Amazon Flex ユニオン組合員の座談会の書き起こしを公開します!

○組合員の自己紹介

青木:最初に、それぞれ自己紹介をしていきましょう。私はAmazon Flex ユニオンの母体となっている総合サポートユニオンで共同代表をしている青木です。よろしくお願いします。では、Amazon Flexの現役ドライバーの皆さんからも自己紹介をお願いします。
 
A:はい、Aです。僕は昨年からAmazon Flexを始めて、実際にやっていく中で、いまの働き方だと、Amazon Flexを続けていくのも大変ですし、周りでもそういった声が聞こえたので、どうにか改善できないかなと思っていました。そのときに、今回の総合サポートユニオンに繋がって、ユニオンというかたちでみんなでまとまって、Amazonに対してちゃんと言うことを言い、ドライバー同士で情報共有して、仕事としてよりちゃんと成り立たせていけるようにしたいと思い始めました。
もう少し具体的には、自分はまだまだ初心者レベルなんですけどそれでも1時間に、20個なり25個ぐらいだったらいいんですが、もっと多いときは、休憩をとれなくて大変だとか、公道を走るのにスピード出さなきゃいけないから、いつか事故るだろうなっていうことを思ったことが大きかったです。あとは、この仕事を始めるときにお世話になった先輩が、不本意に契約解除されてしまったことがあって、そういったAmazonのシステムの問題をちゃんと透明性持たせることや、より公正なあり方を構築できるようにということを考えながら組合活動をしています。
先日は能登の被災地支援にも行ったりして、実際に社会の役に立てるような取り組みもしていきたいとも考えています。どうぞよろしくお願いします。
 
B:関東のAmazon Flexドライバーをしています、Bと申します。Flexのドライバー4年目に突入しました。これまでAmazon Flexとデリプロの両方を経験してきてます。
ここ3年は、個人にアサインされる荷物数というのは大体1.5倍から2倍になってます。これは1個単価いくらの個立てのシステムであればもう大問題になるくらいの実質単価の低下です。AIを導入することにより効率化を求めたいっていうAmazonの商業ベースの話は十分理解した上で仕事をしているつもりですが、ちょっと度が過ぎてきたなと感じています。人間にできる限界の量との折り合いがそろそろあわない状況です。
例えば、深夜早朝の便っていうのが、だいぶ普及してきていますけど、深夜12時までの便、早朝4時からの便が日中の単価と全く同額になりました。当初は夜のラッシュ便は割り増しになっていたんですよね。普通に考えてそういう時間帯に働くのに定価はおかしいなと。今回、繋がりがあったところからAmazon Flex ユニオンにも立ち上げに際して話をして、組合加入という流れになりました。
アマゾンに改善を求めていくのと同時に、ドライバー側にも安全面のことを考えても自分たちもできる対策についても知見を一緒に広めていけたらなとも考えています。よろしくお願いします。
 
C:東北地方のCと申します、よろしくお願いします。私はこの仕事を始めてちょうど1年過ぎたばかりのところなんですけれども、やはりもう荷物の量に関しては、1時間にも30何件とかも回らないと回り切れないようなことがかなりありまして、人間ができる範囲を超えてしまってるなと感じています。すごく去年のある時期から極端に増えたのですけども、まもなくして、実は私も事故を起こしちゃいました。これは自分だけじゃどうにもできないんで組合とかないのかなと思って、たまたまネット見たらユニオンが載っていたので加入しました。
特に私が住む東北地方の場合、やっぱり吹雪とか積雪でAIが組んだルートではどうやってもやっぱりいけないパターンがすごく多くてですね、通れないところがもうたくさんなんですね。積雪で入れない道路も夏と同じく行ってこいと指示してくるんで、最初の頃はかなり苦労しました。ガソリン代もやっぱり冬場って結構かかるので、いまもらってる報酬だけだと、やっぱり冬場は耐えきれないなっていうのも、痛感したんですよ。実際のところやっぱり暖房を焚いて四駆かけてやると、夏場に比べるとガソリン代はやっぱり1.5~2倍ぐらいかかるんですよね。私の地域だと通常の民間給与と関連して冬季加算とかつくんですけど、Amazonさんの場合はその辺も全然考慮されていない。
オファーは全然取れなくて、もうみんなが取り合いで特に去年の10月あたりはもう月に2,3回とかしか取れないぐらいで困ってしまいます。できればもう数を多くいろんな声を集めて、ある程度自分たちが納得できるところまで改善していければなというのが一番強い思いですね。皆さん、何とか協力し合っていければなと思うので、よろしくお願いします。
 
D:Dと申します。どうぞよろしくお願いします。Flexを始めたきっかけは、しばらく前に数年間海外に勤めていまして、日本に戻ってきたときに仕事がなかったのですが、たまたまそのタイミングでアマゾンFlexが私の住む地域に来るという話があったので、これいいなということで始めました。
一番やっぱり気になるのは荷物の量ですね。そのエリアごとの特性とか状況も考えずに何か、ドサッと渡されて思いっきり未配が出るみたいな状況が結構あって、無茶な荷物の量を渡されると焦りが出るから、失敗したりとかしてその失敗をカバーするために余計時間がかかってどんどん遅くなるみたいな。なんというか、悪循環ですね。そういうときはやっぱり心理的にも事故の危険とかも大きくなりますし、疲労も思ったより高くなるんで、そうじゃなくても1日10時間で週に60時間とか乗っているんですから、あまり大きな負荷がかかると、やっぱり安全面で大変問題があるなというふうに思ってます。
今回ユニオンに加入したのはなぜかっていう話ですけど、私は結構労働運動に関しては経験がありまして、法律的なことも私の専門なので、今ギグワーカーと言われる人たちですね、FlexだとかUberとかで働く人たちが日本では現状ではその労働者とされていないと。
したがって労働法で認められているような権利が行使できない実態があるわけですね。そうは言っても、労働者とされてはいないような人たち、労働環境の改善を求める立場の人たちが、大同団結しないと状況は変えられないと思うんで、少なくとも自分からまず行動を起こして、そこから少しでも状況を変えられればなと思って加盟しました。
 
B:Cさんの話はすごくなるほどなって思わされることが多かったです。東北地方の燃料の事情ですね、寒冷地なので当然燃料代自体も高いと思うんですけど、4駆で暖房を入れることによってさらにその燃料が加速度的に消費が早まるっていうのはなるほどなと思いました。持ち出しのアベレージって大体何個ぐらいなんですか。最近は少なくなったんですけど。
 
C:いいときは5時間で大体100前後、130とかのときもあります。
 
B:130はひどいですね。2023年の秋から冬にかけては大体120前後。少なくて、100ぐらいでしたね。今回のこの組合の話が湧き出て、メディアにこう出た頃から何か、徐々に少なくなってきているというかちょっと少なくなりましたね。他の方どうですか?
 
D:私も同じように感じていたんですよ、年明けぐらいからちょっと本来だったら閑散期ってもっと爆発しちゃうこと多いんですけど。
 
C:私も感じていました。というか私と同じ地域の人はほとんど感じてたと思います。
 
B:そうですね、減っています。ちょっとマシですよねここんとこ、とんでもない大爆発みたいなのは1回しか経験してないですね。私も去年の繁忙期からカウントしても2回ぐらいなんだよね。だからちょっと良くなりましたよね。今年の閑散期はちょっとマシになっているんですよ。
 
C:こうやって声を上げていることも、もしかしたら一定の効果が上がってる可能性もあるんじゃないかなと思いますね。
 
D:そうですよね。結構SNSでみんなが言ってるっていうのがあると思うんですけど、事故があったりとか。Flex自体は宣伝盛んにしていますからね。そのイメージ的な面でも、よくない噂が広まるのはよろしくないんでしょうね。実はきついぞみたいな。
 
B:そうですね。あと、去年の夏のプライムで、支払遅延がありましたよね。そのときに公取にリークした人が相当数いるんですよ。そういう声を上げた人たちの声で、調査とか、是正勧告が入った可能性がゼロじゃないのかもしれないですね。
 
青木:声を上げた結果かもしれないですね。もう一つ、AIが決めている建前なんじゃないのってことは、一応人間もいじっているんですかね。
 
B:AIを使ってるのは人間ですよね。これは実際に管理をやってた人から聞いている話ですけど、AIが増やしすぎてしまった荷物量にリセットをかけることは可能らしいんです。実際手動でアサインとかもいじれますし、目の前でアサインをいじってるのを見たことがあるドライバーの話とかも聞いたことあります。
 
C:おかしいんじゃないかって言ってそういう機運が盛り上がってくると意外と中の人が調整するとか、改善に向かっていくんじゃないかって感じですね。
 
青木:うんうん、いい流れですね。
 
D:いい流れですよね。

○組合で活動する人を増やすにはどうしたよいか

B:せっかくいい流れなので、ここで組合加入者がもっと増えてくれたらいいなというふうに思っているんですけど、他の方たちはこの組合加入者が増えるために、どうしたらいいかなっていうご意見ある方いらっしゃいませんかね。
 
C:私の前の会社のときもそうだったんですけど、なんとも組合っていうのがすごく悪いものというか、昭和のイメージなのか、わからないんですけど。なかなか積極的に入ろうっていう人が少ないのは、前の会社のときでも、すごく感じてるんですよね。
なので、どうやったらいいかっていうのをちょっと何か、良い案があれば教えていただければ私はこちらで動くつもりではいますので、ぜひお願いできればと思います。他の方はどうですか。
 
A:今Cさんが言ってくださったように、SNSだけじゃなくて、ステーションにいるときとか、うまく地域ならではの問題とかっていうのを洗い出していきながら、集まるのはできるんじゃないかなと思っています。
たとえば、その地域にいる人たちに手紙とかを直接送ったりして活動を広げていくだとかですね。陸運局で情報開示請求をして黒ナンバーを登録した人たちを洗い出してお手紙を送るって方法がありますよね。あとはやっぱり地域ごとに政策みたいなのをちょっと練り上げていくとかもあってもいいかもしれません。
 
D:情報交換とか世間話でもいいですからやり取りができるようになれば、みんなで集まることの意義みたいなものが、感じてもらえるんじゃないかなとは思いますね。労働組合=ストライキみたいなイメージ持っている人もいるみたいですけど、実際は労働組合を組織していた経験から言うと、ストライキなんてそうそう簡単にできるものじゃありませんから、そこに至る前に、みんなで仲良くというかみんなで馴染んで、組織の存在がまめに見える形で広がっているような状況を作れれば、加入者もう少し増えるかなというふうには思っています。

〇個人事業主の労働組合とフリーランス保護法

B:私はAmazon Flexの組合が、他と大きく性質が異なる点があると思うんです。それはみんなで情報交換をしてみんなが苦楽をともにしている仲ですが一方で、お互いにライバルなんですよね。オファーの取り合いをしている相手。これをどうやってまとめていくかっていうことを考えたときに、加入のきっかけになるのは圧倒的にお困りごとがあったときなんですよ。ネット検索で組合の存在を調べるときっていうのは、どこか相談できる窓口はないかなって問題に何か突き当たったときなのですよね。
具体的に自分の場合は報酬支払遅延とか未払いのときがきっかけでした。そういうときに一般の労組と違って、皆さん個人事業主なので、新たにできるフリーランス保護法でどれだけ戦えるかっていうのは、これは一つ気になってくるのかなと思っています。例えば賃上げ、報酬を上げなさいっていう話、実際に燃料がこれだけかかっている地域があるっていう話は、一つ大きい手段だと思います。実情に即していますし。
また、業務量に関しては以前の1.5倍から2倍ですよね。同じ報酬額で、業務量が1.5倍から2倍、1個いくらの個立ての宅配であれば、単価を半額にしたということになり、大問題なりますよね。買いたたきですよね、車立て、1台いくらだからわかりづらい状況になっているだけで。こういうことを世間一般に訴えていくだけでも全然違うのかなと思うんです。大切なのは、みんながそれぞれ個人事業主なので、その共有意識の盛り上げですよね。
 
A:私個人的な話としては、フリーランス保護法をちゃんと勉強したいなって思っていました。やっぱり、まだ法律の中身自体もわかってないっていうのと、それを使うことで、どう何ができるのだろうっていうことで、例えば何かそれを対ツイッターのオープンスペースでしたっけとかで話すだとか、そういう公開の場で勉強会するとかっていうのも、一つの方法としてありうるのかなとは思っています。
 
B: そういうものと兼ねて、ドライバーのスキル、それちょっとしたTipsの積み重ねをすることで、それが気持ちの余裕と安全確保に繋がっていく部分もまだあると思います。そこは相談に来る人たちの中にですね、全部突き詰めてやれることをやってるのだけど、それでも限界だって方もちろんいらっしゃると思います。そういう部分も絶対あるので、同時に並行してやっていける取り組みが実現できればいいなと思います。
 
青木:フリーランス保護法をどう使えるかみたいなテーマで勉強会をしたりセミナーを開くなどしてもいいなと思いましたね。
 
B:そうですね。そういうアプローチも面白いですよね。

○安全対策について

青木:時間が迫ってきていますが、一つだけ予告的にお伝えしますが、やっぱり安全問題が結構あるよねと、業務量が多いってのはみんなそう言っていますけど、プラスしてやっぱり安全問題、特に死亡事故とか、そういうのも出たりしてるよって話がありました。これについては国も規制していこうみたいな話を、調査をやって規制をする動きもあるので、私達としても情報をキャッチして調査したりしていきたいです。あと、実際事故を起こしてしまったドライバーや被害者の方などとも繋がって、やっぱり結局、その事故の本質ってきつすぎる働き方にあるということに切り込んでいければなっていうことも今後の方向性として考えてます。またみんなで議論していければいいなと思っております。
(完)

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