夏至なので

詩でも、と思いました。

*軋み


夏の日の、寝れなくて落ち合った陽が好きだった

夜と朝の境を見やるような、薄暗く静かに、木々をさわる風すら聞こえない
自分独りだけ取り残された錯覚
僅か呼吸をすれば、壊れてしまいそうな世界

蒼が白を帯び始めるまでの、安らかな数分間のこと



*暮れ


定刻通りの鐘が、ななつ
長い暮れも短い朝も関係なく
ただただ報せる
じらじらとした無線の電波で
規則的に
同じ様に
定刻通り



*砂利


夏に焼かれて
落ちる幻想を抱く
空が高く澄んだ空気は
息苦しいほど透明で
真上の針が真下を向く
逆光のカラスは
羽を折り
汗だけが地に染みた


*部屋


陽を白と呼ぶ
夜が訪れない
そんな朝

布越しの明るさに皺を寄せる


*点


熱が籠る風
まわるまわる
生成の蛾の死骸
誰かが踏んづけて
くしゃくしゃに散らばっている
雲から落ちる粒
斑点の滲みを作り
土の臭いを運ぶ
真ん中の月は
長い夕暮れを告げた


*****
夏至と冬至が幼い頃から好きです
神聖な感じがしてなんかいい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?