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SHADOWTIMES 2013/06/13 Vol.30

《shadowtimes》Post.15
「タクシム広場にて」港千尋

すでに報じられているように、トルコでは現政権にたいする抗議運動が全国に広がっている。特に発端となった首都イスタンブールではすでに2週間以上、デモや集会が続いていて、そこに偶然居合わせることになったわたしも、市民によって占拠された公園のど真ん中にいる。というわけで今回はタクシム広場からの速報である。

広場は新市街にあり、交通とビジネスの中心地である。ボスポラス海峡の西側、つまりヨーロッパ側になるが、イスタンブール全体でも、もっとも華やかで賑やかな通りの起点。
凱旋門のあるパリのエトワール広場にたとえられることが多いが、確かに周辺にはヨーロッパ風の建築が多く、世界遺産となった旧市街とは対照的な風景だ。

この広場の一角にあるゲジ公園を保護しようと、数名の大学生がテントで座り込みを始めたのがきっかけだった。木々が繁る美しい杜で、特に夏の暑い日などは木陰がありがたく、前にも訪れたことがある。
旧市街の宮殿地区を除いて、緑の少ないイスタンブールである。誰にとっても憩いの場所で、その公園を再開発のために潰すとなれば、反対運動が起きるのは当然だろう。東京の日比谷公園の木々がある日突然伐採され、ブルドーザーが整地を始めたようなものである。
ごく平和な抗議集会に発展していたところを警官隊が襲い、死者を含む多数の怪我人が出て、批判が全国に拡大した。
催涙ガスの異常な使用がツイッターで知れ渡り、「ガス首相」「ケミカル大臣」などと呼ばれはじめ、副首相が謝罪したものの、時すでに遅し。広場は政権への抵抗の拠点と化してしまったのである。

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