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ローカル局は頑張らないと、余計に

こんな仕事をしてるくせに、あんまり芸能人に関心がないのですが、いろいろ考えることがあったので、珍しくピックアップするのでござる。

ヤフコメあたりだと「映画は監督のもの」だとかこの女優に対する苦言とか、まあいろんな意見が挙がってるんですが、記事が正しく書かれているならば、これはもう放送局の問題なんだろうと思うわけですね。

記事では監督が「私も雇われなので…」とコメントしたことに対し、「監督はかくあるべし」みたいなステレオタイプの外野意見もありますけど、この点は仕方ないんだろうと思います。
企画や内容ありきで人選され、主導権のない「雇われ」監督だったのは事実でしょう。

なにしろ、この作品は放送会社の開局記念作品ですからね。
通常の作品のように、局は単に出資しておこぼれを頂戴する製作委員会の一社、なんてお気楽なポジションじゃないわけですよ。

恥を掻くのは放送局ですから、公開終了まで醜聞にまみれちゃいけないはずなのに、なんで全力で対処できなかったのかなあと。

今年3月まで、僕自身が職場の開局キャンペーンを担当していたこともあり、自分だったら…と考えると、実にもぞもぞするハナシなんですよ。

プロジェクト成功のために監督、脚本家、俳優を繋ぐのは局のプロデューサーしかあり得ないんですが、コミュニケーションがどこまで取れていたのかはわかりません。

しかし、仮にいっときの感情であれ、制作前に主演女優が泣いて訴える場面に出会したのであれば、何が何でもケアする必要があったはずです。

この作品の脚本家は原作者でもあり、すでに単行本も刊行されているので、作品の世界観に関わる改変は無理ゲーだったはずです。

それゆえ難易度の高いミッションだったことが推測できますが、少なくとも主演女優が納得できず辞められる環境だった、厳しい言い方をすれば、その程度のコミュニケーションだったのかな、とは想像できます。

ただ、この局はそもそも自社ドラマの制作に積極的なんですよ。
地元出身の著名監督を何度も起用しているはずですし、周年作品という大きな作品を経験の浅い社員に託すとも考えにくいので、今回の制作チームの環境がよほど従来のチームと異なっていたのかもしれませんが。

まるっきりの性善説ですけどね。

テレビ、ラジオともに番組だけ作っていればいい時代は終わり、さまざまなトライアルに挑むことも増えています。

当然ながら、ローカル局がどうアタマを捻ったところで、キー局と同じ人海戦術やクオリティ、物量は真似できません。
同じことをやっても、初めから玉砕がわかってるんですよ。

だからこそ、プロデューサーにはそれらのマイナス面を補うアイディアと、適正な物量と、プロジェクト完遂を目指すためのスキーム作りが必要です。

今回の件のどこに問題があったのか知る由はありませんが、周年はズラすことができないだけに、新たなキャスティングでこのスキャンダルを吹き飛ばすような素晴らしい作品が公開されることを祈ります。

まあアレだわ、同じ名古屋の局だでね。

ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。