【M&A】ソニー、金融事業を完全子会社化 4000億円でTOB

こんばんは。今日も目立ったニュースは無いだろうと高を括って夕方ごろ更新しようかな~と思ってダラダラしつつやることこなしていたら、大ボス級のやつが来ましたね。隙間時間で読み解けるものでもないと思ったので、初めての夜中更新となります。4000億円のTOBなんて今年もうあるのかな。いや、むしろこういう親子上場しているグループ会社とかはどんどん経営再編をしていくのかな・・・とか妄想が膨らみますね。

この記事を取り上げた理由

今年トップクラスの大規模なM&A案件と思われるため、スキームから経緯から今後の展望まで深く考えたいため取り上げました。できればソニーHD以外の展望なども含めて検討できればと思います。

要旨

①ソニーは19日、金融事業を手がける上場子会社のソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化すると発表した。3955億円を投じ、TOB(株式公開買い付け)を実施する。ソニーは約65%を出資しており、TOBで残る35%の株式取得を目指す。

②これまで取りこぼしていた利益を囲い込む狙いもある。ソニーの金融事業は20年3月期の営業利益が1296億円と全体(全社・セグメント間消去前)の14%を占める。ゲームや半導体、音楽事業に次ぐ稼ぎ頭だが、少数株主持ち分として純利益の3割強が外部に流出してきており、完全子会社化で取り込む。

③世界ではITと金融の融合が進む。アリババは10億人以上が利用するスマートフォン決済「支付宝(アリペイ)」で決済データを収集。利用履歴や資産状況をもとに個人の信用力を点数化するなど、融資サービスにも活用する。アップルも独自のクレジットカードを展開するなど、米IT大手も決済分野を中心に金融事業を拡大している。

解釈

まずSFHの株主構成自体は元々親会社のソニーが60%くらいだったのがここ数年で65%までジワジワ伸びていたり、IRによれば露骨に親会社の影響力を増やしていたので、元々本構想はあったっぽいですね。

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SFHが設立されたのは2004年であり、当時は100%子会社でした。上場を果たしたのが2007年です。親子上場は以前より何かと問題視されることも多く、特に親会社と子会社とで利益相反が起き、特に子会社の少数株主の利益がないがしろになりやすいとされていました。

(この観点からソニーは以前よりヘッジファンドのサード・ポイントよりSFHの売却を求められていましたが、全く別の動きになりましたね)

上場後のSFHは収益が安定しないエレクトロニクス事業に比べ、安定した収益を保っていました。今回のTOBの要点は、コロナ禍における事業安定性の確保と親子上場の解消+親会社とのシナジー強化と言われていますね。

GEの凋落なども受けてコングロマリット=悪といったようなイメージも出来つつありますが、デジタル時代における新たなシナジーの創出方法も考えられているようです。

自社を実験場にしてノウハウを蓄積してから外販するというのはイノベーションのビジネス化の際のスタンダードな手法です。今回のソニーにおいては、Fintech事業がまさにそれに当たりますし、ゲームもPS5というハードを開発しつつ、オンラインプラットフォームを充実させていったり、音楽・映画の配信事業も強化しています。

今後はこういった横ぐしを通すようなサブスクリプション事業であったりソフトウェア事業のような装置産業ビジネスから脱却を図っているのかもしれませんね。

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