祖母の回復とありがたみ。

先日、祖母がお世話になっている特別養護老人ホーム内の、面会制限が緩和され、自由に行き来できるようになった。そこで母と一緒に一ヶ月ぶりに祖母のもとへ向かった。

入り口を通りエレベーターに乗り、降りるとすぐ右側に受付が見えた。一目見てわかるほどに、とてもさわやかな空気が流れており、清潔感もある。母と私が「お世話になります」とあいさつをすると、職員の方が一斉に手を置き顔を上げ、こちらの方を向いて、とてもにこやかに会釈をしてくれた。一人の優しい職員さんに案内されながら、祖母の部屋へ向かう。

部屋に入ると祖母は、車椅子にすくっと座って待っていた。「えーっばあちゃん!元気そうやねー!」母と私はその姿に浮き立つ心を抑えきれず、祖母の顔や肩、手に触れながら話しかける。

こんなにも驚いたのには、訳がある。祖母は入所する前、病院ではほとんどの時間ベッドに横たわり、喋ることもままならない日もあった。調子が良ければ家から持参したバナナを食べたり、会話も少しずつならできた。しかし、病院での様子をみるかぎり、このまま寝たきりになる心配をかかえるほどに、衰弱していたのである。

それがいまは、どうだろう!!病院での生活がまるでなかったことのように、回復している。足腰に衰えは見られるものの、背筋もしゃんと伸びている。表情と会話にも、家で過ごしていた頃のような覇気が戻り、元気になっている!母はうれしさのあまり、涙声まじりに笑顔で祖母に話しかける。私は妙な責任感にかられ、この姿を親戚一同に伝えなければと、思わず動画や写真を撮影会なみに撮りすぎてしまい、あとで反省するくらいに、祖母の大きな変化に驚かされたのである。


この一ヶ月間、家族の私たちに代わり、職員の方々は献身的に祖母のお世話をしてくれていた。職員の方とは20分という時間制限もあり、あまり会話を交わすことなく部屋をあとにした。そこで多くを語らずとも、祖母のおだやかでやわらかな表情を通して、その方たちのここでの「在り方」が伝わってくる。いま思い返すと、それは文のはじめに記した、あいさつと空気感からも感じとることが出来ていた。


帰る道すがら、車の中で「ばあちゃん元気そうでよかった、本当にみんな優しそうないい人たちだったね、あんなに変わるんやね、びっくりしたね 」と母とふたりの空間はよろこびと感謝と感激のことばで、溢れかえっていた。おかげで私たちはその日安心して、家路につくことができたのである。

もっと、広くこれらの仕事への感謝の気持ちが伝わらないかな。うまく表現できないけれど、それは世の中のみんなが関心をもつ、みたいなそんなこと。