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病気の猫を病院に連れて行くのは自己負担? 猫カフェ「MOCHA(モカ)」の元従業員たちが、団体交渉を始めました!

東京を中心に全国で15店舗を展開する猫カフェ大手「MOCHA(モカ)」に対して、元店長のAさんと元アルバイトのBさんがブラック企業ユニオンに加盟し、モカを経営する株式会社リポット(旧:ケイアイコーポレーション)と団体交渉を始めました。この猫カフェは、猫に感染する致死率の非常に高いパルボウィルスに感染する猫を大量に出したことで知られています。

写真(上):名前は「みそ」。モカのバックヤードにて。パルボウィルスに感染して亡くなった。鼻が詰まって口呼吸しかできず、ヨダレが垂れ続け、呼吸が荒い状態。

■猫を病院に連れて行っても「残業代は出さない」

Aさんは、店長と同時に、全店舗を掛け持ちして猫の健康状態を管理する責任者である「猫管理者」を任されていました。同社では、猫の病気が非常に多く、急な発症も相次いでいたにもかかわらず、店舗のスタッフ人数が最低限しかいないため、Aさんが全店舗の猫の体調を管理し、毎週病院に連れて行っていましたが、就業時間内に通院が終わらないことは日常茶飯事でした。 

ところが、 Aさんたちは病院にいるときに役員に残業を申請しようとしても、「後から残業を申請しても受け付けられない」と拒否されていました。
猫が病気になるかどうか、病院に連れていかなければいけないかどうかは、直前にならないとわかりません。あらかじめ残業を申請することはできるわけがなく、猫の健康のために自分が犠牲にならざるを得なかったのです。 

Bさんも、胃が炎症を起こして目の虚ろになっていた猫がいたため、店舗の営業時間中にタクシーで病院まで連れて行ったことがありました。役員にその移動費について尋ねると、「勝手に連れて行ったので出さない」と言われてしまい、自腹負担を強いられました。ほかにも、病院の治療費を自腹負担せざるを得なかったスタッフすらいました。

写真(上):名前は「フィガロ」。猫パルボウィルスに感染。すでに数匹がパルボで亡くなっていたため、体調を崩してすぐにAさんが病院に連れていった。まぶたと一緒に眼球を保護する「瞬膜」が剥き出しになっている。頭がフラフラし、耳や口、鼻から出血し、よだれや嘔吐が出て、鼻が詰まって口呼吸のために常に口が開いている状態。病院でも、他の猫に感染すると困るからと病院の外で待機させられたという。奇跡的に一命をとりとめた。

■猫のために残っているのに、タイムカードを改竄させられる 

このような賃金未払いは、日常の猫カフェの店舗業務でもありました。AさんやBさんは、役員から残業をしないように言われていました。しかし、実際には毎日1〜2時間のタダ働きをしていました。社員にはタイムカードがなく、アルバイトにはタイムカードがあり残業していたのですが、役員から定時に修正するように指示されていました。 

今年3月の団体交渉の申し入れにおいて、この役員はこの記録の改竄を指示させていたことを明確に認めました。ところが団体交渉では、社長は「知らない」と前言撤回をしてきました。 

店舗開始前には30分前に来るように言われていましたが、30分では終わりませんでした。レジの準備、店舗内のモップがけ・掃除機がけ・客用のトイレなどの清掃、20匹ほどいる猫1匹ごと全員のお尻のフンや目やにを拭いてあげたり、猫の健康状態を伝える連絡票の確認などがありました。

団体交渉では、社長はお尻や顔を拭く必要のある猫は1、2匹しかいないと反論してきましたが、営業時間外は、普通は1匹しか入れないような狭いケージに、大人の猫たちを3〜4匹も押し込められるため、他の猫のフンが付いてしまうこともあり、実際にはほとんどの猫を綺麗にする必要がありました。 

店舗の閉店後も業務がありましたが、シフト時間外であるとして残業代は払われませんでした。特に重要なのは、その日に軟便になっていたり、真菌を発症したりしている猫を治療するための対する投薬です。体に垂らす駆虫薬もあります。これらについて、社長は営業中にできるはずだと反論しています。 

そのほかにも、ご飯を食べさせたり、ドリンクや食器の後片付け、レジの金額確認、猫のトイレの丸洗い(週1回、砂を全部捨ててトレイを洗う)、ゴミ出しなどの業務がありました。

残業代が払われないため、猫の投薬をやらないで帰ってしまう従業員もいました。

名前は「サスケ」。猫風邪のために涙や目やにが固まってしまし、ガビガビになって目がほとんど開けられてなかった。従業員の人手が足りず、治療が間に合っていない状態。

猫カフェ「モカ」で、猫たちのために働いてきたのに、残業代が払われないし、猫の環境を管理する体制すら整っていない。ブラック企業ユニオンでは、運営会社であるリポット(旧:ケイアイコーポレーション)に対して、ちゃんとこれらの事実を認めて改善させ、これまで劣悪な環境で従業員を働かせていたことの責任を求めていきます。ご支援をよろしくお願いします。

■Aさんのコメント

タイムカードがない=残業は一切ない、自分の会社はホワイトだと言い切る上司。

清潔で匂いのない上品な猫カフェ、というのは表の顔であり、かわいい猫たちが健康でフロアでのびのびできるのもお客様や猫のためにと終わらない業務内容をこなしていたり夜遅くまで残って治療をしたり……。

社員やアルバイトの頑張りがあってこそ成り立っています。体調不良や鬱になってしまいやめざるを得ないスタッフや強制的に解雇されるスタッフ色々な形で去っていく仲間たちを見届けてきました。

「人はいくらでもいるから。」
「フロアに猫少なくない?裏のペットショップで至急買って足して。」

人や猫を商売道具としか見ていない、信じがたい裏の顔があります。私たちは働いていて間近でそれを経験してきました。ひとりの力では何もできないことも痛感してきました。

どうにかしたい!猫を守りたい!スタッフを守りたい!何かできることはないのかとこの記事を読んで気になった方がいれば私たちの思いに耳を傾けるだけでもいてくれたら嬉しいです。

私たちは働いてるスタッフや罪のない猫たちを守りたいだけです。皆さんの力を貸してください。よろしくお願いします。

■Bさんのコメント

私は会社から明確な理由も告げられず一方的に解雇されました。

何を訪ねても決定事項だの一点張りでした。そのとき闘う道も考えましたが、今まで一緒に過ごしてきた猫やスタッフのことを考えるとこのまま身を引くことが1番なのではないかと思い声を上げることはしない選択を選びました。

ですが私達が大切にしてきた猫たちがたくさん苦しんでいる……そして大好きなスタッフが毎日泣きながら働いてる現状を知りました。

私達も猫達も消耗品ではありません。守られるべき人権を持っています。もう同じことを繰り返させないためにも、何より猫たちが1分でも1秒でも長く幸せだと思える居場所を作ってあげたい。

どうか皆さんのお力を貸してください!宜しくお願い致します。

記事の続きです。→
【猫カフェMOCHA(モカ)】真菌に感染する猫が続出 感染で全治2ヶ月の従業員に治療費もなし

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