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嗚呼、貧乏丼

高校生一年生の頃、勉強が嫌になってしまった私は、早くも就職を決意した。
教育熱心だった両親は酷く狼狽し、私の意思が変わらぬと分かると両親は月5千円しか小遣いをくれなくなってしまった。昼食代も文具代も締めて5千円である、育ち盛りなのに全然足りない。社会人になるまで体重が50キロあるかないかだった。今考えればネグレクトだが、当時はそんなものかと思っていた。

月初に5千円を貰うと牛丼屋に直行した。
この日だけは大盛り牛丼と玉子を頼む。
牛丼が出てきたらまず箸でご飯を固める、そして玉子をよくかき混ぜ醤油をたっぷりと注ぐ。
次に牛丼の中央に箸で穴を開け、紅生姜を大盛り1杯、2杯・・・3杯乗せる。
丼から溢れるほど載せる。
そして、牛丼の中央に穴を開けてドロドロの玉子を注ぐ。
さらに唐辛子をこれでもか!と言うほど振りかけて無心で駆け込む。

これが、美味い。
食後に熱いお茶を飲むとなお美味い。

今ではこんな無茶な食べ方はしないが、牛丼屋に行くとそんなこともあったな・・・と感慨に耽ってしまうのだ。

#元気をもらったあの食事

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