見出し画像

2021/3/19 花束みたいな恋をした(どうすればよかったのかな?)

懐かしくて、甘酸っぱくて、温かい映画でした。出会って、盛り上がって、すれ違って、分かり合えているのに、もう戻れない。
それでも、長い時を経たら、楽しい思い出ばかり蘇ってなんで別れたのかわからない、そんな恋の話。

恋の盛り上がりが落ち着き、就職できず食べていくという現実に面した時、絹との生活のために夢を諦め働き始めた麦と、ただ働いていただけの絹。
仕事を始めたばかりの麦は余裕がなくてプライベートにかまけていられなかった。
絹との関係を維持するために必死に働いているから将来を見ていないような絹に苛ついたんだよな。
絹も同じく、生活のために働いているし麦との現状を維持したいのは同じだけど趣味がきっかけだったからそこの共感は外せない。
就職にあたり絹が大人になりきれなかった。
その不満をぶつけられずに溜め込んだからすれ違っちゃって次第に諦めに変わったんだよね。
長いこと一緒にいるから、互いの考えはなんとなくわかっていて、別れのタイミングもその通りに。
始まりのファミレスで別れ話をしている時、かつて二人が座った席の男女二人連れが同じような流れで恋が始まろうとしていて随分遠いところにきてしまったことに涙する。
互いに相手を大事に想っているのは間違いないのに…。
ばったり再会して気まずいし、表面上は何事もなかったかのように振る舞うけれど嫌いになって別れたわけじゃないから親愛の情のようなものは残っているんだよね。
ただ、相手を思い出す時に、あれが好きだったとかそういう表面的なものだけで、相手の中身についての描写がなかったことが、大人というよりも子供の恋が成熟しなかった現れなんだと思う。

坂元裕二は「高校生にこそ観てもらいたい」と言っていたが、多分彼らにはわからなくて幾つもの遍歴を重ねた大人に深く刺さりそう。

映画の出会いのひとコマで、この偶然を忘れたくなくて家に帰ってすぐ部屋に閉じこもってしっかり記憶に刻みたい、という絹と同じく一日寝かせると感じたことが薄れてしまいそうなので家に帰ってすぐ感想を書いている。

ちょい役で清原果耶が出ていてびっくりした。
高校生?をやるのに少し顔が丸くしていたのかな、すごい女優だな、と思う。
朝ドラは観ないけど、大河とか連ドラとか出るならチェックしたい。
有村架純は表情が乏しいけど、ちょっとわがままなキャラをやると、可愛らしさと冷たさがあの表情に上手くマッチしていい。
この映画のMVPはやっぱり菅田将暉だな。
ふわふわしている学生時代と社会に揉まれた時代ときちんと年の経過を違和感なく見せてくれた。
彼が主役なのは納得。