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リレー小説作品集

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世田谷学園文芸部で制作したリレー小説です。
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記事一覧

温泉街の宇宙⑨【リレー小説】【完結】

 暗闇の中を火の球がすーっと上っていき、夜空にパッと大輪の花を咲かせた。 「綺麗だね」  …

温泉街の宇宙⑧【リレー小説】

 リンゴ飴などいつぶりに食べただろうか。運がいいのか屋台の前に並ぶ人はいない。気前のいい…

温泉街の宇宙⑦【リレー小説】

「君が猫? どういうことなんだ? 説明してくれ!」  私は混乱しながらも必死に質問を続け…

温泉街の宇宙⑥【リレー小説】

 太陽は西の空に沈みかけ、綺麗なオレンジ色に染め上げる。真っ赤に染まった木々は夕陽を反射…

温泉街の宇宙⑤【リレー小説】

 甘い匂いを放つ、冷たい水滴が額を通って私の目に身を投げた。私の脳が主張する微弱な痛みが…

温泉街の宇宙④【リレー小説】

(……。起きたくない。まだ寝ていたい。)そんなことを思いながらも、カラダはベッドを離れよ…

温泉街の宇宙③【リレー小説】

 無限にも思えるような静寂は、この星空の下には自分しかいないのではないかと錯覚させる。  確かにほんの数刻前まで、溢れんばかりの人間たちが、ガヤガヤと耳障りな祭りをしていた筈なのに。 「……そろそろ帰ろうかな」  腰掛けていた椅子から、私は立ち上がる。椅子はとても硬くて、お尻が若干痛んだ。  気付けば秋祭りの屋台も、溢れ返った人たちも、最初から無かったかのように消え去っており、目に映るのは柔らかな月明かりに照らされた、豪奢ながらも上品な拝殿と鬱蒼と生い茂る木々、そして、クルク

温泉街の宇宙②【リレー小説】

 立ち上がれはしたものの、頭がクラクラする。私はフラフラ歩きながらもベンチに腰掛けた。数…

温泉街の宇宙①【リレー小説】

 秋の三連休、私は一人でこの温泉街にやってきた。一帯は紅葉が色づき、観光客で賑わっていた…