不登校

うちの1号2号は不登校では無いので、あくまで私の感じた事を。

私の友達の内、お子さんが不登校な人が3人いる。
どのお子さんも小さい頃から知っていて、どちらかというと活発で元気で、何の心配も無さそうなお子さん達だった。
時が過ぎ、小学校高学年・中学生辺りになり、「うちの子が学校に行きたくないと言ってくる」という連絡がちょこちょこ来るようになった。
直接会ってる訳では無いから、ガス抜きで傾聴するモードしか出来ないんだけど(担当のスクールカウンセラーさんがいるので手は出さない)、基本的には「待つ」しか無いという結論になってしまう。

結局、何が原因かって、1つじゃ無かったり、本人もわからなかったりするし、待っている間に長期間になって「もはや生きていればいい」になっているご家庭もある。
無責任な人だと、「初動ミス」とか「親の愛情不足(私はこの言葉が嫌い)」とか言うけど、何が初動なのかなんてわからないし、愛情不足なんてほとんどの場合は該当しない。
多分、誰も悪く無い。でもそのお子さんが「学校に行けない」という事実がある以上、「何かしたい」という気持ちが沸くのが親心で。

みんな、カウンセラーさんに「今は待ちましょう」と言われている。
その場では「わかりました」と答えて帰ってくるらしいけど、本音では「いつまで待てばいいの」「何年続くの」「もうしんどい」がある。
共倒れ寸前の家庭も多いし、介護と並行してたりもするし、焦って変な「業者(昔の戸塚ヨットスクールみたいなの)」に引っかかる人もいて。

他人からすると、毎日会う訳じゃないから「今は待ちましょう」が辛い訳じゃなくても、実際に対応する家族(ほとんど母親)は毎日接点があるし、部屋からさえ出てこれなくなっていると「生きてるのかな」という心配が24時間続く。
泣いたり、暴れたり、「死にたい」と言われたり。これを繰り返す。
これで「家族はしっかり支えましょう」とか、無理だと思うよ。
不登校の子の支援とは別で、絶対に家族の支援は必要。
ピア(不登校者の親の会)もあるけど、向き不向きはあると思う。
回復傾向にある子の話を、素直に聞けるか。嫉妬するなというのは酷だ。

私のその「子供が不登校の親」である友達3人も、それぞれに話は聞くけど、お互いを関わらせようとか思わないし、それぞれの話は絶対にしない。
100人100通りの原因や対応があるから、これが正解とか無いので。

ただ、私が接点のある(仕事では無い)「不登校生徒の親」は、だいたいが「元気で活発、クラスのリーダーみたいなタイプ」だ。所謂「陽キャ」。
※例外があるのは承知してます。私の周囲が、な話。
アニメイベント等でも子供を連れて遠征してきてて、いつも「元気だねー」とか言ってた人のお子さんが、いつの間にか家から出られなくなった。
パート3つ掛け持ちして(裕福だけど仕事したい人)家に全然いない元気ママや、会社経営してるママ(パパは会社員)
精神保健福祉士の専門学校時代に実習で一緒だったママさんは、お子さんが不登校なのをキッカケに資格を取りに来たと言ってて、とても熱心だった。
みんな、一生懸命で、元気で、熱心。うん、何か「強い(フリも含めて)」

子は親を見て育つ。言われた事より、親の「行動を見ている」
勉強しなさい!と言われても、親がスマホでオンラインゲームとかしてたら、子供は勉強しない。親をまねる。親に似てくる。
元気で活発な親を見て育って、それが普通で大きくなっていって、学校でも割と中心になって活動して、でも一部の「疲れてしまった」子は電池が切れちゃうじゃないのかなと思う。
もちろん、イジメや色々な原因(発達障害児も多いと思う)で学校に馴染めない子がいると思うけど、「学校で楽しく生活する。”友達100人出来るかな”を本当にやろうとする」事が、向いてない子もいる。親が向いてても。

仕事で、引きこもり40年の男性を実習した事がある。
10歳位で不登校になり、部屋に籠り、母は死に、父が認知症で施設に入所するから初めて「外部から支援が入った」時点で50歳超えていた人。
見た目は普通のヨレヨレのおじさんだけど、精神が10歳(以下かも)。
支援者に聞くと、恐らく軽度知的障害があるという。それで学校に馴染めなかったのだろうか、という話になった。40年前はそういう支援はそんなに無かったし。
言葉遣いや対人スキルも小学生で止まっているので、書類に名前を書く事を頼んだだけでも「書けました」の報告は無く、ただ待ってる。
「提出して下さい」と声掛けして、やっと「ん」と言いながら投げてきた。
2週間位PC実習をやったけど、パソコンがどうこうというより、社会の一般常識を教える所からだったので、「わからない時は質問する」「返事はハイ」だけで2週間終わってしまった(小学生時でも出来てなった気が…)
支援員に「ここから”社会人として働く所までもっていくのは、正直厳し過ぎます。若い子が色々習得していくよりも時間がかかるし、やっと何とかなる頃には還暦でしょう」と上司が告げて、「この人には、本当に”働く”が必要なのか?」という話し合いになった。

不登校。不+登校。学校へ行かない。学校へ行けない。
世界中で産まれてくる子供って、全員「学校生活が向いてる」んだろうか。
就労に向いてない人がいるように、学校が向いてない子もいると思うよ。
勉強は嫌いじゃないけど学校が苦手とか、学校は楽しいけど勉強がわからなくて嫌になったとか、集団が苦手とか、受験が嫌だとか、色々ある。
家が荒れてて帰りたくなくて学校にずっといる子(昔はたまにいた)もいるけど、その逆も当然いる訳で。
義務教育って、必ずしも「学校へ行って、教室で授業を受ける」じゃ無くてもいいと思うんだよなあ。今はフリースクールもあるし、ネットの学校もあるし、高校生ならもう働いちゃうでもいいと思う、本人が望むなら。

こんな事を言ってると「自分の子が不登校じゃ無いから言えるんだ」と言われるだろうけど、あくまで私の感覚で書いてる。

お子さんが不登校で精神保健福祉士を取りに来てた人と話してて、「元気になって貰いたい」「元に戻って欲しい」「学校へ行って欲しい」をよく言ってて。たくさん勉強して、研修とか大量に行ってて。
私が「主語は誰なの?」って聞いた。
「誰が、元気になって貰いたいと思ってて、元に戻って欲しいと思ってるの?」って聞いたら、キョトンとしてて。
「それの主語って、〇ちゃん(そのママ)じゃ無いのかな」と話した。
「◆君(不登校のお子さん)がどうしたいかの話、1回もしてないね」と。
しばらく私の言っている意味が通じなかったんだけど、たまたま精神保健福祉士の実習指導の先生が来て、話の続きになって。
「元気よく学校に通って、友達と仲良くしている息子」を求めているのは親であって、本人がそれを望んでいる・向いているかは別問題だよねという話になった。
元気でいて欲しい。当然だと思う。親だから。
なんで元気でいて欲しいのかな。元気じゃ無い顔を見たくないのは、親。
明るく活発なのは良い事。でも、「ネガティブで暗くて活発じゃ無い」子供だったら、我が子を嫌いになれるのかな?
私はそのママに、「ネガティブになる権利もあると思う」と告げた。
「産まれて死ぬまで80年位ずっと、ハッピーで楽しく生きてる人、いる?それってしんどくない?めっちゃ体調悪い時に「ハイ元気よくー!」って言われても「無茶言うな!」と思う気がするよ」と。

長い人生を生きるのに、元気じゃ無い時期はある。誰にでもある。
子供だから、若いから、必ずしも「元気一杯」な訳じゃ無い。
逆に、歳とっても元気で活発だと「年齢を考えろ」とか言われて気の毒な人もいる。
人生のある期間に「あーしんど」な時期はあると思う。
それが何歳ごろなのか、人によるのでは。

学校に行かなきゃいけない、仕事に行かなきゃいけない。
どうしてもそれが出来ない時期があったって、オカシクは無い。
それが「いまは待ちましょう」という、カウンセラーの言葉に繋がる。ゲームでいうなら、赤になってしまって家に籠って、少し回復して黄色になっても、そこで無理をしたら、赤に戻るどころか「黒」になる可能性がある。
長い闘いであっても、青になるまで待つしか無い。
支援の人とかに頼って、抱え込まず。何かに消耗してしまった子供の電池を充電するしか無い。
(何らかの障害が原因な場合は、早期に支援が入る方がいい)

実際に1号2号が不登校になったら、こんなこと言ってられないかも知れない。でも、当事者になると見えない事はたくさんある。
頑張らなくても生きていける、頑張らなくても叱られない、頑張らなくても無意味じゃ無い。誰の為に頑張ってるのかわからなくなったら、ちょっと休もう。でいいと思う。全力疾走で80年生きるなんて、無理だ。

不登校・引きこもり支援も、人が足りない。予算も多分足りないんだろう。
「勝ち」の人しか生き残れない世界って、どうなんだろうな。

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