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【#昌平学園】学園側から労働環境の全般的改善を進めると回答がありました!


 埼玉県にある昌平学園で働く非常勤講師のAさんが、私学教員ユニオンに加入し、今年1月から団体交渉で労働環境・教育環境の改善を求めて闘っています。

 2月29日(木)、私たちは第二回団体交渉を学園と行いました。議題は、非正規教員の賃上げ(春闘)、組合メンバーの賃金差別改善、タイムカードの導入、休憩取得、未払い賃金(残業代及び「同一労働同一賃金」)などでした。

 学園からは具体的な回答がない部分も多かったですが、全般的に学内の労働環境を改善するという回答は得ることができました。来年度に向けて、賃上げやタイムカードの導入、休憩取得環境の整備など、包括的に改善を検討しているということでした。

 このような学園回答は、Aさんがユニオンの仲間と声を上げなければ、実現はできなかったでしょう。ユニオンへ加入し改善に動いているのは学内では1人ですが、大きな変化が生まれてきています。

 ぜひ、昌平学園やその他の学校でも、労働環境を変えたいという方は、一緒にアクションを起こしてみませんか?権利を行使すれば、状況を変えることができます。


◆4月からタイムカードが導入される予定

 現在、学内では、労働時間管理は「出勤簿」のみで、客観的な労働時間管理がなされていません。前回団体交渉にて「法違反の認識はある」と学園は回答していましたので、タイムカード導入の具体的なプロセスを聞きました。

 学園からは、「今年の4月からの導入を準備している。規定の改定も含めて社労士と相談している。学校外の部活の際の労働時間管理をどうするのか、順次、事務室の人からやるのかなど、具体的な検討段階に入っている。11月の職員会議で共有もしている」といった回答がありました。

 労働時間の客観的な把握は法的義務なので、4月からの導入を必ず学校はすべきだと思います。

◆休憩室の設置など休憩未取得の改善へ

 労働基準法では、休憩を1日45分ないし60分(1日の労働時間による)、自由時間として取得できる環境を使用者は整備する必要があります。

 しかし、授業準備や生徒対応等の業務を休憩時間中に行うことなどにより、休憩時間が十分に取得できない状況が学内には広がっています。Aさんも、事実上、1日20分程度しか法律上の休憩はないと、私たちは主張しています。
 
 学園からは、「休憩の取得は、学校現場でものすごく変えていくのが難しい問題だという認識がある。教員は生徒に声をかけられたら時間の問題ではなくなってしまう。昔はなあなあだったので、次年度改革の1つのテーマと考えている。以前は、休憩室を作ったことがあるが、近年はクラスの増設が続いており、教室が足りなくなったため閉鎖になった。作りたい気持ちはある」などの前向きな回答がありました。

 休憩室の設置等含めて、教員の休憩確保のモデルケースを学園との話し合いの中で作っていきたいと思います。

◆時間外労働を認めず未払い残業代もないという回答


 Aさんは、定時前後及び休憩時間、持ち帰りで行っている業務に対して十分に賃金が支払われていません。法律に則り、1分単位で計算し過去3年分を支払うよう、私たちは求めています。

 しかし、この点について学園側は、「未払いはない。時間外に労働していたとは認識していない」という回答を繰り返しました。

 時間外に行っている労働は、教員たちが勝手にやっていることなのでしょうか。当たり前ですが、働いた分は、しっかり1分単位で賃金を支払うべきだと私たちは考えています。そうでなければただの搾取で、教員は疲弊し摩耗するばかりです。学園側の早急な改善と対応を求めます。

◆非常勤講師のキャリアが給与に反映されない賃金差別


 Aさんは、入職時、過去に別の学校で非常勤講師として働いていた期間のキャリアを反映した給与設定になっていませんでした。また、入職当時、賃金については書面でしっかり明示されることがありませんでした。私たちは、正当に経験や技能を評価し、当時の賃金を見直して差額を支払うよう求めていました。

 学園からは、原則は専任教諭として働いていた期間のみキャリアに反映し、非常勤時代のことは換算しないという回答がありました。その他、経歴の計算については、「本校運営上のスキルや研究」が加味されるなどと曖昧な回答もありました。

 雇用形態によって、これまで教員として働いてきた経験を否定するというのは差別であると私たちは考えます。引き続き、学校に対しては、適切な経験や技能の評価を求めて交渉していきます。

◆春闘での賃上げや「同一労働同一賃金」は拒否

(1)春闘での非正規教員の一律10%賃上げ
 これまで、非正規教員の10%賃上げを私たちは求めてきました。以下のNHKの報道でも、中小企業の85%が賃上げすると回答していますが、学園はこれまで同様の賃上げゼロ回答をしてきたいました。

2024年2月21日・NHK報道

参考:春闘2024の焦点 中小企業の賃上げ 価格転嫁の難しさで水準低下も(2024年2月21日・NHK)

 学園からは、「学校も物価高の影響を受けている」などといった財政を理由として賃上げをしないという回答が繰り返されました。しかし、非常勤講師は据え置きの一方で、専任教諭(正規教員)と常勤講師(契約社員)は昇給するという納得できない回答でした。4月1日を目標に賃金規定の改定に取り組んでいるなどの回答はありましたが、具体的な賃上げ回答はありませんでした。

 非常勤講師だけ差別して賃上げしないという対応は、到底納得できないものでした。学校の多くは非正規雇用で働く教員であり、「授業」という学校の根幹となる業務を任されている非常勤講師を軽んじる姿勢は許せません。

(2)専任教諭と「同一労働」をしている常勤講師の差別待遇の改善

 近年、正規労働者と同様の労働をしているにもかかわらず、非正規労働者の待遇を差別することが広く問題として認知されるようになっています。

 このような「同一労働同一賃金」の問題については、昌平学園も例外ではありません。学内では、常勤講師は担任、部活顧問、校務分掌などを専任教諭と同様に担っているにもかかわらず、待遇は差別されています。厚労省も以下の「同一労働同一賃金ガイドライン」を出し、基準を示しています。

参考:「同一労働同一賃金ガイドライン」(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf

 団体交渉にて学園は、「専任教諭と常勤講師では、責任と権限が違う。与えるミッションが違う」などと主張しましたが、具体性を感じないものでした。同じ仕事をしているにもかかわらず、待遇が差別されては、常勤講師の消耗は激しく、離職率も高くなります。

 平等な待遇を求めて、引き続き交渉を続けていきます。

◆教員の労働環境、生徒の教育環境を一緒に変えていきましょう

 私たち私学教員ユニオンでは、教員の労働環境・生徒への教育環境を変えたいという教員を募集しています。私たちは、学校や雇用形態の垣根を越えて、教育業界全体を変えるために活動しています。互いの学校の問題改善を互いに支援して取り組んでいます。
 
 また、私学教員の方以外でも、教員の働き方や生徒への教育環境の問題に関心を持ち、活動に関わってみたいという学生・教員のボランティアの方も募集しております。興味を持った方は下記の窓口までお気軽にご連絡ください。

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