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死と漫才師。〜見取り図様〜

とても辛いことがあった。
初めてはっきりと死にたいと思った。3日間寝込んだ。そんなとき、ある芸人の漫才を見た。何度かテレビで見たことのある漫才師の、見たことのあるネタだった。 

めちゃくちゃ笑った。

その漫才師がYouTubeをやっていることを知った。
見た。はまった。

平日はなんとか仕事に行き、育児をこなした。
娘が寝るとYouTubeを見た。ずっと見た。笑った。馬鹿らしくて、笑った。
今の私には必要不可欠な馬鹿らしさだった。
笑ってる間は何も考えなくて済んだ。
ひたすら見た。通勤電車で、お風呂で。
翌週にはその漫才師目当てに漫才劇場に行った。
笑った。かっこよかった。キラキラしていた。
ああ、これが推しというやつか。 
人生で初めての、推しのいる生活。
SNSの書き込みがあると飛んでいった。芸人さんは達者で、文章なんかも書いていた。素晴らしかった。死の淵にいた私を救うほどに。死にゆく心を生かすかのように。  
まだ問題は山積みで、そっと死のそばに行ってしまうときもある。けれど彼らに生かされる。何度も、何度でも生かされる。

心優しくて、気ぃ遣いぃで、繊細な盛山さん。
生きるもの全てに優しくて、天真爛漫で、人たらしなリリーさん。

見取り図さん。
ありがとうございます。

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