見出し画像

仕事で『マジカルミライ』行った結果(完結)

12月18日から20日まで開催された『初音ミク「マジカルミライ 2020」in TOKYO』に社として出展しました。

1月からの新番組『RADIO MIKU』の告知が主な目的で、限定グッズを売ったり、お子さまも楽しめるゲームを用意したり、自己啓発セミナーを催すというようなことはなく、iPhoneで作ったムービーを観せつつ、ただフライヤーを持って行ってもらうだけの、プリミティブにも程があるブースでした。

9月に放送した『30分じゃ伝えきれない初音ミク』をきっかけに、「初音ミク」コラボ企画がぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐっと動き出し、レギュラー番組の放送が決まったわけですが、まずファンの方に聴いていただかないことには意味がありません。
サイトだけ作って「さあどうぞ」というPRはあまりにも能がないので、自らファンの皆さんの前に出て行く必要があったわけです。

しかしご承知のように、開催前日の17日は都内の感染者がいきなり800人を超えてしまい、出展を中止する企業さんもあって、現地に着いた僕にも社の人間から人員配置の変更など、いろんな連絡が入りました。

感染状況が悪化すれば、途中撤退も考えられる事態でした。毎日ひとりずつスタッフを増やす布陣だったので、同僚を感染リスクから守るには早い方が得策です。
とにかく各地の感染状況を見ながらの判断、それしかありません。おのれ、コロナの野郎…(女性だったら申し訳ない)

初日の朝はブースにひとりきり。

しかも運の悪いことに、コロナ禍の社内対応の影響で、展示の目玉、おぐちさんによるイラストパネルの到着が遅れたのです。
ホテルを出る前に急遽コンビニでPDFをプリントアウトして貼り出しましたが、持参したスタンドの関係でA4とショボいサイズ。

新幹線の中でなんとか仕上げたムービーと、ギリギリで届いたフライヤー。開戦時における我が軍の兵力はこれだけでした。

実はこの2ヶ月ほど、僕自身が他のネットイベントなどの実務にも関わっていて、どれだけプライベートを割いても準備時間が取れませんでした。
イベント当週にフライヤーとパネルを間に合わせることに追われ、あるファンの方にも協力を仰ぐことになりました。

そんな様子を見るに見かねてか、プロジェクトメンバーにして企画の元凶、もといキーパーソンであらせられる女性同僚が、新番組準備の間隙を(ミシンで)縫ってドールを作り、ご家族の協力のもと届けてくれたのです。

画像1

2日目閉場後、出展社の先輩・橋本漆芸さんが訪ねてくれて記念撮影するなど大活躍。
むぅ、この価値…プライスレス。

初日にハナシを戻すと、開場後しばらくはみんな足早に通り過ぎてしまいました。ポリ手袋をしてフライヤーを配布してみたんですが、すぐにやめました。
そりゃそうです。だってみんな物販目当てですから、邪魔しちゃいけない。

そこで手に取りやすいようフライヤーを並べ直し、椅子に腰掛けて置き物に徹しました。何か尋ねられたら「はいよー」と、古本屋の親父にでもなった心地にて。ハタキの一本でも持っていけばよかった。

僕らのブースは背面以外壁もなく、隣のブースもなく、遮蔽するものなしの青空立地。
通路もかつてないほど広いので、なんとなくフリーマーケットを思わせる風情でした。もしかするとブースとは気づかれなかったかもしれません。

そして対面の物販ブースは幾重にも蛇腹になるほどの長蛇の列。それをぼんやり眺めながら、なんか売れるものでも作ればよかったかなぁと考えていました。

すると、対面のブースで商品を購入したお客さんの多くがこちらへ向かってきました。
そう、あの同僚が夜鍋して作ったドールを見に来たのです。
行列にはならない程度に、人が入れ替わり立ち替わりドールを撮影してくれます。うおおお!ついでにフライヤー持っていっておくれええええ。

そして男性同僚が名古屋からパネルを持参して合流。ドール撮影をアシストしたりと、古本屋のオッちゃん以上の機動力を発揮します。

パネルをご覧いただいた皆さんから「かわいい」と言っていただいたこと。この時点で我が軍に神風が吹き荒れたのであります。

そのうち、この置き物に声を掛けてくださる方も現れました。その多くが東海エリアからお越しの皆さまでした。

名古屋飛ばしに代表される文化不毛の地。初音ミクファンにとって、どこまで歩いてもオアシスどころか泥沼すら見当たらず、悲嘆に暮れて流した涙を舐めて渇きを癒す地獄の砂漠地帯。
あなたがいれば嗚呼東京砂漠なんて目じゃないTHE グレーテスト・デザート・エリア。タピオカもクレープも売ってません。

そんな生けしカルチャーミイラたちの怨念と哀しみと、救済を求める希望の全てが、この青空立地に聳り立つ置き物へ向けられたのであります。

はいよー、おじちゃん頑張るがね。

さて、その他心温まる数多のエピソードは割愛させていただくとして、特筆すべきは今回の『マジカルミライ』が、内閣官房から任命されたコロナ対策サポーター「初音ミク」のイベントであることです。

コロナ対策であれば家から出ないこと、人に会わないことが最も確実です。しかし政府が発する緊急事態宣言はそもそも経済系施策であり、だからこそ常に経済を回すか止めるかの議論になるのです。

このコロナ対策サポーター制も、いかに感染予防策をとりながら経済をギリギリで回していくかというテーマがあるものと思われます。
ドライに言えば、生命を守るかどうかは、小池都知事のキャッチーなフレーズに拠らなくとも、個々人の対応に委ねられているわけです。

ゆえに、今回の『マジカルミライ』への期待は、ファンだけが寄せていたわけではなかったはずです。

プライベートで向かったOSAKA会場でも、イベンターとして感嘆するばかりでしたが、今回はかなり事態が切迫していたこともあり、閉幕まで遂行される運営さんの気苦労たるや。

前述のように我々は企業単位でどうにでも判断できるんですが、我々出展社に送られる事前案内も状況に応じて日々体制がアップデートされるなど、感染防止への相当な気配りが感じられました。

現地でも、検温等のチェック体制やブース単位の消毒など万全で、時折会場のシャッターを全開にして換気対策も抜かりなし(ちょい寒かったけど)。

無論これだけ人がいれば、一定の割合でルール逸脱を厭わぬアンポンタンやスカポンタンもいるわけで、参加させていただく側としてそういう方がいれば注意を促そうと思ってはいましたが、少なくとも弊社ブースには、そのようなポンタン類がいらっしゃらなかったのは幸いでした。
OSAKAで感じたファンの自治は(SNSを見る限りは)ある程度健在だったのかなと思います。

出展に関する感傷的な部分は公私でツイートしておきましたので、まあ探していただけると何よりです(不親切)。

(追記)
さて、1/8にマジカルミライの運営サイドからこのような発表がありました。

実は出展関係者2名から新型コロナウイルスの陽性反応が出たということでしたが、幸いそれ以降の感染者の報告はなかったそうです。
発症期間の目安とされる2週間を経過したので、このイベントがクラスタの発生源とはならなかったわけで、イベントはなんとか無事に終わったということになります。

来場者、関係者が十分な対策を行った賜物とも言えますが、今年(2021)に入って感染者数が急激な伸びを見せていることから、わずか3週間前のこととは言いつつも、感染に至る環境は激変しているのではないかと思われます。
このマジミラの成功に油断せず、日ごろの対策を続け、感染を当時よりも減少させ、今秋の開催をみんなで楽しく迎えましょう。

ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。