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【#N高】通信制高校の教員一人当たりに生徒数に関する文部科学省の調査研究協力者会議の審議まとめ案について

◆通信制高校の教員一人当たりに生徒数の基準は80人へ


 今年8月末、文部科学省の「「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議」が重要な審議まとめ案を示しました。

通信制高校「生徒80人に少なくとも教員1人必要」初の基準(2022年8月29日 NHK報道)

 会議は、通信制高校における教諭1人あたりの生徒数について、「少なくとも生徒数80人当たり教諭等が1人以上必要であることを基準として設定していくべきである」と結論付けています。

 私たちは角川ドワンゴ学園に対して、労働環境及び教育環境の改善のために、教員一人当たりの生徒数を減らすよう要求し続けてきました。審議まとめ案の80人という数字は、私たちが団体交渉で学校側へ訴え続けていたものであり、今回の審議まとめ案は当組合の主張が一般的に受け入れられたものであると非常に喜ばしく思っております。
 
 N高等学校側はこのまとめ案に対して、公式HPにて見解を述べておりますが、これに対する私たちの見解をお伝えしたいと思います。

①メンターが担当する生徒数が260人であることについて 
 角川ドワンゴ学園は、教員一人当たりの生徒数を減らさなくても、分業制・チーム制によって負担を軽減できるとしていますが、実際の現場でそれが上手く機能しているとは思えません。
 今年度からN高では授業担当とメンター担当(生徒への面談を行う実質的に担任の役割をする教員・スタッフ)との分業が始まっています。注目すべきは教員一人当たりの生徒数が同時に増加していることです。昨年度まで生徒150人当たり1人の教員が担当するものが基本だったのに対し、今年度は220人当たり1人の教員が原則とされるようになり、多い教員は現在260人以上にもなっています。
 どんなに上手に分業を行ったとしても260人の生徒を1人ひとり親身になって対応することには限界があると思います。これは20世紀であろうが21世紀であろうが変わらない事実ではないでしょうか。

 また、下記図※のように260人もの生徒の面談および質問対応をこなしながら、専門部署との連携業務も必要となり、担任・メンターには大きな負担になると推測されます。よって、学校のHPに明記されている『生徒約42人に1人の割合で常勤教育スタッフを配置』という数字については現場の感覚とはかなり乖離していると考えます。
 例えるならば、全日制の学校にも担任を持たない進路担当の先生、入学広報の先生などがいると思いますが、その先生たちの人数も分母に含めて割り算をしているようなものです。
 今回の文部科学省のまとめ案により、来年度からは生徒80人当たり1人の教諭という現状と比べ常識的である人数に改定し、健全な教育を行って欲しいと願っています。


図(260人の生徒をサポート部署含め6人のスタッフでサポート)を単純に割り算すると260÷6≒43。生徒約43人当たり1人の教員の計算になる。


※『生徒約42人に1人の割合で常勤教育スタッフを配置』などの文言については、以前からも我々と学校側の解釈に差異があるため、常勤スタッフという文言はどの職員前含めているのか(教員免許の有無や大学生TAも含めるのかなど)を明確にするように現在、学園に求めています。

②『教員免許に固執しない』その結果、学生アルバイトがメンター(主担当)に
 学校HPにて『教員免許に固執し多様な社会人や専門人材が教育に参画する道を閉ざすべきではない』とあり、一見「素敵なフレーズ」のように見えますが、実際の現場では、大学生アルバイトをメンターにする動きが加速している状況です。
 もちろん、大学生の方も一生懸命に生徒指導に当たってくれるとは思いますが、やはりアルバイトと正規の教員とでは専門性や技能、請け負う責任の大きさが違うのではないかと思います。
 免許を得る過程においてはしっかりと専門的な教育を受けており、大切な生徒たちの将来を決める大事な役割はやはり資格を持った人間が行うのが筋ではないかと我々は考えております。
 その上で、多様な人材を教育へ参画させることについては我々も異論はないのですが、これでは多様性とかこつけた単なる経費削減なのではないかと疑ってしまいます。組合員以外の従業員からも、我々の元へそう言った声が聞こえてきています。

 全体を通して、学校側の公式の見解は実際の現場が何も見えていないと感じざるを得ないものです。

 分業化、ICT化など、未来の教育の理念そのものについて我々は否定するつもりもありません。むしろ積極的に進めて、労働者の負担軽減や教育の質の向上に繋げてもらいたいと思っています。
 その為にも、空上から理想を唱えるだけでなく、実際に声を上げている現場の声をしっかりと受け止め、改善に努めてもらいたいと願って止みません。

 今回の文部科学省のまとめ案から、来年度どのような運営で行っていくのか、団体交渉などを通して学校側と話合いを進めていく所存です。

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