【M&A】2020年第一四半期の日本国内M&Aの振り返り

こんにちは。本当は朝に更新したかったのですが、今日はなんだか朝からやる気が全然でなかったため、昼過ぎの更新となってしまいました。3月末時点ではOn-goingであった案件についてはコロナ禍の影響がどれだけあったのか気になったため、四半期の振り返り記事を本日は取り上げます。

この記事を選んだ理由

私自身M&Aについては今後業界に飛び込む人間であり、こうやってニュースの要約・解釈をまとめることで業界の大まかな勉強を測っているところです。今はまだ必要スキルや情報の全体感がつかめていないため、Overview的な記事であったり自分のこれまでの人生に直結するような「とっつきやすいテーマ」に最初の2週間くらいはフォーカスしようと思っています。

ある程度自分の視野が広がってきた段階でもう少しテーマの細分化(業界軸、プロセス軸、視点軸など)を行っていきます。

要旨

①1000億円超の大規模案件はわずか2件、金額は前年同期比で60%の低下。ただし、件数は2018年に次いで最多。

②買収対象となった業界は、ハイテク、工業、卸売の順。ハイテクは前年同期比107.8%、全体の1/3を占めており、ダントツ。

③国内案件が前年同期比2倍超。一方、In-Out案件は6割減。主な買収先は米国、インド、シンガポール。

解釈

2019年は1000億円超の案件が22件もあったのに対し、四半期でも2件しかないというのは露骨に減っています。一方で、2019年まではIn-Out案件が全体の半数以上(TOP10内は5案件)を占めていたのに2020年四半期は2社のみになりました。特に2019年はSBグループが趨勢を占めていましたが、SVFの1兆3500億円もの大幅赤字により、しばらくは影響力が低下するのは間違いなさそうです。

以上より、これまでは高まった内部留保に伴い海外案件のM&Aが活発化していましたが、コロナ禍に伴う状況の不透明さゆえか国内の小規模案件にシフトしていることは間違いないでしょう。

本当はここで内部留保の使い道として賃金の増加や株主への配当にいけば、ROEも改善されますが、日本の多くを占める製造業も現在の内部留保がアベノミクスによる円安誘導に伴うものと理解しているためか、そんなこともしてくれません。今の利益はかりそめだとわかっているので、従業員や株主に還元することなく、海外企業の買収という大規模設備投資を行うことで自社の活路を見出そうとしたのです。ただ、その勢いも2019年くらいから徐々に落ち着きはじめ、In-In案件が徐々に増えてきた、というのが実情のようです。

なお、2020年に一位となった日立ハイテクの買収ですが、こちらは自社のIoTソリューションサービスの「ルマーダ」を企業戦略の主眼においたうえでの選択と集中の果ての決断であったようです。Lumadaとは初めて聞きましたが、Predixのような総花的なサービスではなく、SaaS的に的を絞っている点であったり元々ソフトウェアベンダー的な側面も持っている日立の強みを活かしたサービスということで、GEやSiemensとは異なっていますね。特に後者の強みはGE/Siemensのような製造業の雄とも、IoTベンダーとして参入したいNECらとも異なるポイントですね。今後は日立金属や日立建機の処遇も検討中のようですが、日立化成がその中で即刻買収されてしまったのは若干違和感がありますね。コンプレッサやガスエンジンなども作っている日立からみれば彼らも大きなIoTビジネスの主戦場足りうるようにも思いますが。まあ石油化学産業自体が今後斜陽だから自動車に、ということな気もしますが。。

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