二月の神奈川芸術劇場でのナデガタ・インスタント・パーティーと数えるほどしかない。なので、身体表現を語るような資格はないだろう。

ただ、前回の港さんのトルコからの便りを受けて、「抵抗」というキーワードで繋がりうる舞台があったので、記しておきたいと思う。

(2013年1月2日 ニューヨーク・メトロポリタン・オペラ)

私が観たのは、彩の国さいたま芸術劇場でのマギー・マラン『Salves-サルヴズ』である。現代フランスを代表するコレオグラファー、マギー・マランの率いるカンパニー・マギー・マランの2010年初演の作品だ。

マギー・マランは1951年フランスのトゥールーズ生まれ。バレエダンサーとしてストラスブール・バレエ団に入団後、次第にコンテンポラリー作品に傾倒し、モーリス・ベジャールの20世紀バレエ団に参加。退団後、1978年のバニョレ国際振付コンクールにて優勝。

ベケットの作品を下敷きに発表した1981年の『メイ・ビー』の成功により国際的な注目を集めた。

その後自身のカンパニーでの作品発表はもとより、様々なバレエ団やカンパニーに作品を提供。作品ごとに全く異なるテーマと手法に挑戦し、ダンスと演劇の両面にまたがる、フィジカル・シアターを展開し続けている。

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