SHADOWTIMES 2013/08/15 Vol.39
Post.19
「永遠の残響」 勝又公仁彦
前回は、エリアーデのシャーマニズムの岡本太郎への影響などについて、最近の考古発掘物などとの関係で述べた。シャーマンがどれだけ認知されているかはわからない。インチキ祈祷師と思っている方もいるだろうし、実際その能力に疑問符がつく者もいることだろう。
現代の日本におけるシャーマンというと、南西諸島におけるユタやノロを想起するが、より一般的には東北のイタコを思い浮かべそうだ。ご存知のようにイタコは、依頼者の呼び出してほしい死者の霊を請けて口寄せし、死者そのものとして依頼者と対話をする憑霊型のシャーマンである。
前近代的すぎて、信用できないと思われる方もいるだろう。私も実際に口寄せを見たことはないし、その真偽については判断保留の状態だ。
“Japanoscape” 「2013年8月5日東京都渋谷区」
(公演会場での案内板。ポスターやチラシらしきものはこれだけ)
そんなイタコをこの21世紀の高校生たちが自己の表現に取り込んでいると聞いたらどうだろうか?それは青森中央高校演劇部による、『もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら』、略称『もしイタ』と呼ばれる演劇である。
タイトルはもちろん数年前のベストセラー『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』をもじったものだ。しかし、内容は経営学としてのマネジメントとは趣を異にしている。
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