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1.バズる前の準備が肝心!必殺テクニック5選
こんにちは、元祖 鯱もなか本店のけんじです。
私たち夫婦は2021年に廃業寸前の状態で家業を継ぎ、娘である妻が代表となり、夫婦で経営を引き継ぎました。
大ブレイクの裏側
ありがたいことに、マスメディアに取り上げられたことで、全国的に名が広がり、今年に入ってからは数々のビッグネームとのコラボにより、そのファンの方たちに広く知っていただくことができました。
だいたいのことはこのYahoo!ニュース記事にまとめていただいているので、noteではその裏側について詳細に記していきたいと思います。
25記事で1セットとなるような構成で更新していきますので、ぜひ楽しみにお付き合いください!
後継者の方やご自身で事業をされている方、情報発信している方のお力になれたら嬉しいです。
ではここからは、具体的にどんな準備をし、来たるバズに備えていったのか、その方法についてお伝えしていきます。
綿密に設計した販売プロセス
老舗がインターネットに取り組む理由
廃業寸前の事業を引き継ぎ最初にテコ入れしたのがオンライン販売の強化です。実はそれ以前から、申し訳程度に通販できるサイトは存在していました。しかし、今どきではないデザインや、サイト上での購入までの操作性の悪さも相まって、購買意欲が刺激されるページではありません。
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弊社の看板商品の「鯱もなか」は名古屋らしいお菓子です。金のシャチホコを模したそのフォルムはこの上ない「名古屋感」を醸し出しています。
だからこそ、広域の方に知っていただきたいと思いました。
実は弊社は創業当時から「お土産需要」に特化したお菓子屋です。創業は明治40年。名古屋港が開港した年です。この頃は全国に鉄道が整備され、人々の動きが活発になった時代でした。
創業場所は御園座の裏にある御園通沿い。各地から観劇に訪れた客に対して名古屋らしさを追及して考案されたお土産菓子が鯱もなかなのです。
「名古屋を感じていただくこと」
これが鯱もなかにとって、重要な存在意義の一つだと捉えています。
古くより売店に置かれた鯱もなかは鉄道や空路で各地に渡っていきました。そして現在ではPC一台で世界と繋がっています。名古屋を象徴する事業と商品を引き継ぎ、これを未来へ繋いでいくために、インターネットの活用が必須だと考えたのです。
①最初の一歩!ECサイトの構築
まず取り組んだのが、オンライン購入できる公式サイトの構築です。
制作は専門会社に頼み、デザイン面では老舗らしい格式を保ちながら現代に通ずる普遍的なイメージを要望しました。当然プロなので一定以上のクオリティのデザイン案を出してくれますが、ちゃんとイメージに沿っているか、事業の当事者として人任せではなく細かくチェックする必要があります。
購入者側の目線にも立ち、文字や画像に違和感がないか、何度も確認。せっかくページに飛んできても、ちょっとの違和感が「離脱」を招きます。まずは「感じのいいページだな」と滞在してもらえる最低ラインを越えなければなりません。スマホで見られることが多いためスマホ画面での表示確認もマストです。
制作の資金源としては小規模事業者持続化補助金を使いました。
この補助金は「持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助」する制度で、様々な取り組みに使えて便利です。
国や自治体によって様々な支援制度があるので、事業者の方はアンテナを貼っておくのがおススメです。また、商工会議所の会員になることで、補助金の情報が入りやすくなったり各種相談ができます。年会費はかかりますがコスパはいいと思います。
②映えを制する!Instagramの運用開始
そして、公式サイトがオープンしたら、見てもらえる母数を増やす必要があります。そこで取り組んだのがInstagramです。
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まずはアカウントの世界感を作り込むことに時間を費やしました。どんな層をターゲットにするのか。投稿のデザインコンセプトをどうするか。
20~40代の女性に向けて発信すると決め、更には「医療事務の仕事で人間関係のストレスがあり、仕事帰りに甘いものを求めてお菓子屋に立ち寄る25歳のA子さん」像をペルソナ設定しました。
また、同業者でいい運用をしているアカウントを研究し、良い部分を取り入れていきました。
例えば、同じ名古屋市内の和菓子店「一朶 (いちだ)」さんのアカウントが本当に美しくて、いつも勉強させていただいています。お菓子もとても美味いしい名店です。
それからコツコツと投稿を重ね、アカウントを伸ばし、自社の露出機会を増やしていきました。
③ユーザー数9300万人!LINEを攻略
そしていよいよ真打ち登場となるわけですがLINE公式アカウントの運用を開始しました。
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LINE公式アカウントは個人向けではなく、ビジネス用に特化したLINE社のサービスです。LINEユーザーはなんと2022年3月現在で月間ユーザー数が9300万人とのことで、今は連絡ツールとして必要不可欠となりました。
LINEで自社アカウントを作り、友だち登録者数を増やしていくことで、プッシュ型のSNS展開ができるようになったのです。
他SNSの場合、自社の投稿がフォロワーさんに届くかどうかはわかりません。初動の反応率や、他アカウントの関係値など様々な要素をアルゴリズムで判定して、表示されたりされなかったりします。
ですが、LINEの場合はSNSでありメッセージツールのため、送った情報がダイレクトに相手の元に届きます。そのため、より積極的な宣伝が行えます。
また、リッチメニューといって画面下に、リンク等を貼れるボタン型のメニューを配置できたり、チャットボットという自動応答機能を設定することで、ポチポチ触ると反応がある、遊ぶように使えるアカウントを構築することが可能です。
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この機能は子供からご高齢の方にも好評で、店舗情報を見たり、クーポンの発行など、色々な機能を楽しみながらご利用いただいています。
LINEから公式サイトに飛んでお買い物していただいたり、ご来店のきっかけづくりになるような、重要な役割を果たしているのです。
④既にあるものを活かす!”しおり"にQRコード
そして、今あるものに目を向けました。一番大量に売れるお菓子は鯱もなか。駅や空港や名古屋城などの各売店に毎日たくさんの量を納品し、売れていきます。
古くからの取引関係があるため、新規で簡単には参入できないような、大手の販路に恵まれています。この状態で事業を引き継げたこと、先代に感謝しなければなりません。
一方で、直売ではないため利益率が低くなるのが難点です。弊社のような小規模事業者が本来戦うべきではない「薄利多売」の領域に両足を踏み入れています。
多売なので沢山作る必要があります。製造人員が必要ですし、在庫を切らせないため毎日製造、納品しなければなりません。まとまったロットがあるので効率的といえば効率的。ですが低利益で売りっぱなしの状態はどうなんだろうと疑問がありました。
そこですぐ行ったのが"しおり"へのQRコード印刷です。箱の中に商品紹介のしおりを入れているのですが、そこに公式サイトとLINEのQRコードを印刷したのです。狙いは商品に広告機能を持たせて、LTV(ライフタイムバリュー)を上げることです。
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「LTVを上げる」とはざっくりと言えば一人のお客様がリピートして下さる回数を増やすことです(細かく言えば色々ありますが大体で)
低利益の商品をただ売り続けるのではなく、一度買って下さったお客様に、また帰ってきてもらえるような仕掛けを施したのです。
何がきっかけで鯱もなかを手に取っていただけたのかはわかりません。それでもそこにQRコードがあることで、読み込んで下さる可能性が生まれます。
綺麗に作り込んだ公式サイトを見れば、売店だけではなく本店で売られている様々なお菓子を食べてみたい!と思って下さるかもしれません。遠く離れた名古屋の味をまた楽しみたい!と思ってオンラインでお取り寄せして下さるかもしれません。
元から入れているしおりなので、ほんの少しの修正費用以外、特にコストはかかりません。製造工程にも変更はなく負担もありません。でもこれだけのことで「お客様とのご縁が未来につながる可能性」を確実に高めることができたのです。
⑤ストーリーのビジュアル化!漫画を制作
先に触れたLTVの向上に向けてもう一つの強力な施策を行いました。それが漫画の制作です。せっかくオンラインストアで売れるようになってきたので、発送時の同梱物としてストーリー漫画を入れるようにしたのです。
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老舗は伊達ではありません。あったことを紡いでいくだけで感動ストーリーになるのです。100年以上営業しているので、世の中の大変革やら大災害やら財務や人間関係における困難など、あらゆることをくぐり抜けてきているわけです。そんな創業から114年(制作時)の歴史をギュッと8ページにまとめ、一冊の漫画にしました。
お菓子という商品をきっかけに生まれたご縁。そこにこの一冊を添えることでストーリーを共有することができる。するともしかしたら共感が生まれるかもしれない。「何かの時にはもう一度」と思ってくれるかもしれない。この漫画制作の背景にはそんな強い期待が込められているのです。
裏表紙には取扱い店舗と、やはりQRコードを印刷し、カタログ代わりに日々商品と一緒に発送しています。
この漫画を描いて下さったのは、知り合いのおこめさんです。
おこめさんが漫画のお仕事を受けているかは不明ですが、ココナラ等のサービスにも漫画制作者の方が登録しています。ご興味がある方は作風が合う方を探してみるといいと思います。
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました!
バズったタイミングが、これだけの準備をした後だったのが、しっかり売上として回収できた理由だと考えています。
広く知っていただいたとしても、買い物しにくいサイトでサーバーがダウンしたりとか、電話も繋がらないでは、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
オンラインストア、各SNS、そしてリピーター化できる仕組みをしっかり整えた上での爆発的拡散だから最強だったのです。
ちなみにTwitterについてはボリュームがあり過ぎるので別記事で扱います。
もしご参考になればぜひ「フォロー」と「スキ」をお願いします。
それでは次の記事もぜひお楽しみに!
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