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【ドルトン東京学園】当事者がSNSにて学校名を公開し団体交渉に臨んだ背景について

今回、私学教員ユニオンのSNSにて学校名を公開したことに対して、様々なご意見をいただいております。
生徒・保護者の皆様、学校を応援してくださっている皆様には、ご心配をおかけしております。
今回の学校の問題について、学校名を出して発信することは、私たち私学教員ユニオンにとっても苦渋の選択でした。その経緯および理由をお伝えさせていただきます。

◆何もないところからの出発

組合員のAさんは、学校が開設される前、開校準備室の段階から携わることを決意し、それまで築いてきた経歴・キャリアを捨てて、「ドルトンプランの実現」「日本一の学校にしよう」と、ドルトン東京学園へ赴任しました。

準備室はゼロからのスタートでした。Aさんたちは、ドルトンプランの実現に向け研修をしながら、どう生徒に「自由」と「協働」の中で能力を伸ばしてもらえるのだろうかと、教員それぞれが今までの経験やスキルを頼りに、ドルトンプランの実現に向けて動いていました。

◆教員と子供・保護者が通じ合った学校説明会

学校説明会には入学を考えてくださっている子供や保護者の方々がたくさんお越しくださり、皆の中で夢が膨らみました。まだまだ決まっていないことも多い中で、Aさんたちはドルトンプランの実現やそれへの想いを伝え続けました。
子供や保護者の方々も、学校の説明を受け、とても期待をしてくださり、一緒に良い学校にしていきたいという想いを語り合うことができました。

◆入学式、生徒を迎え入れて

予定していたよりも多くの入学希望者が来てくださったことは、とても驚きましたし、うれしく思いました。
そして、ドルトンプランの実現に向けてどうやっていくと良いのだろうと毎日毎日、教員同士で考えながら進めていました。

◆予期せぬ出来事(一方的な雇い止め、仕事を外される)

準備室の段階から、教員同士で真剣に議論を重ねてきていましたから、時には意見が対立する事もあるました。その時はお互いが腹を割って話し合い、解決していくことでより良い教育現場を築いていく事が当たり前だと思っていました。

だからこそ、学校において理不尽なことは起こりうる事は絶対にあり得ないと思っていました。

そんな中、4月から赴任されたのが田邊副校長です。最初は友好的に話をすることができていました。

しかし、月日が経つにつれ、田邊副校長は自分の意見とは違う意見を言う教員を避けるようになっていきました。
そして7月末、前触れもなく田邊副校長からAさんが呼びだされ、雇止めの話がありました。

9月末の保護者説明会では、「4月から何度も田邊副校長はAさんへ面談と指導をしてきた」「記録も残っている」と発表されています。しかし、実際はそのような場は設けられておりません。

7月末に突然「生徒との安全上の観点」という理由で詳細も教えてもらえず、弁明の機会も与えられない状況で、9月から担任と教科担当を外されました。これまで積み重ねてきたドルトンプラン実現に向けた行程の引き継ぎもほとんどなされませんでした。

◆管理職(田邊副校長と安居参事)への訴え(説明や弁明の機会さえ与えられず)

担任や授業から外した理由が全くわからず、納得できなかったため、Aさんは田邊副校長に理由を問いただしましたが、教えてもらえませんでした。安居参事に訴えても何も変わりませんでした。

新たに、教科担当になった方への引継ぎもほぼできておりません。ドルトンプランの実現に向けた今までの取り組みを次の担当者に伝えることもできていません。

田邊副校長は、ここまで準備室の時から研修をし、考えてきた様々な取り組みについても聞く耳を全く持ってくれませんでした。学校に期待を寄せてきた保護者や子供たちのことが気がかりでなりませんでした。

教員は学校に雇われていますから管理職である田邊副校長に人事権があるのかもしれません。しかし管理職はこんなにも簡単に教員を解雇出来るのでしょうか。理由もきちんと説明されず、面談や指導をしてきたという事実と違うことを発表されるような状況での雇止めという措置は妥当なのでしょうか。

子供たちのことを学校はどうするつもりなのでしょうか。残された課題はあまりにも多く、現段階でまともに当初の計画が進められているとはとても思えません。

◆私学教員ユニオンへの加入と発表

小規模な私学は学校独自の労働組合がありません。私学教員は学校側から理不尽なことを言われても、訴えるすべがなく泣き寝入りをしなければならない状況が多いのが現状です。

Aさんは9月からの担任と教科担当を外し雇止めに至った理由の内容も伝えられず、弁明の機会も与えられず、管理職にそれを問いただそうとしても聞く耳を持たない状況下にありました。これを解決するためには1人での対応に限界がありました。

そんな中、私学教員ユニオンという教員一人でも加入できる労働組合があることを知ったAさんは、私学教員ユニオンに加入する決意を固めました。

私学教員ユニオンは正規教員だけではなく非正規教員の労働環境の改善に取り組んでいる労働組合です。私学は多くの非正規教員のもと成立していることが多いですが、学校内には非正規教員に応じた組合がなく劣悪な労働環境で教育活動を行っている教員が大勢います。私学教員ユニオンはその労働環境の改善に取り組んでいる労働組合です。

Aさんは自分の雇止めが納得いかないのはもちろんでしたが、教員の意見を無視して傲慢に自分のやり方を貫く田邊副校長の体制を放置すれば、学校の理念である「自由」と「協働」、「ドルトンプランの実現」を信じて入学をしてくださった生徒・保護者の期待を裏切ることになってしまう、と思いました。

開校後数か月でこのような状況では、「自由」と「協働」、「ドルトンプランの実現」ができない学校になってしまうのではないかとAさんは危惧しました。

Aさんが、今年度での雇止めを言われている以上、生徒・保護者と約束をした「自由」と「協働」、「ドルトンプランの実現」を実行するためには、退職に追い込まれてからでは遅く、早い段階で動き出さなければ間に合わないと思いました。

私学教員ユニオンは今回の事例は酷いものであり、早急に改善の要求へ向けて動き出す必要があると判断しました。AさんやBさんは他の教育関係の様々な人とも相談し、色々なことを検討した結果、苦渋の判断で学校との団体交渉に臨むことに決めました。

他の教員も、次のターゲットは自分かもと思い、怯えながら、生徒に関わっているのが現状です。これは、教員全員が安心してスキルを思う存分発揮して生徒に貢献できる環境ではない状況です。
ミスや問題を隠蔽する状況、教員の人権が守られていない状況、教員の高いスキルを思う存分発揮できない状況は、生徒へ良い影響があるわけがありません。

初めから、学校名の公表まですることは考えていませんでしたが、一刻を争う事態にもかかわらず、9月初旬の申し入れ時の学校の対応からも、学校は私学教員ユニオンや当事者と向き合い、現場の声に耳を傾けようという姿勢がありませんでした。
生徒の学習環境を保証するために状況を変えるには、一教員だけではなく、とても大きな力が必要と決意し、早急な解決と軌道修正を目指して発表をすることにしました。

生徒・保護者の皆様、学校を応援してくださっている皆様には、突然の発表であり、学校名も含めて公表をしたことで、驚きと不安を与えてしまったことは、とても申し訳なく思っております。

しかし、今学校を正さなければ、その先にある「自由」と「協働」、「ドルトンプランの実現」はあり得ません。

私たちは、学校の名誉を傷つけよう、学校を潰そうとしているわけではありません。

本来の「自由」と「協働」、「ドルトンプランを実現」ができるように正したい一心で、現在学校と話し合いを持つために、Aさんたちは私学教員ユニオンに加入し動いています。

生徒・保護者の皆様に胸を張って「日本一の学校だ」と言えるようになる為に、退職になってしまうまでの短い時間で状況を変えなければならないと決意し、情報の公表を決意しましたことをご理解いただけますと幸いです。

ブログ等で最初に発表する際に、学校名を含めて発表せざるを得ない状況であることを、先に説明する必要があったのに、説明が遅くなってしまったことに対して、お詫び申し上げます。

ドルトン東京学園が、これから本来の「自由」と「協働」、「ドルトンプランを実現」、「生徒の学習環境を保証」ができるように、皆様のお力をお借りできればと思っております。

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