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SHADOWTIMES 2013/09/19 Vol.43

Post.21
「2つのフォーカス」 勝又公仁彦

前回、ピントなどが後から自在に変えられる新時代のカメラとしてライトフィールドカメラの仕組みをご紹介した。紹介しておいて何だが、このような発明と実用化は素晴らしいと思う反面、長年写真を撮ってきた者としてはいささか居心地が悪いというか、違和感を拭い切れない。

“触知論” 「2013年8月25日神奈川県横浜市」
(暗い、というだけでピントが合っているかわからなくなることもある)

というのは、ピントや視点や被写界深度といったことは撮影時に決定していて、後からは動かしようがないというあり方に慣れているのと、同時にその潔さが気に入って写真に関わっているという為であろう。それらの相違は個々の写真家や作品において決定的な意味を持つことがあり、過去の写真史上のみならず、現代においても繰り返し問題にされ言及されてきた。

(奥の壁にグルスキーの作品、左の壁三点が私の作品。2008年10月、東京国立近代美術館)

例えば、今週まで東京の新国立美術館で個展が開催されていたアンドレアス・グルスキーの場合、その注目点は一般的には世界最高価格の写真作品ということになるが、作品の特徴としては大画面、崇高性、高度な合成処理、現代社会の諸現場、構成単位の謂集や正面性といったことと並んで、パンフォーカスが挙げられる。

パンフォーカスとは画面の全てにピントが合っていることを表わす和製英語で、正式な英語ではこれをディープフォーカスという。ディープフォーカスという言い方には被写界深度の深さが反映しているように思われる。これに対して画面のごく限られた範囲にしかピントの合っていないものはディファレンシャルフォーカスという。

“cities on the move” 「YTL_SB-HC_#8_2_IMG_2296」 2012年
(デジタル一眼レフにて絞り22で撮影。原理的には全てにフォーカスが合っていながら、見た目は合っていない例)

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SHADOWTIMES 2013/09/19 Vol.43

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