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都内デザイン会社で全社的に裁量労働制を廃止し、過去の裁量労働制適用についても問題を認めさせ、金銭和解を勝ち取りました!

●月80時間残業が常態化

 都内のデザイン会社で働いていたデザイナーのAさんが、裁量労働制ユニオン(総合サポートユニオン)に加入し、団体交渉を行っていましたが、今回解決に至りましたので、ご報告します。
 Aさんは裁量労働制のもとで、長時間労働が当たり前となり、残業だけで月80時間近く働くことが常態化し、長い時は月100時間を超えて働くこともありました。
 また、裁量労働制にも関わらず、実際の働き方に裁量があるとは感じられませんでした。Aさんによれば、「明日までにやって」などと、急な締め切りで仕事が振られることも多く、自分で仕事の進め方を決めることはできませんでした。このように、実際には裁量のない働き方であったことが、長時間労働の一因になっていたと考え、Aさんはユニオンに加入することを決め、団体交渉することになりました。

●裁量労働制を全社的に廃止、過去の適用についても金銭支払い

 専門業務型裁量労働制の対象業務は19個に限定されています。そのうち、デザイン業務は厚労省通達により、以下のように定義されています。

(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
 「広告」には、商品のパッケージ、ディスプレイ等広く宣伝を目的としたものも含まれるものであること。
 考案されたデザインに基づき、単に図面の作成、製品の制作等の業務を行う者は含まれないものであること。

 「考案されたデザインに基づき、単に図面の作成、製品の制作等の業務を行う者は含まれないものであること」とありますが、Aさんは、そのような働き方をしていなかったと言います。
 Aさんによれば、すでに決まったデザインを指示通り制作したり、修正作業のみを行ったり、単に図面やグラフを作成したり、単なるテキストの流し込み作業や、さらにはデザイン業務ではない雑用を任されることも多くありました。また、実際の業務の進め方についても、裁量があったとは感じられませんでした。
 ユニオンとの団体交渉の結果、このデザイン会社はこれまでの裁量労働制の適用に問題があったと認め、過去について金銭を支払うことになりました。また、社内のすべてのデザイナーに対して、裁量労働制の適用を廃止することを約束しました。これは非常に画期的な改善です。

●クライアントに対するルールを作成

 さらに、長時間労働の背景の一つとして、クライアントからの緊急な依頼が挙げられます。夜にクライアントから、その日または翌日午前の納品を依頼されるという緊急の発注依頼が来てしまい、担当者が断れずに受け、業務が深夜に及んでしまうという問題がありました。このため、以下のような改善策を講じることになりました。

・定時以降の依頼は、基本当日作業としないことを事前にクライアントに伝える
・全案件で会社からのスケジュール提示を原則とし、クライアントも厳守することを前提として受注する
・締め切りを過ぎてからの依頼は、納品スケジュールを後ろ倒しにすることを前提とする
・定時以降に作業が多く及ぶと事前に分かっている案件は、基本的には受け付けない
・毎回上記ルールを逸脱し、申し入れても改善が見られないクライアントについては案件を断る

 これらの改善は、ユニオンが団体交渉で改善案を要求したことの成果です。同じような状況にあるデザイナーの方や、裁量労働制や働き方に疑問を持っている方など、ぜひユニオンにご相談ください。

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