障害のある人と共に働くことをきっかけに、誰もが住みやすいまちづくりを目指す
京都市障害者雇用促進アドバイザー派遣等支援事業を活用した 障害のある人と地域企業でつくるソーシャルグッド事例(2)
ホテルカンラ京都の取組
目次
京都の工芸作家と障害のある人の活躍の場づくり
人のあたたかさを大切にしたサービス
私たちにもできること
障害のある人を雇用したことで今後に生かせること
京都の工芸作家と障害のある人の活躍の場づくり
ホテルカンラ京都は、ホテルがあるまちへの貢献として、まちづくりを企業理念に掲げている。その中の一つはひとづくり。街に暮らす人の役に立つ取り組みを行っている。
ひとづくりには、二つの力を入れていることがある。一つ目は、京都の工芸作家の活躍の場作りである。2018年から、客室を展示販売会場にして工芸や手仕事を紹介する「Kyoto Crafts Exhibition"DIALOGUE"」を開催している。「工芸に対して、"高価である。””私たちには工芸品は持てない”というイメージがあったが、日常的に取り入れられるような鞄や洋服などがあると気付いた」というお客様の声があったという。他にも、ホテルでは、金継ぎ工房を開いている。これらの取り組みには日本の伝統技術を継承していく上で、様々な人に工芸に触れてほしい、工芸の印象を変えたいという想いが込められている。
もう一つの人づくりとして、障害のある人の雇用を行っている。現在ホテルカンラ京都では障がいのある方を3名雇用をし、レストランやお客様の対応などそれぞれに適した業務を割り振っている。「障害のある人は業務の理解が難しかったり、トレーニングの仕方が異なることから、一人ひとりに合った教え方を考える必要があることに気づいた。日々驚くことの連続や新しい視点の発見によりホテル全体としてのコミュニケーションが豊かになった」と副総支配人の伴さんは語る。
人のあたたかさを大切にしたサービス
ホテルカンラ京都では、人のあたたかさを大切にしたサービスを心掛けている。例えば、アレルギー食材や障害のあるなしに関わらず、あらかじめ宿泊前にお伺いすることでスムーズに対応している。こういったお客様一人ひとりに寄り添ったサービスには、すべてのお客様に満足して利用していただきたいという想いが込められている。
また京都での観光を満足していただくには、ホテルのおもてなし力だけでなく京都としての魅力が欠かせない。京都にいる人の観光客への対応や雰囲気など、街全体を通して人のあたたかさを感じてもらうことで「また京都に来たい」と感じてもらえるという。
良いまちづくりを進めていく上で、「企業内だけでなく同じように障害のある人に関する取り組みをしている企業との関わりが必要である。」と語る伴さんの想いには、障害者雇用に取り組む企業同士のコミュニティができることで、社会全体として取り組みがさらに充実し、ホテルカンラ京都の目指す住みやすいまちに繋がってほしいという願いが込められていると感じた。
私たちにもできること
皆が住みやすいまちを目指して、今後の取り組みや京都の学生にもできることを伺った。
私たち学生にもできることとしては、これから社会に出る若い方を中心に、様々な方との積極的なコミュニケーションとSNSでの発信がある。日常で出会う多様な方とコミュニケーションを取ること、そして何事にも関心を持ち、目を向けることで理解が深まり、その結果今以上に皆が住みやすいまちになるのではないだろうか。またSNSを通して発信していくことで共感を得ることができ、私たち一人ひとりが発信者になるのである。
「いずれは障害者雇用という認識がなくなるくらい、障害のある人に対する認識の壁がない世の名になって欲しい」と伴さんはいう。
障害のある人を雇用したことでサービスにも活かせること
インタビューをしている中で、副総支配人の伴さんは「障害のある従業員
が、障害のあるお客様の対応を行うことも、より寄り添った対応に繋がるのかもしれない。」と語った。できる範囲の中で仕事をするだけでなく、違った視点から物事を捉えることで従業員一人ひとりにできる仕事の幅も広がるのではないだろうかと私は思った。
初めからできることの可能性に限界を決めるのではなく、障害のある人にも様々な業務を任せていくことで新たな発見が見つかるのではないだろうか。また様々な取り組みを行っている企業同士が意見を交わすことで、新たな発見があり、そういった結びつきが、障害のある人の働きかたの可能性が広がるために重要になると考える。
インタビュアー
京都女子大学 生活造形学科 4回生
戒能仁美・水野香花
ライティング
水野香花
インタビュー日
2022年5月31日
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